魔法科高校の劣等生に転生したら生まれた時から詰んでいた件について(仮) 作:カボチャ自動販売機
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ぼくの四歳の誕生日。突然現れた父を名乗る男、椎原辰郎。彼はちょっとイケメンめちゃ良い声のいかにも仕事の出来そうな男で母さんが惚れ込むのも分かるというものだ。父の方も母さんのことを本当に愛しているのが分かる。本当になんで結婚してないんだろう。疑問には思う。だがぼくは同じ過ちは繰り返さないのだ。相手が話してくれるのを待つ受け身の姿勢。基本姿勢はこれでいく。
「雪花には魔法の適性があるらしいな。私のサイオン量も受け継いでいるようだし」
「えぇ、けど魔法師にはさせないわ」
「そうだな、魔法関連からはなるべく遠ざけるべきだろう」
衝撃の事実。ぼくの人生の第一目標である第一高校への入学が早くも頓挫しかけている。えっなんで?魔法師になれば将来安定とちゃうの?親としては嬉しいのとちゃうの?分からない。分からないが何か事情があるのはたしかだ。もしかしてぼくの両親魔法師斥候派ってやつなのか?いやでも魔法適性やらサイオン量やらから父は魔法師であるもしくはあった可能性が高いわけだし。聞くか?いや待てまた同じ過ちを繰り返すのか?けどこのまま放置しておいて良い問題じゃない。次にいつこの父親と会えるか分からないんだ今しかない。聞くなら今だ。
「なんでまほうしになってはいけないの?ぼくまほうつかってみたい!」
言った。言ってしまった。子供らしい口調を意識してなるべくそれに何かのっぴきならない事情があると気がついていることを気取られないようにして。それでも核心をつく質問を。
「…雪花が大人になれば分かることさ」
父は言葉を濁した。母は黙って目を伏せた。ぼくは─
「分かった。ぼくまほうしにはならない」
「そうか、ならお前は科学者になるといい。父さんも母さんも開発…物を発明するお仕事をしているんだ。お前もきっと良い科学者になれる」
「うん、ぼくかがくしゃになるよ!それでまほうよりすごい物を作るよ!」
「お前ならやれるさ」
─ぼくは魔法師を諦めた。父の顔に母の顔に苦しみが見えたからだ。ぼくという人間を確かに愛してくれていてけどその将来の選択肢の中から魔法師という道を閉ざしてしまう原因が自分達にあることを苦しんでいるのが何となく分かった。いいさ。別に魔法師になるというのは適当に0歳の時に決めたことだ。こっそり勉強はしてたし魔法を使ってみたいという気持ちはあるけれど両親の制止を振り切ってまでなりたいわけでもない。第一前世では薬剤師になりたかったのだ。薬剤師も広い範囲では科学者に入るんじゃないかな(震え声)!というわけでぼくは父のすすめもあり科学者になることに決めた。
今世で初めて会う父の愛に触れ人生の新たなる指針が見つかったそんな四歳の誕生日だった。
はい、大きな伏線を張りました。この話で気がつけた人は凄いです。
さて明日も0時に投稿します。
ポケモンのせいで執筆時間をかなり持ってかれてるけどこのペースをいつまで保てるのだろうか。