財布

しばらく家から出ていなかったので、今日はランチでも食べようと思い外に出た。

歩いていける範囲にはお店どころか自動販売機すらないので、車で出かけた。

10分ほど走ると、最寄りのコンビニを通り過ぎた。ちょっとしたものは大体ここで購入する。

30分ほど走ると片田舎の町に入る。そこまできてようやく数件の飲食店が見えてきた。

せっかくここまで来たんだ。あと20分ほど行けば、確かおいしい肉料理屋があったはず。

以前、誰かから聞いた話を思い出し、その肉料理屋を目指した。

ステーキもランチなら安く食べられるし、ハンバーグも美味しいと聞いた記憶がよみがえる。

もう頭の中は肉のことでいっぱいだった。鉄板の上でジュージュー音を立て、跳ねる肉汁。

やっと到着した。

駐車場に車をとめ、念のために財布の中身を確認しようと、上着のポケットに手を入れた。

......が、そこにあるはずの財布はなかった。

再び同じ道を50分かけて帰宅し、財布を手に最寄りのコンビニで弁当を買い、

虚しさだけが残ったまま、貴重なニートの1日が終わった。

普段家から出ないニートがたまに外出するときは、財布を忘れないよう気をつけましょう。