この試合を最後に退任するヤマハ発動機の清宮監督は、試合終了のホーンが鳴った後の自軍スクラムを感慨深く見届けた。「いいシナリオライターがいるんだな」。“ヤマハスタイル”の象徴として育て上げたスクラムが、ぐいっと押し込んで試合が終わったことに満足そうだった。
ヤマハ発動機は、17点差をつけられて折り返した後半から看板のスクラムが安定し始めた。後半20分、ゴール前のラックから石塚がゴール中央に飛び込み逆転。その後もスクラムで反則を誘い、4点差で逃げ切った。
清宮監督は、自身のラストゲームを昨年12月8日の日本選手権準決勝で敗れたサントリー戦と位置付けている。この日は、今季限りで引退する選手を勝利で送り出すことが最大の目的。試合後の会見では、37歳になる元日本代表のプロップ仲谷や170センチのCTB宮沢ら、身体能力で劣る選手が他の持ち味を生かした例をあげた。「(その姿が)ヤマハらしいと呼ばれるようになった」。チームの成長を実感し、8年間の指導に幕を下ろした。 (末松茂永)