----M----092----------------
----a-----------------------------
----n-----------------------
----P-u-k-u--------------
-----------------------------------
---------------------------------------------------------------
(福子)この家に8年…。
(萬平)たくさん思い出があるなあ。(源)うん。
新しい家でまた たくさん思い出作りましょう。
そうだな。
(笑い声)わ~!
気ぃ付けてよ。(源 幸)は~い。
ちゃんと つかまってろよ。おい ほら もう少しだ。
♪「丸まってる背中に もらい泣き」
♪「恥じだって一緒に」
♪「あなたとならトゥラッタッタ♪」
♪「飛行機雲ぼんやり眺む」
♪「心ここに在らず」
♪「年間トータル もししたら」
♪「付き合うあたしすごい?」
♪「とぼけてる眉毛に もらい笑い」
♪「照れだってなんだって」
♪「あなたとならトゥラッタッタ♪」
♪「頑固で面倒で 腹も立つけど」
♪「あなたの情熱は」
♪「あたしの誇りで自慢で覚悟なの」
♪「もらい泣き もらい笑い もらい怒り」
♪「もらいっ恥じ どんと来い!」
♪「晴天も曇天も霹靂も」
♪「さあ あなたとトゥラッタッタ♪」
昭和33年1月1日日本は 静かな朝を迎えました。
福ちゃんたちにとっては新しい家で迎える初めてのお正月です。
明けましておめでとう。
(3人)明けましておめでとうございます。
さあ そしたら頂きましょう。
うん。 頂きます。(3人)頂きます。
(幸)おいしい。おいしい。
うん。よかった。
そやけど 何や さみしいお正月やなあ。うん?
(源)去年までは 食べきられへんぐらい料理があったやんか。
あれはね たくさんの人が年始のご挨拶にいらっしゃったからよ。
(幸)今年は誰も来えへんの?
お父さんは もう信用組合の理事長じゃないからな。
静かなお正月もええやない。うん。
言うたやろ 幸。お父さんは無職になったんやからって。
源。いいんだ。 そのとおりだ。
でも お父さんはいつまでも無職じゃないぞ。
これから何か新しいことを始めるんだ。
新しいことって何?何?
それは まだ分からない。
私はね お父さんが何を始めるのか楽しみやわ。
ワクワクする。 ねっ。
うん。
フフフフ。 もう そんな顔せえへんの。
お正月なんやから 笑顔 笑顔。
うん。はい。
あっ 源 足りひんかったらお母さんのお餅あげるわ。
ありがとう。
(幸)私も頂戴。
(幸)あ~ ありがとう。
福ちゃんのおうちとは対照的に克子姉ちゃんのおうちはにぎやかなお正月を迎えていました。
(笑い声)
東京の大学に行っている重之君と学君も帰ってきて 大にぎわい。
(鈴)黒豆は おばあちゃんが作ったのよ。
重ちゃん 食べて。はい。
学ちゃんも たくさんお食べ。うん おばあちゃん。
(タカ)はい 茂さん。(神部)おおきに。
(吉乃)お母さん 私にも頂戴。(克子)はい はい。
あなた お煮しめ食べます?(忠彦)ああ 頂くよ。
今年は よい年になるといいわねえ。
そろそろひ孫の顔が見たいわ 茂さん。
(せきこみ)もう やめてよ おばあちゃん。
そうよ。 お水持ってくるわ。ありがとうございます。
そやかて ねえ 忠彦さん。子どもは授かり物ですから。
吉乃ちゃんは どうやの。誰か いい人いないの?
何で急に… いません。
そんなに急ぐことないですよ。
もう25よ 吉乃ちゃんは。遅すぎるくらいやわ ねえ 茂さん。
僕に言われても…。
はあ~。 福子たちは どうしてるのかしら。
寂しいお正月過ごしてるんや。
しかたないでしょ。 萬平さんは信用組合を追い出されてしもたんやから。
追い出されたって。そんな言い方。
自業自得です。 福子も あほやわ。
そやから 私は萬平さんとの結婚には反対やったのよ。
今更そんなこと言うたかて。そうですよ。
もう どうして福子のことなんか持ち出すの 克子。
うん。 おめでたいお正月やのに。
う~ん。
福ちゃんの家に真一さんが訪ねてきました。
真一さんは 池田信用組合に残り専務理事として頑張っています。
(真一)ごめんください。
ごめんください。
・頑張れ 源。・(源)はい。
・幸 駄目よ。・よし いくぞ。 せ~の…。
よいしょ! ハハッ。 おお いいぞ。
そしたら… 幸 いらっしゃい。
うん。はい。
(2人)せ~の… えいっ!
あっ 真一さん。おお。
明けましておめでとうございます。
おめでとうございます 真一さん。おめでとうございます。
2人も ご挨拶しなさい。
(2人)明けましておめでとうございます。
おめでとう。 年始のご挨拶に伺いました。
ああ。元日から畑仕事ですか。
ここを耕して野菜を作るんですよ。
春には 二十日大根やほうれんそうが出来ますよ。
白菜も。あと 水菜も。
そら すごいね!
え~!えっ! 何が?
この福笑い萬平さんが作ってくれたんですよ。
さすが 器用やなあ。
信用組合の方は どうですか。年末の決算は。
(真一)ぼちぼちかな。これ以上 景気は悪くはならんやろ。
取り付け騒ぎで預金を下ろした組合員たちも随分 戻ってきたしね。そうですか。
それは よかったですね。
アハハッ! 何や これ。
(幸)変な顔。
そうや 2人にお年玉持ってきたぞ。
お年玉!?そんな気を遣うてくれなくても。
そうですよ。お正月なんやから。
はい 源ちゃん。ありがとう!
さっちゃんも。ありがとう!
なんぼ入ってんねやろ。こら! ここで見ない。
貯金箱に しまってきなさい。(2人)はい。
ありがとう 真一さん。いや 申し訳ない。
あ… それから これは萬平君の退職金や。 5万円入ってる。
えっ…。退職金?5万円…。
2人は 池田信用組合のために家や家財を売り払ったんや。
その恩に報いるべきだと新理事長に進言したらそれは当然だと快く承認してくれた。
是非 新しいことを始める資金にしてくれ。
ありがとう 真一さん。
ありがとうございます。
福ちゃん。
・ごめんください。
ちょっと失礼します。
・はい はい。
敏ちゃん!(敏子)明けましておめでとう 福ちゃん。
おめでとうございます。
(敏子)はい お年玉。(源)ありがとう。
はい。ありがとう。よかったね。
うん。貯金箱に入れてきなさい。
(2人)はい。
これは お年賀です。カステラよ。 みんなで食べて。
そんなに気を遣うてくれなくてもええのに。
何言うてんの。私は 誰よりも福ちゃんが心配やわ。
そんな心配せんといて。
ちょっとね 家が狭くなっただけ。ねえ 萬平さん。
ああ。 これから僕が頑張りますから。
・ごめんください。
あの声は…。世良さん?
やっぱり。(世良)謹賀新年!
立花君 落ち込んでへんか。落ち込んどるやろ。 顔見たろ。
ほれ お年玉や。
ありがとう!また もろた!
2人とも もらい過ぎやわ。
すいません。貯金箱に しまってきなさい。
(2人)は~い。使う時は使えよ。
(2人)うん。(幸)また もろた!
ありがとうございます。構へん 構へん。
いや~ 真一さんも 敏ちゃんも来とるとはな。
何や にぎやかになってきた。
2人とも立花君らのことを心配しとるんか。
それは ちゃうで。この男は これまで幻灯機を作り 根菜切断機を作り塩を作り ダネイホンを作った。
次は何を発明するんか僕は大いに期待してる。
さあ 飲みましょう。真一さんも敏ちゃんも。
聞いてへんな おい。あっ ほら 世良さんも どうぞ。おお。
この1週間 飲みっ放しや。ハハハハハ。
とにかく おもろいもんを作ってくれたら僕が売りまくったる。 なっ。
聞いとるか 立花君。ああ はい はい はい。
聞いてへんがな。・(克子)福子。 福子。
克子姉ちゃんやわ。
えっ。明けましておめでとう 福子。
おせち料理 持ってきたで。さみしいお正月を迎えてるんやないかと思って遊びに来ました。
あっ 私は 源ちゃんと さっちゃんの顔を見に来ただけよ。
はい お年玉。(2人)ありがとう!
はい これは忠彦おじちゃんと私から。
はい どうぞ。
私と茂おじちゃんからもお年玉あげるわ。
やった~。夢みたい。
金や 金や!こら! やめなさい 源! もう。
貯金箱に しまってきなさい!(源 幸)は~い。
何でも ため過ぎも ようないど。(源 幸)はい。
あっ どうも…。
ああ 明けましておめでとうございます。おめでとうございます。
あっ 真一さんもいらっしゃってたんですか。
(鈴)あっ 敏ちゃんも。
(敏子)明けましておめでとうございます。(鈴)おめでとう。
せやけど こんな狭い家にみんなで来んでもええやろ。
おせち料理 福子おばちゃんも食べて。ありがとう。
(克子)手伝うわ。ごちそうあるわよ。
はよう下りてらっしゃい。・(源 幸)は~い。
重ちゃん 大きくなったなあ。 学君も。
(重之)はい。(学)はい。
真一さんも お久しぶりですよね。
忠彦君に会えて よかったよ。さあ 飲もう 飲もう。
酒やったら ぎょうさんあるど。
お皿 どうぞ。
おいしそう!
(鈴)タカ 黒豆のお重 取って。
はい どうぞ。うわ~!
このね 黒豆はおばあちゃんが作ったのよ。
食べて 食べて。うん。
え~っと…。
ほんまはね お母さんがここに来たいって言いだしたんよ。
えっ…。
(克子)福子のことが心配でたまらないんよ お母さん。
♪~
寂しく新年を迎えたと思ったら大間違い。
狭いおうちにこんなに たくさんの人が集まって楽しい楽しいお正月になりました。
みんな おおきに! ありがとう!
(世良)明けましておめでとうさん。