往復より片道がお得?JRの「一筆書き切符」の仕組みとは?

新幹線※人生は「急がば回れ」と言いますが
きっぷも、安くしたければ回ったほうがいい・・・?

 

こんにちは。
日本中を鉄道で旅行するのが大好き、
「てりん」と申します。(ツィッターアカウント:てりん2)

 

ここでは、いわゆる「一筆書ききっぷ」の意味やメリットについて解説しています。

が、その前に
「片道切符」という言葉の意味をきちんと理解していることが
とても重要です。

 

そこで、まずは
君は片道切符の「片道」の本当の意味を知っているか?!
という記事を読んでから見ると3倍速く理解できます。
一度読んでみてね。

 

今日は、
JRで旅行するのなら往復切符で旅行するよりも、できる限り、片道切符1枚だけで旅行したほうがおトク?!
そんな、「一筆書ききっぷ」のお話です。

まずは「運賃逓減制」を理解しよう

JRは、きっぷの値段の計算において
”運賃逓減制”(うんちんていげんせい)という制度をとっています。

なんだか、見慣れない漢字ばかり・・・。

 

といっても、そんなに難しい話ではございません。
要は

 

”JRの切符の値段は、距離が長ければ長いほど割安”
というだけの話です。

ただし、これは「乗車券」に関しての話です。
特急券はまた別の話です。

 

では、まずは実際の例を見てみましょう。

 

以下は
大阪から静岡までの往復乗車券の値段と、大阪から福島県の郡山(こおりやま)までの片道乗車券の値段の比較です。

oosakasizuoka大阪から静岡までは、376.2キロで片道6260円。

 

ということは

往復すると距離と値段は当然2倍になるので、合計752.4キロで12520円。
1キロあたりの値段は16.6円。

(”指定席4420円”と書いてあるのは、「ひかり号」に乗るための特急券の料金なので今回は無視してOK)

 

oosakakooriyamaいっぽう、大阪から、福島県の郡山までは片道783.1キロ。
大阪と静岡の”往復”よりも距離が長いです。

ということは
大阪静岡間の往復、12520円より高いのか・・・?

 

・・・というと、そうではなく、10800円。

1キロあたりの値段は13.8円。

 

oosakakoorisizu

※地図で見る、大阪、静岡、郡山の位置関係。
ヤフーの地図・乗り換え案内より。

 

このように
”片道の”距離が長ければ長いほど割安になるのです。
(片道とは、同じ駅を2度通らない(折り返したり、引き返したりしない)ルートのことをいいます。そういうルートを線で描いていくと、一筆書きになるのです)

 

大阪静岡間の場合、静岡で折り返したので、そこで片道乗車券としての計算が終了。

これからどんどん割安になるのに!
というところで折り返してしまいます。
(2回同じ駅(ルート)を通ると片道乗車券ではなくなる。つまり、静岡駅から帰り道を折り返したその時点で片道きっぷではなくなるということ。)

 

ちなみに調子に乗って
大阪から北海道の最北端、稚内(わっかない)までの片道乗車券の値段を調べてみると

 

rere片道2115.9キロで、21480円。

1キロあたり10.1円!!
ジャ○ネットも驚きの安さを実現いたしました!
まあ、鉄道で行く距離ではないけど・・・。

 

ということは
JRで旅行する場合には、往復乗車券で旅行するよりも
多少遠回りしたとしてもぐるっと輪を描くようなルートで、できるだけ片道切符のみで旅行できるようにするほうが、値段は安く済む!ということなのです。

 

このことを応用して作られるのが
「一筆書ききっぷ」と呼ばれるものなのです。

「一筆書ききっぷ」でお得な旅ができる具体例

往復より安い「ぐるっと輪を描く片道きっぷ」

一筆書ききっぷ 一周※究極形「出発駅に戻ってくる一筆書ききっぷ」。
大阪から大阪まで、ぐるっと輪を書くようなルートで移動している(途中のルートの駅に途中下車が可能なきっぷになっています。ただし大阪市内のみ途中下車不可)

このきっぷのルートを図にするとこんな感じ。
大阪→木津(奈良県と京都府の境目あたり)→名古屋→静岡→横浜→東京→大宮→高崎(群馬県)→長野→多治見(岐阜県)→岐阜→米原(琵琶湖の近く)→京都→大阪
2度同じルート(駅)を通る場所はひとつもない

 

「片道乗車券は二度同じ駅を通ったり、今来た道を引き返さない限りはずっと片道である」
という定義をとことん利用し、普通に往復乗車券などを買うよりもずっとお得に旅ができる、例をご覧にいれましょう。

 

先ほど出てきた「大阪市内から大阪市内まで」という摩訶不思議なきっぷは、東京や群馬県の高崎などの都市を経由し、また大阪まで戻ってくるというルートの一筆書ききっぷです。

 

お値段は13820円。
大阪市内を出発して、このきっぷ1枚で大阪まで戻ってくることができます。
いわば「大阪~東京あるいは大阪~高崎の往復乗車券」と同じような効果を持つきっぷと言っても過言ではありません。

 

ところで、普通に大阪~東京(大阪~高崎)の往復乗車券を買うと、お値段はいくらになるのでしょうか?

 

JRで普通に往復する場合の乗車券運賃

・大阪~東京(東海道新幹線経由)
片道8750円、往復17500円

・大阪~高崎(東京経由、往復割引適用)
片道9830円、往復17680円(割引後)

※新幹線に乗るのに必要な特急券は含まない値段です

普通に往復の乗車券を買えば17500円以上するところ、今回の乗車券は13820円
およそ4000円も安い!

まさに、運賃逓減制のなせる業(わざ)だといえるでしょう。

 

ただし
この一筆書ききっぷは、ルートを見れば分かるように
「行きも帰りも大阪~東京間で東海道新幹線が使える」というものではありません。なので、ビジネスなど急いでいるときには使えませんね。

ハッピーマンデーの3連休や大型連休等に、ゆっくりいろんな都市を巡ってみたい!と思う人なんかには最高のきっぷではないでしょうか。

ほぼ1枚のきっぷで2回旅をする?!

さらに調子に乗って
「ほぼ1枚の一筆書ききっぷで、2回旅をする」という例を見てみましょう。

 

以下は
「東京駅を出発し、二度の週末を利用して青森と名古屋に行くことができる一筆書ききっぷ」
の例です。

 

・土呂(とろ、埼玉県)→新宿 21710円
2215.2キロ
13日間有効

経由:土呂→(東北本線・東北新幹線)→新青森→(奥羽本線)→秋田→(羽越本線)→新発田→(白新線)→新潟→(上越新幹線)→東京→(東海道本線)→金山→(中央西線)→塩尻→(中央東線)→新宿

最初の週末は東北をぐるっと回り、最終日に東京付近の駅で途中下車し、自宅へ。
乗車券は13日間有効なので、翌週の旅行初日にその駅から再び旅行を再開し、静岡・名古屋や信州をめぐる。

(乗車券の有効期間の計算方法など詳しくはこの記事を参照:距離で決まる!JR乗車券きっぷの有効期間と計算法

 

※土呂→新宿の乗車券のルート図。

 

土呂は、大宮の隣にある駅です。
出発駅が土呂というマイナーな駅になっているのは、途中でルートが重複しないためです(もし出発駅を東京にすると、越後湯沢から東京に向かう際に、大宮駅で経路がぶつかってしまい、名古屋まで行けなくなってしまう)

 

ちなみに、この乗車券で東京駅を出発し、青森駅・名古屋駅に行くためには
足りない区間の分のきっぷ

東京→土呂の片道乗車券 580円
新青森~青森の往復乗車券 380円
金山~名古屋の往復乗車券 340円

合計1300円が別途必要になります。
一筆書ききっぷと合計で23010円になりますね。

 

単純に東京と新青森の往復と、東京と名古屋の往復の乗車券を買うと

東京都区内⇔青森 18260円
東京都区内⇔名古屋(市内) 12520円
合計 30780円
(東京⇔青森の往復は往復割引適用後の運賃)

 

なんと!
単純に往復乗車券を買うよりも、8000円近くも安い!

 

 

こんな風にして、お得に鉄道旅行ができる「一筆書ききっぷ」。
みなさんも、ぜひ一度手に入れてみてはいかがでしょうか?

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2 thoughts on “往復より片道がお得?JRの「一筆書き切符」の仕組みとは?”

  1. 加賀温泉駅~金沢駅を、
    米原、品川、代々木(ここで途中下車)、東京経由の金沢駅という片道切符の乗車券も一筆書き乗車として購入可能ですか?

    1. に まま さん
      コメントありがとうございます!

      はい、可能です。(明記されてませんが、帰りは東京から北陸新幹線だと思われます。その前提での回答)

      この場合、代々木駅で途中下車する際には自動改札機を通れません。

      それは、この乗車券の山手線エリアでのルートは、最短ルートの「品川→浜松町→東京→上野」を通る扱いとなり、代々木は経由しない扱いとなるからです(特殊な処理をすれば代々木経由にもできるが、ややこしい)

      でも、代々木駅で途中下車することは可能ですよ。

      この点については、詳しくはこの記事を参照ください。http://terinn.net/lowcarbtripper/2018/06/06/jr-ticket-rule-article70/

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