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【サッカー】

森保J、逆転勝利で1位突破 FW武藤が逆襲ののろし弾

2019年1月19日 紙面から

前半、ヘディングで同点ゴールを決めた武藤(右手前)(共同)

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◇アジア杯1次リーグF組 日本2-1ウズベキスタン

 【アルアイン(アラブ首長国連邦)松岡祐司】サッカーのアジア杯は17日、当地などで1次リーグE、F組の最終戦を行い、F組の日本はウズベキスタンに2-1で逆転勝ち。3連勝で勝ち点9とし、同組1位で決勝トーナメント(T)に進んだ。13日のオマーン戦から先発を10人入れ替えた日本は前半40分に先制されたが、同43分にFW武藤嘉紀(26)=ニューカッスル=が頭で同点弾、後半13分にはMF塩谷司(30)=アルアイン=が勝ち越しのミドルシュートを決めた。16チームで争われる決勝Tは20日から始まり、日本は21日(日本時間20時開始予定)、E組2位通過のサウジアラビアと対戦する。

 アルアインの夜空に向かって叫び、怒気をもはらんだ拳を振り下ろした。1点を追う前半43分。室屋が右サイドを持ち上がり、ゴールライン際から絶妙クロスを送る。北川がニアサイドでつぶれると、ゴール前の真ん中で武藤が待ち構えていた。

 「素晴らしいボールが来たので、どんぴしゃで決めるだけだった」。走り込み、伸び上がり、首を前後に振った。逆襲の口火となる同点弾は、2015年10月の親善試合イラン戦以来、実に3年3カ月ぶりのゴール。「長らくお待たせしました」と笑ったが、ひそかに悩み苦しんでいた。

 進化の確信があり、ゴールを奪う技術もある。なのに…。W杯ロシア大会1次リーグ第3戦・ポーランド戦。初先発した武藤は力み、空回りした。独善的なプレーを名指しで非難され「こういう思いは2度としたくないと思った」。

 1次リーグ最終戦、先発の大幅入れ替え、大会初先発。ウズベク戦で不思議とW杯と符合する条件、状況。「だからこそ、内容うんぬんよりも、何としても結果で応えないといけないと思っていた」。追加招集ではせ参じながら、序列ではエース大迫、22歳北川に次ぐ3番手の扱いというもどかしさ、悔しさを一撃に込めた。イングランド・プレミアリーグで闘う男の意地だった。

 クロスからの得点は少年期からの「十八番」だった。中学3年時、FC東京U-18の練習に初めて参加すると、武藤はクロスをことごとく沈めてみせた。「体が細くて弱かった。だけど、クロスからのシュート練習をやらせたら、高校生の中に入っても一番うまかった。ゴール前の感覚はずばぬけていた」とは、当時監督の倉又さんの説明だ。千載一遇の好機を、みすみす見逃すはずはなかった。

 「誰が出ても戦えることを見せられた」。武藤は汗を拭い、爽やかな笑みを浮かべた。アジアの覇権奪還へ、あと4勝。大迫がいれば-とは、もう言わせない。

 

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