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【大相撲】

矢後からトンボへ 新入幕で快進撃5連勝

2019年1月20日 紙面から

大翔丸(左)を攻める矢後=両国国技館で(武藤健一撮影)

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◇初場所<7日目>

 (19日・両国国技館)

 新入幕の矢後(24)=尾車=が大翔丸を押し出し、1敗を守った。一人横綱となった白鵬(33)は松鳳山をはたき込み、土つかずの7連勝。阿武咲が初黒星を喫したため、単独トップに立った。

 矢後が新入幕らしからぬ貫禄たっぷりの取り口で、幕内前半を盛り上げている。この日は大翔丸を突き起こして主導権を握り、はたきにも慌てず押し出して5連勝。初土俵から所要10場所、スピード出世でたどり着いた幕内の土俵で「満足はしていないけど、思ったより良い成績」。1敗を守り、7連勝の白鵬を追走している。

 本名のままのしこ名が、特大の期待の表れだ。所属する尾車部屋の力士は通常、師匠の尾車親方(元大関琴風)の現役時代にあやかり「風」の入ったしこ名を名乗る。しかし、矢後は新十両昇進を決めた2017年の名古屋場所後も、改名を見送っていた。

 「まだヤゴ。トンボになって羽ばたいたら(しこ名を)付けようかとなった。それに、矢後ってしこ名っぽいでしょ。平凡じゃこうはいかない」

 名字と読み方が同じトンボの幼虫にちなみ、将来性を見込んだ師匠の計らいだった。トンボは前にだけ飛ぶ習性で「勝ち虫」の異名を持ち、戦国武将が兜(かぶと)にあしらった縁起物だ。

 中学時代に両膝を負傷し、土俵上では今でもサポーターが欠かせない。古傷の負担を軽減するためにも「師匠から『引くな。体を生かして前に出ろ』と言われ続けてます」と187センチ、178キロの恵まれた体格を武器に前へ前へ。トンボを見習うように、下がることはない。

 中大時代の16年に全日本選手権でアマ横綱を獲得した大器は、北海道出身。今場所からようやく大銀杏(おおいちょう)姿で土俵に上がる24歳は、大鵬や北の湖、千代の富士、北勝海(現八角理事長)ら名横綱を輩出した相撲王国の再興の期待も背負っている。

 場所後には、故郷の芽室町で新入幕を祝うパーティーが開かれる。現地の積雪で転ばないか、心配した報道陣に「その辺はボクくらいになれば大丈夫」と笑顔。凱旋(がいせん)へ、自慢の足腰を生かしてまずは勝ち越しを目指す。 (志村拓)

 

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