柔道整復師になるには
柔道整復師専門学校に3年間通う必要があります。最近では夜間部のある学校もあり、時間や学費に多少の融通が利くようになってきてはいますが、基本的には朝から夕方までみっちりと授業があるので社会人であれば仕事と両立するのはまず不可能。
学費は学校にもよりますが、3年間で約400万円程かかります。専門学校に3年間通うと柔道整復師の国家試験の受験資格が与えられ、毎年3月、年に一度だけ試験が行われ合格すると晴れて柔道整復師の資格が与えられます。
もし落ちてしまっても柔道整復師の専門学校を卒業していれば受験資格はありますので何度でも受験することが可能です。
増え続ける柔道整復師と整骨院
柔道整復師は平成22年の時点で約5万人、柔道整復師の専門学校が増えた影響もあり年間で約5000人の合格者を輩出し続けているのが現状ですので平成27年現在は約7万人に到達している計算となります。
整骨院の数は平成22年度で37997院、平成24年の時点で42431院、こちらも現在ではさらに多くの整骨院が開業していると思われます。コンビニ大手3社の全国店舗数が約4万店ですので異常な数になっていると言えます。
鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師の国家資格と比べて急激に柔道整復師の数が増加しており、主に柔道整復師が務める整骨院は激しい競争の中にあります。
激化する整骨院競争と整体マッサージ店の台頭
整骨院に来院する患者の6~7割は慰安のマッサージが目的で、整骨院本来の治療を行う患者は全体の2~3割とされています。
つまり、同じく慰安が目的の顧客をターゲットとしている2980円のクイックマッサージやリラクゼーションサロンとの顧客の奪い合いは必至で、柔道整復師は同じ資格を持つ整骨院と民間業者が経営する整体マッサージ店との競争を余儀なくされています。
柔道整復師の一番の強みは保険請求と安定
柔道整復師の一番の強みは保険治療が行えること。これこそが鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師よりも国家資格としての人気を集めた大きな要因。
仮に慰安のマッサージ目的で来院した患者でも、レセプトと言われる保険請求の用紙を書いて各自治体の窓口に請求すれば保険料として収入を得られるのです。※もちろん不正な請求は却下されます。
クイックマッサージ等の台頭でいくら整体マッサージ業界の価格破壊が進んでも、保険適用された慰安マッサージの料金には到底敵うわけがありません。だからこそ、将来の安定を見据えて柔道整復師の資格を多くの人が求めたのです。
民間の整体マッサージ店はいつ潰れてもおかしくありませんが、保険請求のできる整骨院であればそう簡単に潰れることはない。一昔前に言われていた銀行は潰れない説のようなものです。
保険治療が行えなくなる
しかし、柔道整復師の保険請求額は平成21年時点で4000億円を超えており、度重なる不正請求による逮捕者も後を絶ちません。同じく保険請求を行っている医師会や各保険団体等から柔道整復師による保険請求の問題点は数多く指摘されており、年々その状況は厳しいものとなっています。
国の社会保障制度の見直しと莫大な医療費の事業仕分けが行われるのは間違いなく、その際、整骨院での保険適用に関する条件は今のものよりも厳しい基準になることは間違いないでしょう。
となれば、暗黙の了解でまかり通っている慰安マッサージの保険適用は難しくなり、民間の整体マッサージ店と同様の価格帯での競争を強いられることになります。
整骨院に来院する患者の2~3割が治療目的ですから、7割近くの売り上げが保険の効かない自由診療での勝負となるわけです。
100%の顧客が保険の効かない整体マッサージ店よりは多少メリットはあると言えますが、3年間、400万円という金額と時間を投資するに値するとはもう言えなくなってきているのが現状です。
柔道整復師の将来のまとめ
◦柔道整復師になるには3年間、総額400万円の学費を払い専門学校を卒業して年に一度の国家試験に合格しなければならない。落ちても何度でも再受験は出来る。
◦柔道整復師、整骨院いずれも数が増え続けており整骨院同士での競争が激化している。
◦いずれは保険請求が出来なくなる可能性が高く、民間の整体マッサージ店との顧客の奪い合いも予想される。
慰安マッサージと言われ民間の整体マッサージ店が行っている『癒し』の市場と柔道整復師の『治療』の市場の線引きが近い将来はっきりとするでしょう。将来の安定のためだけに柔道整復師の国家資格を考えているのであればおススメ出来る資格とはもはや言い難い局面に来ています。
政治、経済、社会情勢によって保険制度がどのように変化するかは誰にも断定できませんが、本来は『治療』を行う為に柔道整復師がいて保険制度があります。そこをしっかりと理解して自分に必要な資格なのか判断しましょう。
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