ぼっちは魔法科高校へ〜魔法の一雫〜   作:裂猫
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裂猫でございます。

今回は司波兄妹のお話、あの人も登場です。

前書きでダラダラと書くのもアレなんで本編へ。
では、どうぞ。


兄妹は千葉で何を聞くのか

とある喫茶店にて、3人の男女の姿が見える。

テーブル席に2対1の形で座っており、結構な時間話し込んでいる様子である。

隣り合わせで座っている、服装が制服であることから学生であろう2人の男女。

 

「今日は本当にありがとうございました。とても有意義な時間が過ごせたように思えます。深雪も楽しかったか?」

「はい、お兄様。私もとても楽しく意義のあるお話を聞けたと思います。重ねてお礼を申し上げます。陽乃さん。」

 

2人の会話からこの男女が兄妹の関係にあることがうかがえるが、

「深雪」と呼ばれた少女の類稀な美貌と、「お兄様」と呼ばれた少年の立ち振る舞いや姿勢、そこに世間一般の兄妹にしてはなかなか見られない、近すぎる距離感も相まって、どこか恋人同士にも見えてしまう。

 

「あははっ!いいよーお礼なんて。私も達也くんと深雪ちゃんと話すの、いつも楽しみにしてるんだからー。にしてもほんと仲いいねー、羨ましいなー。」

 

そんな二人を対する席から眺めていた「陽乃さん」と呼ばれた女性は、これまた道ゆく男も女も振り返っては見惚れてしまうような美貌の持ち主。

 

「そういえば陽乃さんにも妹さんがいらっしゃるのですよね?」

「そうそうとっても可愛いんだー、雪乃ちゃんって言うんだけどね?でも最近ある男の子にお熱でさ〜。その男の子は私も気に入ってる子なんだけどね?……まぁ、この話はまた今度しようか。」

「そうですね。時間も時間なので俺たちは今日はここで失礼します。」

 

とそんな風に男も女も誰もが羨む

「お兄様(達也くん)ハーレム」は一先ず終わりを迎える。

最も、一人は必然的に一緒に帰るのだが。

 

「そっか。じゃあ私はもうちょっとここで休んでから帰るね。

2人とも気をつけてね〜。」

「はい。それでは。」「失礼します。」

 

そう2人が告げ、お店から出ていくのを見送った女性は、いつのまにか机の上にお金が置いてあることに気づく。そしてその下に書き置きが。

 

(今度は、授業中じゃなくてちゃんと休日に来てくださいね。)

 

「ありゃ、怒られちゃった。ふふっ、中学生のくせに生意気だぞ〜?というか年下に奢られる私の身にもなって欲しいなー。」

 

そうしてしばらくして紅茶を飲み終え、ふと窓の外を眺める。

すると女性の目が驚いたように見開く。

 

「あれは…なんでこの時間に居るんだろう……まだ部活の時間だよね。」

 

どうやら女性の視線の先には一人の男子学生がいる様だ。

その学生の表情をうかがおうと、女性は顔を見つめる。

すると女性は何かに気がついたようにはっとして、急いで会計を済ませ彼の後を追ってお店を後にした。

 

 

〜達也side〜

 

陽乃さんと別れ、場所は変わって駅のホームに俺と深雪は居た。

そこで今日陽乃さんから聞いた話に出てきたとある男子学生の話をしていた。

 

「しかし面白いな。魔法による事象改変を「直接」と言う制限は有りながらも影響を受けない体質とは。」

「そうですね。そんな体質であれば、精神干渉魔法はもちろん、直接相手を吹き飛ばす術式や、もしかするとお兄様の魔法も効かないのかも知れませんね。」

「そこだな、まぁ魔法とは無縁の学校に通っているようだし、俺たちの脅威にはならないと思うが。あの陽乃さんが気に入る理由も何となくわかる気がする。」

「ふふっ、あの人のことですからきっとその体質云々よりもその男の子の内面に興味を持たれているのだと思いますよ?お兄様。」

「そうだな。そうなると一層、一度会ってみたいと思ってしまう。」

 

そんな話をしていると、とある女性が目に入る。

 

「達也くん!深雪ちゃん!」

 

先程喫茶店で別れた、陽乃さんである。

 

「陽乃さん?どうされました?もしかして私たちが何か忘れ物でもしたのでしょうか?」

「う、ううん、違くて。」

 

陽乃さんは忙しなく辺りを見渡しながら深雪の問いに答える。

 

「何か、というよりこんな場所に来るということは誰か、探しているのですか?まだ少し時間がありますし、この近くに居るのなら探すのを手伝いますよ。」

「ほ、ほんと?ありがとう、実はさっきの話にも出てきた男の子が帰ってるのが見えて、それだけならいいんだけど少し様子が変だったから…」

「なるほど、陽乃さん。私達もお手伝いします。何か特徴のようなものはありますk「あ!いた…」あら、必要なかったですね。」

 

陽乃さんが見つけた「誰か」を認識するために、俺と深雪は陽乃さんと同じ方向を向く。

そこで目に入ったのは、アホ毛を跳ねさせ、俯いて息を切らしている一人の男子学生。

確かにどこか暗い雰囲気、というか様子がおかしいように感じる部分はある。ふらふらとした足取りで、体調も悪そうである。

 

「なるほど…確かに少し様子がおかしいねすね。」

「いますぐにでも倒れてしまいそうですね…何かあったのでしょうか?」

「体調が悪いのかもしれないけど…とりあえず家まで連れて帰ってあげないと、比企谷く…ッ!?」

 

そう言って男子学生の名前であろうものを呼びつつ近づこうとした時、彼が前のめりになって倒れていく。彼は並んでる列の先頭周辺に居たため、その先には線路が見えている。

陽乃さんはそれを見た瞬間、少しだけ固まってしまう。

 

「………はっ!?比企g「お兄様ッ!!」」

「あぁ。」

 

はっとした陽乃さんが再び名前を呼びながら駆け寄ろうとするより前に、深雪が俺を呼ぶ。

それと同時に男子学生に近づき線路から遠ざけるように起こしながら列を避ける。と、すぐに二人が駆け寄ってくる。

 

「お兄様……」

「あぁ、大丈夫だ。少しふらついただけだろう。瞬間的に意識が落ちてるだけだろうからすぐに目を覚ますと思うよ。」

「よかった……陽乃さん、彼は?」

「彼は比企谷八幡くん。さっき言ってた私のお気に入りの子で、事象改変の影響を受けない体質の子。」

「彼が…」

 

そこまで話した時、比企谷が目を覚ます。

 

「ん……」

「大丈夫ですか?比企谷くん?」

 

すかさず深雪が比企谷の意識を心配する。だがそれは逆効果だったようで。

 

「ッ!?雪ノ下!?ごめんなさいごめんなさい俺が悪かった…やめてくださいこれ以上何も言わないでくれ俺はただ俺は……」

「「「…雪ノ下?」」」

 

深雪の顔を見るより先に「雪ノ下」という存在が近づいてきたと認識したらしい比企谷は何かを謝り始めた。

ただ、その苗字には俺たちにも覚えはあったため、その方向を向く。

「雪ノ下」本人かは分からないが、何か関係はしているであろう、今しがた来た道を眺める、「雪ノ下陽乃」に説明を求めるために。




はい。いかがでしたでしょうか?

個人的に司波兄妹は八幡の味方について欲しいと思い、最初に関係を持たせたかったので、ここで達也と深雪は八幡との出会いを。

そして大魔王(になるかは分からない)はるのんも登場させました。

雫ヒロインとはいいつつ第一高校に入るまであと少しかかります。暫しお待ちを。





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