1月12日、激動の'11年を駆け抜けた吉川晃司に密着した書籍「愚 日本一心 吉川晃司」が発売された。
'11年、東日本大震災という未曾有の災害を受けて、吉川晃司は誰にもしらせることなく被災地を訪れ、素性を隠し、ボランティア活動を行った。しかし、そこで彼は自然の脅威を目の当たりにし、愕然とする。さらに、津波で父親を亡くした少年から言われた言葉に、彼は大きなショックを受け無力感に襲われる。「仮面ライダーは津波のときに助けに来なかったから嫌いだ…」
吉川は「仮面ライダースカル」で子供たちのヒーローを演じたこともある。だが、原作者である石ノ森章太郎の故郷・石巻で彼は「エンターテイメントにできることは何か」を自問自答することになる。演じること、歌うこと、そして生きることの意味。そして、そこで最後に辿り着いた答えは、「自分のできる限りのことを、自分のやり方で実行するしかない」ということだった。
そこからの吉川の行動は素早かった。書家・紫舟氏と出会い「日本一心」を掲げた彼は、進み続けた。21年ぶりのCOMPLEX復活、広島の子供たちとレコーディングした平和を願う名曲「あの夏を忘れない」、そして、'11年10月30日の横浜アリーナを皮切りに、12月31日まで続いた全国ツアー。吉川は歌い続け、走り続けた。
そんな'11年の吉川に密着した、映像と書籍が連動した新しいドキュメントが生まれた。それが、「愚 日本一心 吉川晃司」と、1月20日(金)にWOWOWプライムで放送される、ノンフィクションW「吉川晃司 ヒーローになれなかった日 ~新たなる挑戦・日本一心~」である。どちらも、激走する吉川晃司に肉薄し、それぞれのメディアの特性を生かしたルポルタージュ作品ともいえる。
今初めて明かされる吉川晃司の苦悩と葛藤、そして愚直なまでの行動の裏にある真摯な想い。それら全てを正確に伝えるために、書籍では'11年の吉川晃司を本人の証言を交えて徹底的に掘り下げる。さらに、書家・紫舟氏との対談、小出裕章氏(京都大学原子炉実験所助教)との対談も収録。「吉川晃司を一字で表すと」との問いに「愚」と答えた紫舟氏。(彼女が記した「愚」という言葉がそのままタイトルとして使用されている)今改めて語られる「日本一心」。風化させてはいけない大切なものが、そこにある。また、反原発を提唱する小出助教に対し、広島出身の吉川が原発の“真実”を問う。読み手が手に汗を握るような、そんなスリリングなドキュメントに仕上がっている。
一方、ノンフィクションWは、“ロックアーティスト・吉川晃司”の27年、そして“人間・吉川晃司”の46年を掘り下げたドキュメント。仙台・広島・神戸など、ツアー先での吉川の姿も交えながら、吉川の動きを追い、広島・修道高校時代の水球部のチームメートを含む同級生たちの証言など、“人間・吉川晃司”のルーツをたどり貴重なインタビューも収録。デビュー映画「すかんぴんウォーク」監督の大森一樹氏、吉川晃司をモデルにしたキャラクターが登場することが話題となった'80年代の人気漫画「TO-Y」作者の上條敦士氏、映画「レディ・ジョーカー」監督の平山秀幸氏、書家・紫舟氏ら、吉川と深く関わってきたクリエーターたちによる証言は、全てに全力で向かい続けた彼の“人生=傷だらけの栄光”を浮き彫りにする。
アーティストドキュメントが“映像”と“書籍”という異なるメディアで連動し、同時に発表されることはほぼ過去に例を見ない。“枠組みに収まらない”、“古いルールに縛られない”、“既成概念に捕らわれない”そんな吉川晃司だからこそ、全く新しいドキュメントが生まれたのかもしれない。
1月12日 角川マガジンズより発売 1400円
「吉川晃司 ヒーローになれなかった日 ~新たなる挑戦・日本一心~」
1月20日(金)夜10.00-11.00 WOWOWプライムで放送