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(萬平)私は 理事長職を退任いたします。
そのかわりに 御行のどなたかを新理事長として派遣して頂きたいのです。
お願いいたします。
どうか 御行のお力添えでこの池田信用組合を 残して頂きたい。
そして 池田の産業の発展にご協力頂きたい!
お願いいたします!
♪「丸まってる背中に もらい泣き」
♪「恥じだって一緒に」
♪「あなたとならトゥラッタッタ♪」
♪「飛行機雲ぼんやり眺む」
♪「心ここに在らず」
♪「年間トータル もししたら」
♪「付き合うあたしすごい?」
♪「とぼけてる眉毛に もらい笑い」
♪「照れだってなんだって」
♪「あなたとならトゥラッタッタ♪」
♪「もらい泣き もらい笑い もらい怒り」
♪「もらいっ恥じ どんと来い!」
♪「晴天も曇天も霹靂も」
♪「さあ あなたとトゥラッタッタ♪」
(矢野)先日の立花さんのご提案検討させて頂きました。
はい。
ご提案を受け入れます。
立花さんには理事長を退任して頂き後任の理事長には当行の者を就任させます。
では 池田信用組合はなくならずに済むと。
はい。 理事長以外の職員の方には引き続き 残ってもらって結構です。
ありがとうございます 矢野さん。本当に ありがとう。
私に礼を言われても。
これは 当行の幹部会議で決まったことです。
では 皆さんに感謝いたします。どうぞ よろしくお伝え下さい。
(真一)ありがとうございました。
立花さん…。はい。
お辞めになってもどうか 頑張って下さい。
ありがとうございます。
失礼。
ありがとうございました。
池田信用組合は残ります。
理事長は代わりますが真一さんは 今の立場のままここを支えて下さい。
どうか よろしくお願いします。
申し訳ない!えっ。
萬平君一人に… 一人だけに責任を負わせることになってしまった。
本当に申し訳ない。
そんなこと気にしないで下さい。
これは 僕が提案したことですから。
理事長が代わることは総代会の決議によって無事 認められました。
梅田銀行との強い結び付きが出来ることによって池田信用組合は安定します。
梅田銀行には 織田島製作所さんへの支援を引き継いでいくよう約束を取り付けておりますからすぐに万能調理器の生産を開始できます。
(健三)立花さん… おおきに!
(正)立花さんのおかげです。
(久美子)本当に ありがとうございました。
いやいやお礼を言いたいのは僕の方です。
織田島さんたちが僕に もの作りの楽しさを思い出させてくれました。
本当に 感謝しています。
(神部)萬平さんはこれから どうされるんですか。
神部君まで そんなことを。
もし もの作りの現場に戻られるんなら僕も一緒に。
君は 今や 北浜食品の幹部社員だろ。
タカちゃんだって養っていかなくちゃならないんだしいつか 子どもができたらもっと責任は重大になるぞ。
せやけど 僕は萬平さんについていきたいんです。神部君。
誰かが必要になった時は絶対に僕に 一番に声をかけて下さい。
お願いします!
分かった。 約束するよ。
そのころ 福ちゃんは裁判所によって自宅も競売にかけられたので敏ちゃんと一緒に新しいおうちを探していました。
(敏子)ここやない? 福ちゃん。(福子)あっ そうやね。
古いわね。
せやけど 家賃は2,000円よ。
駄目よ。 信用組合の理事長やった人がこんな所に引っ越すなんて。
大丈夫 萬平さんは気にしないから。
あっ ここは裏庭がある。ええっ。
あっ うわっ うわっ うわっ。 いや~。うわ~。
まあ!畑や!
あっ ここでお野菜を作ればお金使わずに済む。
こんな ええ所 ほかにないわ。
回想 敏ちゃん… ほんまは 怖いの。
萬平さんには 言わんといてね。
誰にも言わんといて…。
大丈夫よ 福ちゃん。
福ちゃんなら 絶対 大丈夫。
私かて ハナちゃんかて福ちゃんのこと応援してるから。
つらいことがあったら 遠慮なく言うて。
友達やから 私たち。
福ちゃん?
ありがとう 敏ちゃん。
泣いたら すっきりした。
えっ?
そうよね。 私には敏ちゃんやハナちゃんがいるんやから。
克子姉ちゃんや 忠彦さんや 真一さんやタカちゃんも 吉乃ちゃんもお母さんもいるんやから。
そうよ。
大丈夫…。
うん 大丈夫!
フフ… なんとかなる。
うん ここに決めた!
ほんまに?
福ちゃんが言ったとおりこの家に決めたことに萬平さんは何も言いませんでした。
(宮下)立花萬平前理事長に代わりまして新しく理事長に就任いたしました宮下宗吉と申します。
立花萬平前理事長が築かれたこの池田信用組合を更に発展させるべく尽力いたします。
よろしくお願いします。
(拍手)
ああ… 宮下新理事長のご挨拶を伺い思い残すことなくこの池田信用組合を去ることができます。
ただ 宮下新理事長は私が築き上げた池田信用組合とおっしゃっていましたがそれは違います。
ここを築き上げたのは 皆さんです。
私は それを潰しかけてしまった戦犯にほかならずその責任をとって理事長職を退くのは当然のことであります。
私は 一からいや ゼロから出直すことになります。
47歳からの再出発は厳しいとおっしゃる方もいるかもしれません。
でも 私は そうは思っておりません。
むしろ これからもう一花咲かせてやろうと張り切っております。
皆さんには 本当に感謝しています。
8年間 どうもありがとう。
(拍手)
ご苦労さまでした。ありがとう。
2人も練習したでしょ。
(2人)お父さん ご苦労さまでした。
ありがとう。
ああ~ うまい。
ハハハ。さあ そしたら頂きましょう。
頂きます。(3人)頂きます。
何か 懐かしい。
そうだな。フフフフフフ。
(鈴)ここの晩ごはんは 豪勢ね。
(克子)えっ?
福子のところはおかずが 1つあるだけ。
こないだまでは ごちそうやったのに今は すっかり落ちぶれて。
落ちぶれてなんてやめてよ お母さん。
(タカ)福子おばちゃんは全然平気やって。
(吉乃)お金がなくても 家族が元気ならそれでいいって言うてたわ。
(忠彦)お金のことは できる限り助けるからって言いましたけど大丈夫やって言うんです。
そのかわりお母さんをよろしくって。
(ため息)
さみしいんですか? 源ちゃんとさっちゃんと離れて暮らすのが。
それもあるけど…。
後ろめたいの?後ろめたい?
自分だけ ここにいるのが。
はあ… 何を言うてるの。
私は 寂しくもないし後ろめたくもありません。
ここには タカや吉乃もいるもの。
うん おいしい。
これが 源が2歳。
こんな 小ちゃかったのね。
(源)へえ~。フフフフ。
幸は もっと ちっちゃかったぞ。
ここに来た時はまだ生まれたばっかりだったもんな。
(源)どんどん大きくなってる。
(幸)私も。
この家に8年…。
たくさん思い出があるなあ。
うん。
新しい家でまた たくさん思い出作りましょう。
そうだな。
よし お前たち 乗っていいぞ。
ほんまに!(幸)私も!
大丈夫? 落ちんといてよ。
(源)は~い。(幸)大丈夫。
行くぞ。うわ~。
出発だ。
(2人)出発!
(笑い声)
♪~
出発!
それは 昭和32年 暮れのことでした。
ちゃんと つかまってろよ。萬平さんも 気ぃ付けて。
大丈夫だって。おい ほら もう少しだ。