一斉に卵パカパカ、カメムシ幼虫出現 ふ化の謎、京大が解明
日本国内で広く見られるカメムシの一種である「クサギカメムシ」が一斉にふ化するメカニズムを解明したと、京都大などのグループが発表した。最初に生まれた幼虫が卵を割った瞬間に発生する振動が他の卵に伝わることが要因といい、成果は米科学誌「カレント・バイオロジー」に掲載された。
動物の卵が一斉にふ化するのには、光や水、振動などさまざまな要因が影響することが知られる。クサギカメムシも30個弱の卵塊が10~15分ほどで一斉にかえる。クサギカメムシは共食いの習性があり、一斉にふ化する理由は、後にふ化する幼虫が、先にかえった幼虫に食べられるのを免れる狙いがあると考えられるが、その詳細な仕組みは知られていなかった。
京大理学研究科の沼田英治教授や遠藤淳研究員らのグループは、クサギカメムシの卵一つ一つの間の距離を離すと、全てかえるのに約2時間要する点に着目。二つの卵を用意して一方の卵が割れた瞬間にもう片方の卵に伝わる振動を計測、同じ振動を機械で再現してふ化前の卵に与えた。すると15分以内に卵がかえる割合が振動を与えない場合と比べ大きく増え、10倍になったケースもあった。
沼田教授は「クサギカメムシは世界的に農業害虫、衛生害虫として問題視されており、その生態の一端が分かったのは意義深い」としている。
【 2019年01月19日 14時31分 】