魔法科高校の比企谷八幡   作:天音 八
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八「サブタイが思いつかない……」
美月「場所が場所ですからね」
八「でも大丈夫!そろそろモノリスの話になるから!」
美月「大丈夫でしょうか……」






事故

九校戦7日目、強制休憩につき午後まで寝てた。久しぶりに睡眠を取った気がするのは気のせいではないはずだ

 

天幕に行くと騒ぎが起きていた。その騒ぎの中心は第1高校らしい

 

「何かあったのか?」

「八幡!実は……」

 

どうやらモノリス・コードで事故があったらしい。北山が言うには過剰攻撃で、ルール違反だったとのことだ

 

「単なる事故とは考えにくいね……それが確かだったとして決めつけるのはよくねぇぞ」

「そうですよ、北山さん。疑心暗鬼は口にするほどますます膨れ上がって、それがいつの間にか独り歩きしてしまうのだから」

 

人のセリフを取らないでいただきたい。『やはり生徒会長は伊達ではないと言うことか』などと考えていると会長に睨まれた

 

「なんですか?」

「……今とても失礼なこと考えていたでしょう?」

「はて?なんのことでしょう」

 

咄嗟に惚けたがこの人鋭くない?司波に視線で助けを求めると自業自得だ、と返されつつも話をそらしてくれた

 

「それで、怪我はどの程度のものなのですか?」

「今の会話だけで森崎君達が怪我をしたってわかるのね……」

「……重症よ。 市街地フィールドの試合だったんだけど、廃ビルの中で『破城槌』を受けてね。瓦礫の下敷きになっちゃったの」

「……屋内に人がいる状況で使用した場合、『破城槌』は殺傷性ランクはAに格上げされます。バトル・ボードの危険走行どころではない、明確なレギュレーション違反だと思いますが」

 

と、司波が言う。俺?聞いてるだけだけど?

 

「そうね……いくら軍用の防護服を着けていたといっても、分厚いコンクリートの塊が落ちてきたんじゃ気休めにしかならないわ。それでもヘルメットと立会人が咄嗟に加重軽減の魔法を発動してくれたお陰で大事には至らなかったけど……3人とも魔法治療でも全治2週間、3日間はベッドの上で絶対安静だ」

「……なあ真由美、比企谷の治癒魔法なら治せるんじゃないか?」

「そうだったわ!比企谷君できる?」

「あの、治癒魔法は一時的なものですぐには治らないんじゃ……」

「比企谷の魔法は別でな、傷を完治出来るんだ。私もそれで治してもらった」

「うそ……」

 

誰かが驚きの声をあげ、その声の後視線は全て俺に集まった。視線だけで射抜かれそうだよぉ

 

「比企谷、本当なのか?」

「……出来る、が出来ない」

「どう言うこと?」

「俺が渡辺先輩に使った魔法『対価の癒し』は対象者の病気、怪我を完治することが出来る。が、治した後はその名の通り魔法発動者は対価を払うことになる。渡辺先輩の時は対価として身体能力の一時低下と魔力(サイオン)の4分の3使った。それが今回は重傷者、それも3人となると対価は……ということだ」

 

重傷者3人に魔法をかけた場合の対価を想像したのだろう、女性陣は見る見る顔が青ざめ、男性陣は顔には出さないもののあまり気分がいいものとは言えないようだ

 

「期待に添えずすみません。それで話を変えますが何故3人は同じビルの中で固まってたんですか?」

 

顔色が良くないため話題を変える。良くなるとは言っていない

 

「試合開始直後に奇襲を受けた。開始の合図前に索敵を始めてなければ出来ないことだ。『破城槌』はともかくフライングは間違いなく故意だと断言出来る」

 

答えをくれたのは意外や意外、桐原先輩だった。この人がいうと説得力があるな、何故か

 

「なるほど……そりゃあ、大会委員も慌てているだろうね」

「フライングを防げなかったから……ですか?」

 

と司波兄妹。司波の言いたいことはわかる、俺も思いついた

 

「それはたいした問題じゃないよ。それより、崩れやすい廃ビルにスタート地点を設定したことが今回の事故、と一応言っておくけど事故の間接的な原因だと言えるからね。大会委員としてはこのまま新人戦モノリス・コード自体を中止にしたいんじゃないかな」

「……そういう考え方もあるのですね」

「確かに中止の声もあったけど……結局、うちと四高を除く形で予選は続行中よ。最悪の場合、当校は予選2試合目で棄権でしょうね」

「最悪の場合も何も、選手が試合をできる状態ではないのだから、棄権するしかないと思いますが」

「それについては十文字君が大会委員会本部で折衝中よ」

 

予選開始後の選手の入れ替えは認められていないが相手の不正行為を理由にして特例を認めさせるというわけか

 

しかしモノリス・コードのチームは1年男子の実技成績上位者から選りすぐったメンバーだろ?代わりを出しても勝ち抜くことは難しいはずだ。それよりも不正が行われたことを理由にモノリス・コードのポイントを全体のポイント集計から外させる方が有利じゃないか?それだとうちは疲れず相手は疲れるだけの無駄になる。なんだこれでいいじゃないか

 

そんなことを考えていると会長が司波を連れて天幕の奥に歩いていった

 

「八幡……深雪が怖い」

 

北山に袖を引っ張られ、司波妹を見る。そこには笑顔の司波妹がいた。ただし目が笑ってない

 

「八幡さん」

「ひ、ひゃい!」

 

凍てつくような声にビビり声が上がってしまった。ふえぇ怖いよぉ

 

「そういえば、ほのかと雫のことを名前で呼んだそうですね。どうして私は名前で呼んでくれないのですか?先ほども心の中で司波妹と言いましたね?」

 

怖えぇぇぇ!てかなんで思ったことをわかんの!?確かに司波妹って言ったけどさ、わからないよね!?俺口に出してないもん!てか足元凍り始めてるよ!

 

「八幡さんは私のことが嫌いなのでしょうか……」

 

足元の氷化が止まり声が聞こえる。司波妹の声はさっきの様な声では無く落ち込んでいる様な弱々しい声だった

 

……てかよくよく考えたら詰んでね?嫌いって答えたら兄に殺される。嫌いではないといったら妹に近づく虫を兄が排除する。詰んだ/(^o^)\

 

「……答えづらいことを聞かないでくれ。名前で呼ばないのは単にハードルが高いからだ。北山と光井を名前で呼んだのは競技で優勝したからだ」

「でしたら私もいいですね。アイス・ピラーズ・ブレイクで優勝しましたし」

「……マジ?」

「マジ。決勝で深雪に負けた」

 

……あーこれ聞いちゃダメな奴だったわ

 

「すまん、配慮が足りなかった」

 

北山の頭を撫でる。人を慰める時にはこれがいいと佳奈恵さんに聞いた

 

「は、八幡?」

「あ、悪りぃやっぱ嫌だよな」

 

北山の頭から手を離す

 

「あっ」

 

あってなんですかあって

 

「それでどうなんですか!」

「どうと言われても……」

「何を騒いでいるんだ?深雪」

「お兄様!」

 

奥の方から2人が出てきた。密会は終わったらしい、助かった

 

「八幡さんが名前で呼んでくれないのです」

「名前?呼んでやればいいじゃないか」

 

違った。敵だった

 

「司波、お前は魔法の使用無しで全裸で登頂出来るか?」

「出来ないだろうな」

「つまりそういうことだ」

「そこまで難しいの!?」

 

会長の驚きに驚いてしまう。いやむしろなんで名前で呼べんの?

 

「他にも理由はある。名前で呼ぶと千葉が『深雪達だけずるい!あたし達も名前で呼びなさい!』とか言ってくるはずだ」

「……すごいそっくり」

「そこじゃねぇよ。つまりそうやって広がっていくから嫌だって言ってんだ」

「比企谷。王様ゲームの命令を覚えているか?」

 

王様ゲーム?確かコスプレしたり菓子食べたり名前呼びにし……

 

ドン、と音が聞こえる。その音を出したのは言わずもがな膝から崩れ落ちた俺である

 

「つまりそう言うことだ、八幡」

「そういえばそうだったね。次から名前で呼んでね八幡」

「そうでした。それでは命令と優勝で名前呼びは確定ですね」

 

オワタ……こうなった人間の団結力というものは恐ろしい……

 

「優勝したら呼んでもらえるの?だったら私も名前で呼んでもらおうかな?八幡君」

「……勘弁してください」

 




そろそろモノリス出せるかなー






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