八幡は魔法科高校ではぼっちでは居られない 作:sinobun
<< 前の話 次の話 >>
深雪side
「(本来なら八幡がこの場に居るはずなのに手を抜くなんて、叔母様も八幡に甘過ぎるのではないかしら)」
深雪は八幡が入試で手を抜いたと確信している。そしてそんな八幡に対して、叔母である真夜が昔から甘すぎることも。
そんな事を考えながら八幡の姿をステージ脇から探していたのだが中々見つからない。
前と後ろで一科と二科が分かれているのはすぐわかったので(八幡同様この光景には溜め息が出た)おかしいなと思いながらも次に達也を探す事にした。するとその姿はすぐ見つかったのだが、達也の後ろで今正に美月に手を握られて狼狽えている八幡の姿も目に入った。
「(は~ち~ま~ん~、先ほどは「俺の深雪」なんて言っておきながら見たこともない女性とあんな事を!よく見たらお兄様と八幡の周りに四人も知らない女性がいるわ!やっぱりあとでお兄様も含めてお仕置きね)」
「これより、国立魔法大学付属第一高校入学式を始めます」
深雪がどんなお仕置きがいいか考えていると深雪の新入生代表の挨拶がすぐに回ってきた。
「続きまして新入生答辞。新入生代表、司波深雪」
深雪が壇上に立つと、男子も女子もその姿に見入られていた。
しかし当の深雪の目には八幡の姿しか入っておらず、まるで目が合っただけで凍り付いてしまいそうなくらいの冷気を八幡にだけ向けて放っていた。
八幡side
「やっ、やばい。達也助けてくれ。」
「俺は知らん自業自得だろ。それに若干だが俺も寒気を感じる」
深雪から向けられる冷気に怯えながら八幡は震えていた。
「ねぇ、司波って、もしかしてあの子が八幡がナンパしたって言う達也君の妹?」
深雪に怯える八幡は置いておき、エリカが達也にそう聞く。
ちなみにここにいるメンバーはお互いに名前で呼び合うことになった。
「ああ、そうだ。八幡がナンパした妹の深雪だ。先に言っておくが双子じゃないからな。」
「だからナンパなんてしてないからなっ!」
八幡が抗議する中、女子四人はそれぞれ深雪の美しさに見惚れていた。
「ひゃー、凄い美人ね」
「はい。八幡さんがナンパしたのも頷けます」
「むむむ・・ゆきのん、悔しいけど美人だね。」
「ええ、確かにそうね・・・」
エリカと美月は素直に称賛を、雪乃と結衣はどこか対抗する様な感想を漏らした。
それを聞いていた八幡は
「だからナンパはしてないからな?それにお前らだって十分美少女じゃねーか!」
深雪に対する怯えとナンパに対する抗議でテンションがおかしくなった八幡はいつもの癖でそんな事を口走った。
それを聞いた四人は・・・
「や、やーね八幡!いきなり何言ってるのよ!このスケコマシ!!!」
「あっ、あのっ、そのっ、ありがとうございます・・・ううう。」
「ヒッキー何言ってるし!でっでも、嬉しいかも・・・」
「女誑しヶy・・・女誑し葉君っ!貴方はいつから女性に対して軽々しくそんな事を言う人になったのかしら?」
四人はそう言うとそれぞれ嬉しいやら恥ずかしいやらで式が終わるまで黙ってしまった。
居心地の悪くなった八幡は達也に
「なぁ達也?」
「なんだ八幡?」
「もぉ帰ってもいいか?」
「帰ってもいいが、たぶん後から深雪がお前の家まで行くと思うぞ。」
「ですよねぇー」
こんなやり取りをする中、入学式は無事?に終了したのだった。
「さて、式も終わったみたいだし一度教室にでも顔を出してみるか。達也は深雪を待つんだろ?」
来賓や一科生の生徒に囲まれている深雪を見ながら八幡は達也にそう尋ねた。
「ああ、そのつもりだ。それまで俺も教室を見ておくかな。俺はE組だがみんな何組なんだ?」
「俺はA組だ」
「やった!私もE組だよ」
「私もE組です」
「私もE組だよー」
「私はA組ね」
達也の問いに八幡、エリカ、美月、結衣、雪乃の順にそう答える。
「上手い事分かれたものだな」
「ホントだな。じゃーそろそろ教室に行ってみるか」
そう言って移動しようとする八幡に達也は
「八幡また後でな。くれぐれも逃げようとは思うなよ?」
深雪のさっきの様子から、八幡がいないと自分に全ての矛先が向くと思った達也は八幡にそう釘をさす。
「ぐっ、わかってる。ちょっと教室に顔を出したらすぐそっちに行くさ」
「八幡君は私が監視しておくから安心して達也君」
雪乃が達也にそう伝えると六人はそれぞれの教室へ向かった。
八幡と雪乃が教室に入ると中には既に多くの生徒が見て取れた。
二人がそれぞれの席を確認して特にする事もないので教室を出ようとした所に雪乃に声を掛ける者がいた。
「雪乃!」
雪乃もその声を掛けてきた相手を確認すると返事を返す。
「雫!」
その雫と呼ばれた少女はもう一人の少女を連れて雪乃と八幡の元へとやって来た。
「久しぶりだね雪乃。一高に入ったんだね」
「ええ、お久しぶり。色々事情があってここに入る事にしたのよ」
八幡を見ながらそう言う雪乃に気が付いた雫は、何かピンときた様にこう言った。
「じゃあこの人が雪乃を捨てていきなり居なくなったっていう・・・」
「こらこら、捨ててないから!」
雫の爆弾発言に思わず八幡はツッコミを入れた。
「またこうして会えたからもういいのよ。」
「こらっ!お前もこれ以上紛らわしい事を言うな。それよりこの二人は雪乃の友達か?」
「ええ。彼女の名前は北山雫。雪ノ下家がお世話になってる北山家のご令嬢よ。そして隣に居るのが雫の親友の光井ほのか。」
「初めまして。北山雫。よろしく。」
「光井ほのかです。よろしくお願いします。」
「四葉八幡だ、よろしくな」
「「えっ?」」
雫とほのかが一瞬ひるんだと思ったがそれだけではなかった。
八幡が四葉と口に出した瞬間、教室中の視線が八幡に集まった。
「四葉ってあの四葉だよね?」
「あれが四葉の・・・」
「噂では聞いてたけど本当に一高に入学したんだ。」
その視線と声を聞いた八幡は
「(はぁ~、やっぱりこうなるのか。俺は静かに暮らしたいんだけどな)」
それを見ていた雪乃は八幡をフォローするように雫達にこういった。
「私も実は彼が四葉だとさっき知ったのよ。でも大丈夫。八幡君は私達と変わらない普通の男子高校生よ。ただ女誑しの様だから雫とほのかも気をつけてね!」
「うん、わかった気をつける」
「そこはわかんなくていいからな!女誑しじゃないからね?」
「冗談。さっきは嫌な思いさせてごめんなさい。これからよろしく。」
「私もすいませんでした!よろしくお願いします。」
「おう、こっちこそよろしくな」
雫の無表情に本当に冗談なのかと疑問を持ちつつも八幡も二人にそう挨拶を返した。
二人と別れ達也達の所へ八幡と雪乃は向かうことにした。
どーしてもハーレム寄りになってしまいます。
でもメインは深雪です。