「愛に満ちた偉大な将軍様のもとで」
 

 我々は、スティーブ・ライヒの公演「ザ・ケイヴ」および、同時期にNTTICCにて公開されたビデオ「ヒンデンブルク」を体験して以来、それまでは静かで皮膚的な感触の醸成を目的とした即興演奏を行ってきたものが、突如としてお笑いバンドとなった。我々が考えたのは「ヒンデンブルク」のアジア版を制作することであり、そのためには資料集め、機材の整備、ネタの構成、およびそれらすべてを統合するものとしての技術の習得に、多大な時間を費やすことにはなったのだが、ここで展開されたシリーズ「北の理念」は、2度の総集編を含み、約1年間に渡って11回程度公演されたのであった。
今回は当時使った素材を再構成し、多少新たな展開を含みつつ、しかし多分にアーカイヴ的なアプローチで纏めた。昨今の情勢において、かの国の映像、音声の素材は、メディアに氾濫し尽くしている感があるが、我々としてはそれらの(21世紀にはいってからの)新しい素材は一切用いず、当時使用していた物たちのみをリサイクルした。

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