※1枚のきっぷで行ける区間を、2枚・3枚のきっぷに分けると安くなる?
なんでそんなことが起こるの?その謎を解明します!
こんにちは。
右を向いても左を向いても
この世は割り切れないことばかり。
せめて、きっぷくらいは分割してみましょうか?
「てりん」と申します。(ツィッターアカウント:てりん2)
今回は、JRのきっぷを安くする際に使われる
「乗車券の分割テクニック」に関するお話です。
「金券ショップなどで、1人分の片道だけのJRの格安切符を買いに行ったらなぜか2枚のきっぷを渡された・・・」
そんな経験、あったりしませんか?
それは、この分割テクニックを使ってトータルのきっぷ代を安くすることで安くお客さんにきっぷを提供しているからなのです。
では、その具体的な仕組みを見ていきましょう。
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「乗車券の分割」とは?
普通買うのは、1区間の「通しのきっぷ」
まず、「分割」とは何なのか?
ここから解説していきます。
分割と言っても
別に、一枚の乗車券をハサミでチョキチョキと切断して2枚にする、というわけではございません。
普段、私たちが乗車券を買うとき
出発する駅から、目的地の駅までの1枚の乗車券を購入します。
このようなきっぷを、「通しの乗車券」といいます。
例えば、大阪から、岐阜駅に向かうとしましょう。
乗り換え案内で検索すると3020円という金額が出てきました。
※ジョルダンの乗り換え案内より。
「運賃」と書かれているのが、乗車券の通しの値段となる
つまり
大阪から岐阜まで、通しの乗車券1枚を買うと、3020円かかるということです。
(ちなみに、乗車券を買うのに必要なお金のことを運賃と呼びます。
特急券やグリーン車の券などを買うのに必要なお金のことを料金と呼びます。以下それに従います)
こうして決まる!JRのきっぷ代
ところで
JRの乗車券の値段とは、どのように決まるのでしょうか?
乗車券の運賃は
出発駅から、目的地の駅までの距離に応じて階段式に決まっています。
1キロあたり◯◯円というような
お肉を買うときのような方式ではなく
101キロから120キロまでは1940円
121キロから140キロまでは2270円、といった具合です。
ちなみに、小数点は切り上げるので
100.1キロの場合は101キロ扱いとなります。
ということは
100.1キロでも1940円で、120.0キロでも1940円ということですね。
19.9キロも距離が違うのに、同じ値段!!
120.0キロの人はすごいお得感ありますが、
100.1キロの人は、なんかすごい損した気分になっちゃいますよねー。
これこそが、最大のポイントとなります。
大阪から岐阜の場合は160.1キロで3020円でした。
小数点は切り上げるので161キロ扱い。
161キロから180キロまでの運賃が、3020円になります。
(乗る区間、地域により金額に違いあるので注意)
乗り換え案内の結果と一致しますね。
えっ、ということは、
160.1キロって・・・
あーあ、あと100メートル距離が短かったら、運賃がワンランク下がってたのに・・・
(141キロから160キロの場合の運賃は2590円)
まさに、知りたくなかった真実ですが・・・
大阪~岐阜の運賃3020円は実は、相当割高だったのです!!
割高を是正する「区間の分割」
この割高感を解消するのが
「乗車券の分割」ということになります。
次に区間を変えて、
京都から岐阜駅までの運賃を見てみましょう。
117.3キロで1940円
101キロから120キロの区間が1940円ですから、比較的距離的にお得ということになりますね。
そして次は、
大阪から京都までの運賃を見てみます。
42.8キロで560円
実はこの区間は
他の同じ距離のJRの区間よりも、運賃がお安く設定されています。
(先ほどの運賃表の図を参照にすると、本来42.8キロなら運賃は760円になるはず)
なぜなら
大阪から京都の間は、ライバルが多いから。
(阪急電車、京阪(おけいはん)など)
そのため、通常よりも安く設定しないと競争に勝てなくなってしまうために、特別に割安な運賃が設定されているのです。
・・・さて
察しのいい人は、もう分かったと思いますが・・・
大阪から京都までが560円
京都から岐阜までが1940円
足すと、2500円
区間はつながっているので
大阪から岐阜駅まで2500円で行けることになるのです!!!! わおっ!
通しの場合の3020円に比べて、520円も安いですね!
「それにしても、こんな2枚のきっぷで大阪から岐阜まで行って大丈夫なんかいな?」
安心してください、途中で京都で降りたりする必要もなく
一気に大阪から岐阜まで移動しても大丈夫ですよ。
大丈夫といえる最大のポイントは
「区間がつながっている」ということ。
区間さえつながっていれば、何枚に分割してきっぷを買って移動しても不正乗車とはなりません。
つまり
「区間がつながっていない場合は、不正乗車」ということになります。
いわゆるキセル乗車になってしまうわけですね。
「キセル乗車だと?3倍返しだっ!」キセル乗車とは?どういう意味?
(別タグで開きます)
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乗車券分割できない(しても効果のない)場合とは?
もともとの通しの駅間の距離が119.9キロや159.9キロなど、運賃が繰り上がる寸前
つまり、もともと割安になっている区間の乗車券は、いくら分割しても、それ以上安くならないこともよくあります。
また、ローカル線など駅の数が少ない区間では細かく区間を分割できず、結果的に安く出来ないという場合もあります。
どこでも使える万能テクニック・・・
というわけではないのですね。
乗車券の分割と新幹線
この記事の一番最初に出てきた画像は
「大阪~京都」「京都~岐阜」「岐阜~名古屋」の分割乗車券(回数券)と新幹線の特急券を組み合わせて、大阪から名古屋まで新幹線に乗ったときの写真です(きっぷは「ひかり」号の座席の上で撮影しました)
「あれ?岐阜って在来線の駅でしょ?新幹線は岐阜羽島だったはず・・・。
在来線のきっぷで、新幹線に乗れるの?」
実は、在来線の乗車券でも、特急券を別途購入すれば新幹線に乗ることはできます。
なぜかというと、「東海道新幹線」と「在来線(東海道本線)」はきっぷのルール上は同一路線扱いだからです。
(営業旅客規則第16条の2より)
ただし、品川~小田原間や米原~名古屋間のように、間に在来線と新幹線で違う駅がある区間(横浜駅と新横浜駅、岐阜駅と岐阜羽島駅)は、別路線として扱われます。
でも、こうした区間の多くは、「選択乗車」というルール(AとBという2つのルールがある場合、どっちのルートを通ってもいいよ」が適用となります。
その結果、米原~名古屋間も在来線の乗車券で新幹線に乗れるのです。
まとめ
●JRの乗車券は、距離によって階段式で決定する
●階段式がゆえに、1枚の通しのきっぷでは割高になっている区間がある。
その割高感を解消するのが「乗車券の分割」というテクニックである
●コツとしては「距離的に割安な区間(運賃が繰り上がるギリギリの区間)」や「特例により特別に安い運賃が設定されている区間」ごとに分割する
●駅数の少ないローカル線の区間や、もともと割安な区間では分割によって安くならない場合がある
●原則として、新幹線と在来線は同じ路線扱いなので、在来線の駅で分割した乗車券でも新幹線に乗れる
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「乗車券プログラムの実行」
(https化対応されていないため、ただいまリンクを貼っておりません。「乗車券プログラムの実行」でググってみてください)
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