魔法科高校の比企谷八幡 作:天音 八
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「……ほれCADだ」
光井のCADの調整が終わり光井にCADを渡す
「ありがとうございます、八幡さん」
「丁寧に整備されていたから殆ど何もしてないけどな」
「もうっどうして素直にお礼が受け取れないんですか」
「生憎感謝なんざされたことないんでね」
室内に静寂が訪れる。先ほどまで聞こえていた会話、それと機械を操作する音全てが止まった。え、どうした?
「八幡さん!」
「ひゃい!」
「私はちゃんとお礼を言いますから!」
「いや普通は言うべきだけどな?」
俺の周りが特殊だったってだけで
(さて、こちらも対策しとかねーとな)
渡辺先輩以降妨害と見られるものはなかった。なかったからと言って警戒を怠っていい理由にはならない。念のため各所に鎖を配置したが意味があるかわからないな
考えれば考えるほどどの場面で妨害してくるかが考えつきため息が漏れる
「はぁ、どうしてこうなる俺の平穏……」
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「俺の仕事多すぎだろ……手直しいるか確認してくれ」
北山にスピード・シューティング用のCADを渡す。ぶつくさ言いながらもキチンと仕事をこなす、やだ俺の社畜適正高すぎ!?……って俺働いてたな
「んっ……万全。自分のより快適」
や、流石にそれは言い過ぎだろうよ
「八幡、やっぱり雇われない?」
「断る。そういう冗談は司波に言え」
「冗談じゃ無いよ」
「……はぁ」
ため息を吐く。北山にこれを聞かれるのはもう10を超えている。北山の性格上同じ冗談を繰り返したりしない。……しないよね?
「専属じゃなくていいから」
答えない、いや答えられない。俺はこう言う時の断り方を知らない。断れないなら諦める。座右の銘も押してダメなら諦めろだしな、諦めよう
「…………はあ。参った、降参だ」
「じゃあ!」
「見てやるよ、ただし俺の手が空いている時だけだ」
「わかった♪」
なんでそんな嬉しそうなんですか?
「何故嬉しそうなのかは知らんが頑張れよ」
「うん、頑張る」
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結果だけ言おう。光井はバトル・ボードで優勝、北山はスピード・シューティングで優勝し他の女子で上位を一高が独占した。改めて思う、うちの高校強くない?
さてこんな呑気なことをいっているが実際はそうでもない。何故なら
「っ!おいひい!」
「なにこれ、なにこれ!」
「……流石八幡」
「太りそう……でもやめられない……」
本日の功績者が俺の部屋でスイーツを食べているからである。何故俺の部屋で食べているのか、それは北山が原因だ。スピード・シューティングが終わった後早々に「頑張った。上位を独占し、ほのかも優勝した。欲しいもの、わかるよね?」と発言し優勝した褒美を作ることになった。まあ頑張ったならそれなりの褒美は必要だと割り切り作ったのだが俺の部屋で食べる必要なくね?個々で作ったんだから。てか光井、麻薬みたいな表現やめろ
「oh……減りが速ぇ」
4人の4個ずつで最低16、まあ24作ったんだがもうほとんどない。女子のスイーツを食べる速さが尋常じゃない。これにはゴローちゃんもびっくり
「作った俺が言うのもなんだがそんな食っても大丈夫か?それかなりカロリーあるぞ?」
ピタリと手が止まる。いや遅いからね?もう5個食べてるでしょ貴女達
「ち、ちなみにどれくらい?」
「だいたい250弱だな」
「あれ、普通のより少なくない?」
「製造方法は企業秘密だがお前ら5個食っただろ、1000超えてんぞ」
「「ああ……そうだった……」」
女子の絶望の声が聞こえる。思うのだが何故女子はカロリーを気にするのだろうか?食べたらそれ以上に動けばいいだけの話だろ」
「八幡さんは女心がわかっていません」
「男に求めんなよ……ん?待て今なんて言った」
「女心がわかってないと」
「その前だ」
「八幡さんは」
「それだ、何故名前で呼んだ」
「何故もなにも王様ゲームで決まったことじゃないですか」
あーそういやあったなそんなもの
「何々何の話?」
「黙れ小娘。口の中マカロンで詰まらせるぞ」
「なにそれ怖くない」
「いや怖いでしょ窒息的な意味で」
まあそっちだと確かに怖いな
「……」
「どうしたの?」
「いや何か足りない気が……ああこれか」
パチンと指を鳴らしティーポットとカップ、お湯と紅茶葉を影から取り出す。足りないものは飲み物だったか
「悪いな食べてる時に出さないで」
「いえ、いいですけど。茶葉は何を使っているんですか?」
「ダージリンのセカンドフラッシュだ」
セカンドフラッシュとは6〜7月にかけて収穫される茶葉。簡単に言えば夏摘みの茶葉だ
ポットに茶葉を入れお湯を入れる。ダージリンの茶葉は沸騰したお湯を入れると渋みが出るため沸騰直前の90度をおすすめする。抽出時間は4分。これ以上抽出すると濃くなるのでこちらも4分がおすすめ
「ほらよ」
4分間抽出しカップに注ぐ。飲んだ者から三者三様ならぬ四者四様の感想を聞かされた
功績者達が紅茶を飲んでいる間にベッドに座り端末を起動させ、メモを開く。メモには簡潔にこう記されてある
『1.渡辺先輩だけを狙った可能性は低い。2.他校からの妨害の可能性は低い。3.大会委員に工作員がいる可能性が高い。4.手口不明。5.かゆうま』
なんだ最後の!?かゆうまとか書いた覚えねぇぞ!?
5を削除し思考に入る。誰が妨害してくるかは置いておく、手口を考える。思いついているものはいくつかあるがどれも信憑性に欠け、成功には他校に接触しないと出来ない。……いや1つだけ出来る、あの時に何かすれば出来る筈だ
「八幡」
とすれば後はいつ行ってくるかだが、まあ鎖で監視しておけばいい。渡辺先輩みたいなことになればまた影を使えばいいしな
「八幡!」
「……どうした」
「なんで怖い顔してるの?」
……どうやら考えているうちに怖い顔をしていたらしい。現に北山以外がくっついて震えている。腐眼に怖い顔って無敵じゃね?
「渡辺先輩の事故があっただろ?妨害工作と犯人について考えてた。てかそんな怖い顔してたのか?」
「うん。人を殺そうとするぐらい」
全力で首を縦に振る3人。マジかーそんな顔してたのかーそれなら怖いわな
「手口がわかんねぇからな。てかお前らはいつまでいるんだよ」
「名前」
「は?」
「私とほのか、まだ名前で呼んでもらってない」
そんな理由で帰らねぇのかよ……てか明智とかは帰っていいっていねぇや
「あのなぁ、慣れてない奴にいきなり名前で呼べとかハードル高いぞ、どれくらい高いかというと富士山ぐらい高い」
「そんなに高いんですか!?」
「でも前に常連さんを名前で呼んでたよね」
「長く居れば流石にそうなるわ」
「長いってどれくらい?」
「10年」
「10年……つまり結婚?」
「何故その結論に至った……ほら雫、ほのか部屋に帰れ」
「っ!今名前で!」
「二度は言わん」
2人の背中を押し強制退出をさせる。全く、慣れないことはするもんじゃねぇな
「……さて、鎖を仕掛ける場所探しに行くか」
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「おかえりなさい、って2人ともどうしたの?」
「八幡さんに名前で呼んでもらいました」
「後は深雪だけだね」
「八幡さん、私のこと司波妹としか呼ばないのよ……」
「大丈夫!呼んでもらえるよ」
「強いれば八幡は折れる」
「確かに押しには弱そうですけど……やってみるわ」
原作とは違いほのかのCADは八幡が調整しました。また雫の汎用型は八幡が、オーダーメイドは達也が調整したということになっています。本文に書いてませんけど
さて、ほのかは一体どちらが好きなんでしょうかね?ふふふ