ぼっちは魔法科高校へ〜魔法の一雫〜   作:裂猫
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裂猫です。

まず、年末年始忙しくて投稿できませんでした事、ごめんなさい。
仕事始まってからの方が落ち着いた時間が多いの何ででしょう?

いざ書こうと開いてみればお気に入りが100件超えてて「ゔえええ!?」ってなりました、ありがとうございます!

それでは、続きをどうぞ


司波兄弟との顔合わせ

 

〜達也side〜

 

「陽乃さん?」

 

深雪、と言うより《雪ノ下》なる人物の影に怯える比企谷。

この簡潔な状況から同じ名字を冠する「雪ノ下陽乃」に説明を求めるのには、時間はかからなかった。

 

「………へ?あ、うんそうだね。

待ってね、説明するにしろ何にしろとりあえず……

比企谷くん、落ち着いッ!!」

 

俺たちに状況を説明するより前に、目に見えて精神状態の悪い比企谷を放置するのは良くないと判断したのだろう、ひとまず落ち着かせようと陽乃さんは手を伸ばすが、

「パァン!!」という乾いた音が鳴り、陽乃さんの手が比企谷から遠のく。

 

「痛ッ!比企谷くん……」

「陽乃さん!?大丈夫ですか?」

「う、うん、私は大丈夫だよ。」

 

比企谷が陽乃さんの手を思い切り払ったのであろう。

深雪が陽乃さんに駆け寄り心配するが、陽乃さんは平気そうである。

 

「ぁ……ぇ………」

「比企谷……」

 

比企谷自身何をしたのか分かってない様子である。

恐らく急に差し出された手に驚いて何をされるのかわからない恐怖に任せて手を払ったのだろう。

深雪の性格上、ここで比企谷に対して少しキツイ事を言うかとも思ったが、どうやら叩かれた陽乃さん自身が気にしていないのと、心配そうな目で見つめているのを見て「比企谷八幡」という人間が普段こんな事をするような人ではないと、そう思い至ったのであろう。

 

「………よし決めた。2人とも何も言わないでね。

ちょっと強硬手段に出るから。」

「え、陽乃さん?何を」

 

そう言って比企谷に近づいていく陽乃さんは、先ほどより柔らかめな声で宥めながら手を伸ばしていく。

が、それを怯えた目で見た比企谷は体をビクッと大きく震わせ、恐怖から逃げるように目を力強く瞑る。

 

「完全に怯えているな。日常生活の中で一体何があったらこんな状態に……」

「お兄様……」

 

そんな今にも壊れてしまいそうな比企谷の様子が、深雪の不安を掻き立てるのだろう。

だが所詮他人である自分たちに何が出来るわけもない。

それに今何かをしようとしているのはあの「雪ノ下陽乃」である。

彼女でどうにもならないのならば、それはもう、どうしようもないのであろう、だから。

 

「ここは陽乃さんに任せよう。」

 

そう言って深雪の頭を撫でた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

〜八幡side〜

 

ぼんやりしてはっきりしない視界の中、目の前に手が迫ってくる。

先程俺が反射的に払ってしまった手だろうか。

 

(思い切り払ったが、怒ってるのかな…)

 

そもそもこの手は誰のものなのだろう。

目が覚めたと思った時、最初に聞こえてきたのは雪ノ下の声のはず。

ならばあの手は雪ノ下の物なのだろうか?

 

(もし…もしそうなら、そうだとして、

怒っているなら何をされるんだろう

何を言われるんだろう……怖い…怖い)

 

そんな得体の知れない事への恐怖に、俺は目を閉じることしか出来なくなっている。

そろそろあの手が俺に届く頃だろう。

そう思ったら勝手に全身に力が入る。と、その時だった。

 

「大丈夫だよ。比企谷くん。」

 

そんな風に柔らかな声が耳元で響いた。

それが全身に広がっていき、体が暖かくて柔らかいものに包まれていく。

 

「そう、そのまま体を預けて。」

(なんだろう、安心する。)

 

力が抜けていくのがわかる。そのまま沈んでいきそうで少し不安になり、「何か」にぎゅっとつかまる。

 

「んっ、ほら。大丈夫でしょう?」

 

そう「何か」が優しく問いかけてくる。

そこでようやく気づくことがある。

さっきまでぼんやりとして碌に何も映さなかった視界は澄み切っていて、耳に届く声は鮮明に頭に入ってくる。

そして自分が「何か」ではなく、「誰か」につかまって、否。

抱きついていることも。

 

「ん……え?」

 

ここまで理解してようやく自分が「誰に」抱きついているのか、という疑問が湧いてくるが、それはすぐに解決される。

 

「おはよ、比企谷くん。安心できた?」

 

そんな聞き覚えのある、ありすぎる声。

 

「ぁ…え?おはよう…ござい、じゃなくて!ちょ!?え!?なにこれ??」

 

そう、あろうことか俺はあの、「雪ノ下陽乃」に抱きついていた。

 

「んーー、比企谷くん抱き心地いいねー。んふふー」

「ふぁっ!?なに、ちょ、離して……」

(おおおおおお!?力強ぇ!?なに、なんで離さないの!?なんでご機嫌なの?ちょっ、なにこれいい匂い!?ってか恥ずか死ぬ!)

 

あまりの恥ずかしさにジタバタするも逃してくれる筈もなく、それでもなんとかしようと考えていると、

 

「あ、あの〜?」

 

という声が、聞き慣れた声色が耳に届いて体が固まる。

が、

 

「大丈夫だよ、比企谷くん、ここに雪乃ちゃんはいないよ。」

 

という陽乃さんの言葉がスッと届く。

 

「え…でも……この声は。」

「すみません。怖い思いをさせてしまいましたかね。

でも私は雪ノ下雪乃さんではありません。司波深雪です。」

「司波……」

「はい。陽乃さんの妹ではなく、ここにいる私の兄の妹です。」

「深雪の兄の、司波達也だ。」

 

どうやらこの声は雪ノ下ではないらしい。

似すぎでしょ。

てかここ駅のホームじゃないの?人気なさすぎじゃない?

いやこの現状を見られたいわけじゃないんだけども!

……まぁとりあえず、

 

「雪ノ下さん。」

「ん?どーしたの比企谷くん。」

「これ、解いてください。

名乗ろうにもさっきの2人の顔がさっぱり見えません。

あと恥ずかしいです。」

 

いや、ほんとにね。

 

「んー、まぁしょうがないねー、よっと。」

「ふぅ、ありがとうございます。

で、2人は雪ノ下さんの知り合いですか?」

「そーだよ。魔法科高校の後輩(予定)なんだ。」

「なるほど。比企谷八幡です。その、なんだ、見苦しいところをお見せしました。」

「い、いえ、それはいいのですが……」

 

まぁ……そうだよな、流石にあんな状態の人間に関わってとりあえず落ち着いたからはいさよなら。って出来るほど冷めてるようには見えないし。ってなると……

 

「まぁとりあえず落ち着いたところで。

比企谷くん、お姉さんちょっと聞きたいことがあるんだけど。

お話できる?」

 

そりゃこうなるわな。仕方ない。

 

「……まぁ、いいですよ。

どうも介抱してもらってたみたいなんで。」

「そう?じゃあとりあえず喫茶店でいいかな、今日2回目だけど達也くんと深雪ちゃんはどうする?」

「「行きます。」」

「おや、2人とも比企谷くんに興味津々だねぇ。

それじゃ、行こうか。」

 

 




いかがでしょう。

基本的に俺ガイルのキャラってみんな好きなんですよね自分。
ならなんでアンチをつけるのかって、そっちのが好きだからっていうだけのお話です。

まぁそんなことよりちゃっちゃと魔法科高校に入りたいですね。

ではまた次回。





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