« 技術革新の成果を市民が享受することへの配慮について | Accueil | バランスを欠く著作権法のreplace »

08/11/2006

著作権と基本的人権

 著作権は基本的人権か否かという問題にはいろいろな解答があります。

 「著作権は一種の財産権である。財産権は基本的人権の一つである。故に著作権は基本的人権である」というのが一つの考え方です。

 「法律により内容が規定された財産権を享有するということが基本的人権の内容であって、著作権という法律により創設された個別の私権が基本的人権となるのではない」という考え方もあり得るでしょう。

 また、一定の行為を制限する根拠としての著作権に着目すれば、著作権というのは、一種の規制であるということもできるでしょう。

 基本的人権と基本的人権とが衝突する場合にその調整を図る限度で基本的人権は内在的に制約されるという考え方にたてば、ある人にとっては基本的人権を保障するための法的ルールが、別の人にとっては基本的人権を制約する規制にすぎなくなるということは良くあることなので、著作権は基本的人権の一種であるとともに、基本的人権の行使を妨げる規制の一種であるという解答も十分に成り立ち得ます。

 したがって、「著作権は基本的人権である」という議論は、「だから、著作権による保護の範囲を強化する立法・解釈が善であって、狭める立法・解釈は悪である」という結論を導きません。むしろ、著作権と衝突する利害が、経済的自由よりも優越的地位にたつ精神的自由(表現の自由等)である場合には、著作権の適用範囲は必要最小限度にすべきではないかということが立法又は解釈の現場で語られてしかるべきではないかという結論が導かれる可能性があります。

Posted by 小倉秀夫 at 02:19 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle |

TrackBack

URL TrackBack de cette note:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/13499/11379306

Voici les sites qui parlent de 著作権と基本的人権:

Commentaires

Poster un commentaire