お試し投稿   作:仮面ライダー様
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ペニーワイズがロギアZWEIをおすすめするようです

どこかの雨降る道、そこで一人の少女が下水道から流れる一枚のライダーカードを追いかけていた。

 しかしやがてライダーカードは下水道に落ちてしまい、少女――希月悠真は悲鳴を上げる。

 

「僕のライダーカードが!」

 

下水道の中身を覗きライダーカードがつかかってないかという淡い希望を込め虚構を見つめる悠真、しかしライダーカード『EVOL』は見つからない、肩を落としながら帰ろうとする悠真。

 

「ハァイ! 調子良い?」

 

しかしその足取りを止める者がいた、悠真が首を後ろに向けると、そこにいたのはピエロのような姿をした殺人鬼――《ペニーワイズ》が下水道から顔を覗かせ悠真を見つめている、あまりにも急すぎる事態に悠真は驚きを隠せず、目を見開くだけだった。

 

「どうしたんだい悠真、もうロギアZWEIさんの小説は全部読み終わったかい?」

 

その言葉に悠真は首を左右に振る、最近は職場体験に唐突な女体化、新たなる人類最終試練の追加に仁との戦い、そのような様々なことが重なったおかげで悠真は一度もロギアZWEIさんの小説を読むことができなかったのだ。

 

「Oh……それならロギアZWEIさんの魅力を教えてあげよう」

 

そう言い彼が取り出したのは20を越える小説の数々、その光景に悠真は恍惚とした表情でそれに手を伸ばしかけたが、すんでのところで踏みとどまる。

 

「なんかあらすじの時点地雷臭しかしないんや、ずっとあんな感じで仁を最強にして行くんやろ?」

 

悠真はなぜか関西弁で、どこか嘲笑うかのような表情で言った。

 

「小説の量だけでだまされんぞ」

「いや、そんなことはないさ。昨日新しくでたNEW WORLDでは仁は少し弱体化されているし、他の小説でも仁が出てこない話がいっぱいある」

「そうなんだ、それは知らなかったよ!」

 

笑って相槌を打つが、悠真はペニーワイズシリーズの結末をしっかりと覚えている。自分は引き摺り込まれてやらないのだ。

 

 

「帰ってエターナルドー○ントさんの小説見るわ」

「エターナルドーパン○さん!?」

 

悠真、というか作者は最近エターナ○ドーパントにハマっていた。その中でも『僕のヒーローアカデミア ~Eの○号~』というのが仮面ライダーエターナルとのクロスオーバーが意外で、思いのほかハマってしまったのである。

悠真は振り返って、元来た道を帰ろうとすると、

 

「待てやッ!、悠真……これを見るんだ」

 

そう言ってペニーワイズが取り出したものは、悠真を今一度ペニーワイズの方へ向かせるには最適のものであった。

 

「僕のライダーカード!?」

「そうだ、悠真……ロギアZWEIさんはいいぞ。そこらのクソッタレ小説より遥かに安心できる文章量と内容、そしてストーリー構成とコラボの幅広さ……コラボで出てくる他のキャラのちゃんとした性格と設定を理解しており批判なんて一回しか来たことがない! オリジナルキャラクター達もそれなりの出番、ラスト・エンブリオは千差万別で、自分のコラボキャラを愛でることもできる。まず、この小説はロギアにしか書けないロギアブランドだ。……この意味が、わかるだろう?」

 

ロギアブランド――確かにロギアZWEIによって小説を書く気になったユーザーは多い、例を上げていけばR○Ⅱさんなどだ、それらは最早一つの文化――ロギアブランドとして確立されつつある。

だがロギアZWEIさんはあまりにもキャラをチートにし過ぎることは愚か、高飛車な態度で様々な人の怒りを募らせ、挙げ句の果てにはユーザー一人を潰したと聞く。

そんな奴の小説なんかは読みたくないと、悠真は顔をしかめて否定の意を示した。

 

「おーう……そんな酷い顔をしなくてもいいじゃないか」

 

ペニーワイズはそんな悠真に、さらにロギアZWEIさんについて畳み掛ける。

 

「確かにロギアさんがユーザー一人潰したというのは本当だ、しかしそれには君の作者だって関わっているんじゃないか、それにエターナルド○パントさん見たいに少ない物の小説で勝負するよりももっと世界が広がる」

「でも、仁がチートのせいでコラボ相手の大半が仁の前で不様に負けてるって聞くよ?」

「えっうん。……いや、そんな事はないさ悠真。それは自分のキャラが強いというその作者のワガママから相対的にそう見えるだけなんだ。もしくは負けまくったりロギアさんのアンチ豆腐メンタル野郎が、ムカつく際にそう捨てゼリフを残していくのさ」

 

痛いところを指摘され、ついペニーワイズはうろたえて肯定的な返しをしてしまう。だが、そこは何度も様々な人物を騙したペニーワイズ。すぐに機転を利かせた。

 

「ロギアZWEIはいいぞ、悠真……君が今凝視していたアザトースフォームもカッコいい、最高だ」

 

ペニーワイズは笑いながら、そうしてエボルのライダーカードを彼女の目の前に近づけていく。

もう少しで手が届きそうになり、悠真が手を伸ばすと―――

 

「まぁ……仮に気に入ってその人の小説を見つけたとしても………」

 

「直ぐに別の小説書いて更新が疎かになるがなぁ!!」

 

「KYAAAAAAAAAAAAAA!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠真は死んだ。

 

偽りの狂気という小説を気に入り参加して1日足らずで第一章が終わったはいいものの、ロギアZWEI特有の新しい小説を作り更新が止まったという事態とサクのキャラが良い扱いを受けているせいでみんなから白い目で見られることの辛さにより自殺したのだ。

気づいた時には何故か怪人態のカードと一緒にライダーカードは返されていたが、それも真由に取られたという若干ラストエリクサー症候群な悠真には何よりも耐え難い屈辱だった。

そのため自分のライダーカードだけで転生者を破壊できるように様々な世界を周っていたのに、真由の情報無しで転生者を探す効率も悪く、どうしようもない泥沼にハマって死んだ。

 

ちなみにその後仁の時戻しによって悠真は復活したそうな、ただし女のままで。

そして次は花蕾さんをペニーワイズにオススメされるとは、思いもよらなかったのである。

 

            ―完―




ということで次は花蕾さんのオススメ





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