魔法科高校の比企谷八幡   作:天音 八
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一高対三高(後編)

もう1つ柄を握り、剣を引き抜く。ここで問題です。空には12個の魔法陣。こちらには魔法を『破壊』出来る剣が2つしかありません。他の魔法は使えず、剣も魔法陣には届きません。どうすればこれをきり抜けれるでしょうか?*武器に限りはなく、同時に出せるのは2つまでです

 

『うーん……走る?八幡なら出来そうだけど流石に無理だよね、魔法支援無しじゃ。だったら飛ぶ?あ、でも他の魔法使えないか……わかんない!八幡答え!』

 

いや、なんでわかんないの?魂の共鳴で意思疎通してんのに?

 

なら答え合わせをするとしよう。地上から空の魔法陣に攻撃出来ない。しかしあることをすれば攻撃が届きます。それは何か、答えは

 

「全ての魔法陣に投げて破壊する、だ」

 

1つ1つ、速く、的確に、魔法陣の中央に当たるように投げる。あ、楽しくなってきた。某魔法少女もこんな感じだったんだな。あの人はショットガンを使い捨ててたけど

 

計12本の剣を投げ、魔法陣を全て壊す。魔法陣はガラスのようにパリンッと割れ、空には晴天だけが広がっている。投げた剣?同じく砕け散りましたが?

 

「ギリギリか」

『八幡、右!』

 

リィムに言われ右を見る。空には大きな魔法陣が1つ。そしてその魔法陣に吉田が引き寄せられていた

 

「またかよ!」

 

右手にある剣を全力で投げる。飛んでいった剣は吉田ごと貫き、魔法陣を破壊した。あ、マントに刺さってないよ?魔法陣壊れるからそこはちゃんと狙ってるから

 

『ふぅ〜さっすが〜』

「茶化すな」

『ちょ!いたい!八幡痛いから本を押さないで!』

「ったく。リィム、あと魔力量はどれくらいだ?」

『ん〜14%ってところかな?いっきに決着つけるの?』

「やっぱりそれぐらいか。他の奴らを助けながらだとこっちの魔力が切れるからな」

『だったら『飛雷』と『氷壁』だね。残りの魔力的にも』

 

飛雷と氷壁か。確か自分の直線上ならかなり速く走れる魔法と相手の動きを止める魔法だったはずだ。魔道書読んだだけだからよく覚えてないけど

 

『あ、使うときはこれを解除してね?『対魔法魔法(アンチスペル)』は使用中他の魔法使えないから。例外はいくつかあるけど』

「わかってる」

 

本を閉じると同時に飛雷を発動させ、相手との距離を詰める

 

「なっ!?」

「悪いが終わらせてもらう」

 

リィムを使い氷壁を発動する。地面から氷の壁が多数出現し、相手を壁の中に閉じ込めた。いや、これ壁ってよりドームじゃね?

 

閉じ込められたやつは中から攻撃をしたりしているが壁はひびすら入っていない

 

『八幡、向こうは終わったみたいだよ』

 

向こう、とは吉田達の方だろう。リィムが言ったように吉田達も相手選手を倒していた。西城も立ち上がっていたから2人して倒したと思われる

 

さて、あと1人だがどうやって倒す「おぉぉりやぁぁぁ!!」あっはい

 

あと1人は走り出した西城の小通連の餌食となり気絶しました。なんかいいとこ取りされたんだけど……

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「……勝った、わよね?」

「……勝ちました、ね」

 

独り言のような真由美の問いかけに、独り言のような口調で鈴音が答えた。それが合図となり、誰かが歓声を上げた。1人の歓声が2人の歓声が呼応し、4人、8人と連鎖的に拡散し、爆発した

 

一高生の無秩序な叫び声が渾然一体となり地響きと化してスタンドを揺るがす。それは無邪気で、純粋すぎる感情の発露であり、勝者を讃えると同時に敗者を打ちのめす裁きの槌音でもあった

 

しかし、その無邪気で無慈悲なお祭り騒ぎはすぐに収まった。第一高校の応援席の最前列。騒ぎが収まったのは最前列にいる2人の少女。1人は静かに涙を流し、もう1人はポロポロと大粒の涙を流しながらフィールドを見つめていた

 

「……勝った。八幡達が勝ったんだ」

「よかった……八幡さん、勝てたんだ……」

 

涙を流す雫とほのか。深雪は2人を励まし、彼女達の周りから拍手が広がっていった。やがて拍手は第一高校の応援スタンドを超えて、敵味方の区別無く、激闘を終えた選手を分け隔て無く讃える拍手へと変わり、会場全てが、暖かな拍手に包まれた

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『おつかれー八幡。どう?僕役にたってたでしょ?』

「魔力の使いすぎだ。改善を要求する」

『ほめてよ!がんばった僕をほめてよ!あの魔法、短時間で作った即席の魔法なんだよ!?僕がんばったんだよ!?』

「おー頑張った頑張った(棒)」

『ふっふーん。もっとほめてもいいんだよ?』

「……まあ頑張ったし、後でな」

『デレた!?八幡がデレた!レアd」

 

共鳴を解除し、リィムの声を遮断する。うざい

 

拍手はまだ鳴り響いてうるさいので早々と帰るとしよう

 

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新人戦の優勝パーティをすることになったがパーティは総合優勝のパーティまでお預けとなった。代役として出場した2人が肉体的な大きなダメージを受け、どんちゃん騒ぎが出来る状態ではないからだと。しかしそれ以前に総合優勝がかかったミラージ・バットの準備でそれどころではない、というのが本当のところだろう。こちらとしては万々歳だ

 

一高の新人戦優勝により、三高との点差は大きく広がった。その差は140ポイント。三高が逆転するには配点50のミラージ・バットとモノリス・コードで一位を取り、うちがノーポイントを取るしかない。しかしうちの上級生が手を抜くわけがなく、おそらくミラージ・バットで優勝が確実となるだろう

 

それでも選手とエンジニアはコスチュームとCAD(モノリス選手は防護服)の調整をしなければならない。だが調整に余念がなく、手の空いた人は様々な形で手伝いをしている。俺もその1人である。てかなんで俺まで手伝わなきゃなんないの?司波いるでしょ?俺もう魔力ないよ?倒れちゃうよ?会長とか俺が倒れたの知ってるよね?倒れるまで働かせるとか社畜じゃん!……社畜だったわ、俺働いてるし

 

「比企谷君。手伝ってって言ったのは私だけど、無理しないでね?昨日から働きづめでしょ?」

「や、昨日からじゃなく九校戦の間ほぼ働いてたんですけどね」

「そ、そうだったわね」

「まあ今は休んでる暇はありませんけど」

「休んでる暇がない?それってどういう……」

「言葉のままですよ」

 

CADのフルチェックを終わらせ、問いに答える。あの事故以来、事故が起きていない。だからと言ってミラージ・バットやモノリス・コードで事故が起きないとも限らない。残りの競技にも気をつけないといけないのだ。全く、なんで俺のいく先々でトラブルが起こるのかね、幸運ランクEなの?巻き込まれ体質なの?

 

「なんか気になるけど……そういえば比企谷君、決勝戦で使ったあの魔法、いったいなんなの?術式解体とは違うみたいだけど」

「それは私も気になります。教えてもらえますか?」

「市原先輩もですか……いや、全員ですかね」

 

あの魔法について聞きたかったのは2人だけではなくこのテントにいる全員だろう。聞き耳立ててるし、何より見たことのない魔法だ

 

「まあ聞かれても困るものじゃないしいいか。魔法を破壊することだけに作られた魔法です。七草先輩は四月の騒動を覚えてますか?あの時に使った魔法と同じ系統の詠唱魔法です」

「あの魔法が使えなくなる魔法ね」

「はい。系統名は《対魔法(アンチスペル)》、魔法名は《魔法破壊(スペルブレイク)》。剣の形をした魔法を魔法陣にぶつけることで魔法の発動を阻止する魔法です」

「剣の形をしているのは何故ですか?それに、決勝戦で吉田君の身体を貫いたのに傷がなかったのは?」

 

そういやなんで剣の形なんだろうな?別に銃でも良かったし、なんならブーメランでもよかったんだが。欲を言えばショットガンが良かった

 

「ランダムじゃないんでしょうか?形に統一性はありませんでしたし。身体に傷がなかったのは魔法を破壊するためだけの魔法なので魔法以外には傷すらつきません」

「自分でもわからないのね……」

 

だって魔法作ってるの俺じゃねぇし。作ってるのリィムだし

 

「質問は終わりですか?なら部屋に戻りたいんですけど」

「あ、ごめんね。しっかりからだを休ませてね」

「比企谷君、お疲れ様でした」

 

先輩達に一礼し、テントを出る。本当に休んでる暇はないんだが、30分ぐらい休むか

 

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「さあさあ狂ったように踊りましょう。どうせ100年後の今頃には生まれ変わってぇ↑」

 

歌いながら自室の扉を開けると何かが飛び出してきた。な、中々いい突進だぜ……

 

飛び出したものを確認しようとするが身体が動かない。乗っかっているようだ

 

「いったいなんなんだよ………本当になんなんだよ、北山」

 

乗っかっているものの正体は北山だった。いや、本当に何してんの?なんで馬乗りしてんの?殴られるの?

 

「八幡。優勝おめでとう」

 

俺に来たのは拳ではなく賛辞でした。うん、まず退こうね?人来るかもしんないから

 

「ちょっと雫!何やってるの!」

「馬乗り」

「早く退く!八幡さん大丈夫ですか?」

「ほのか」

「は、はい!」

「さらば」ゴスッ

「は、八幡さん!?」

 

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目が覚めると、そこは自室のベッドだった。なんだ、夢か。まあそうだよ……いや、夢じゃねぇ。確か鎖で自分から気絶させたはずだ。じゃあ誰がベッドに?

 

「俺だ。おはよう比企谷」

「……最早つっこむまい。だが聞く。何故お前がいる、司波」

「女性陣主催の食事会らしい」

「人の部屋で何開いてんだよ……」

 

確かに調理道具揃ってるよ?でも勝手に入るってどうよ。まあ諦めてるけど

 

「雫曰く総合優勝までパーティがお預けなら食事会を開こう、らしい」

「マジかよ……もう出来てんのか?」

「ああ。それで俺が呼びに来た」

「わかった」

 

* * *

 

「八幡。あーん」

「は、八幡さんこちらもどうぞ」

 

八幡です。現在私は2人の美少女に料理を口に運ばれようとしています。理由?知らん。あと柴田さん、顔赤くしないで助けて?まともなの貴女ぐらいなんですから

 

「自分で食えるから自分で食え」

「私の料理が食べられないの?」

「絶賛食ってるだろうが」

「随分とモテてるな比企谷」

「……」

「痛ぇ!無言で箸投げんな!てか数多すぎ!」

 

イラっと来たので箸を作り西城に投げつける。数はざっと500くらいだ。もちろん投げた箸は消滅しているぞ

 

「ほういえは、ごくん。あの魔法なんなの?」

「僕も聴きたいな。決勝終わった後聞こうと思ったけど比企谷すでにいなかったし」

「また説明すんのかよ……」

「また?」

「テントの中で話したんだよ、先輩達に」

 

食事を一旦中止し、二度目の説明をする

 

「なるほど。だから剣が刺さっても服が破けたりしてなかったのか」

「見てるこっちとしてはヒヤヒヤしてたけどね。いきなりミキに剣を投げて刺したから」

「他に助ける手段無かったからな。魔力ギリギリだったし」

「ギリギリ?そんなにサイオン使うの?」

「もともと少なかったからな。始まってからちょくちょく魔法使ってたし。決勝戦始まった時は大体30%ぐらいしかなかったはずだ」

「「「「「……え?(は?)」」」」」

「「「「「えー!?(はあ!?)」」」」」

 

室内に響き渡る驚声。うるせぇ、司波を見習え。めっちゃ静かだぞ

 

「え、それじゃあ比企谷は一条選手とサイオンギリギリで戦ってたってこと!?」

「ああ」

「なんでそんなに少なかったんですか?」

「モノリスで使ったり、渡辺先輩助けたり、菓子作ったりしてたからな」

「それでもそんなギリギリにならないのでは?比企谷さん、マッカン?で回復するんですよね?」

「ここなかったんだよ。おかげで魔力はほとんど回復せず、回復して決勝の30%ってところだ」

 

まあそれだけじゃないけどね。今監視つけてたりしてるから

 

「それって100%だと手こずらないで勝てたということですか?」

「まあ、そうだな」

「「「「「…………」」」」」

 

え、何?なんか変なこと俺言った?言ってないよね?普通のことしか言ってないもん

 

「八幡……」

「「「「「なんで2科生なんですか!?(なの!?/なんだよ!?」」」」」

 

再び室内に響き渡る驚声。うるせぇよ本当。別に驚くことじゃないだろ。なんせ『俺』は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『魔法』が使えないのだから




はい、モノリスが終わりました。ですが、こう、なんか纏まらない感じがするのは気のせいじゃないはず。時間かけてこのクオリティだし……

次回はミラージ・バットになるのかな?

タイトルが分かりずらかったので変更しました

飛雷(ひらい)
直線上限定で加速できる魔法。しかし早く走りすぎると止まれない。魔力消費は少なめ

氷壁(ヒョーム)
氷の壁8枚で相手を閉じ込める魔法。ぶっちゃけ壁というよりドーム。魔力を多く使用することで壁の強度が増す。しかし火に弱く、溶けてしまうのが難点

魔法破壊(スペルブレイク)
魔法を破壊する魔法。剣の形をしているが魔法にしか効果はなく、人体などに斬りつけても傷すらつかない。基本剣の形をしているが刀だったり斧だったりと、統一の形はしていない。また、この魔法を使用時に他の魔法は使えず、一度に出せるのは二本まで









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