【大相撲】引退一夜明け、突然!稀勢 本人たっての希望で国技館練り歩き2019年1月18日 紙面から
◇初場所<5日目>(17日・両国国技館) 4日目に現役引退した元横綱稀勢の里の荒磯親方(32)=田子ノ浦=が引退から一夜明け、先輩親方衆らへのあいさつ回りで両国国技館を訪れた。また、先代師匠の鳴戸親方(元横綱隆の里)の誕生日の9月29日に引退相撲を行うため、同国技館を予約した。 横綱白鵬(33)=宮城野=は全勝同士の対戦で、取り直しの末に平幕錦木を上手投げで下し史上1位の通算勝利数を1100に伸ばした。横綱鶴竜は逸ノ城に寄り切られ2勝3敗。逸ノ城は7個目の金星を獲得した。関脇貴景勝は小結妙義龍を押し出し、1敗を守った。小結御嶽海は関脇玉鷲を押し出し5連勝。全勝は白鵬、御嶽海、平幕の阿武咲、魁聖の4人となった。 ◇ 新米親方の“初仕事”は、17年間の土俵人生を声援で支えてくれた大相撲ファンへ、感謝の顔見せだった。元横綱稀勢の里の荒磯親方が、現役時代と同じまげと着物姿で大歓声を浴びた。 本人たっての希望で、観客と触れ合うサプライズを演出した。「ちょっと回っていいですか」と先導の熊ケ谷親方(元幕内玉飛鳥)に確認し、館内各所の移動を最短ルートから変更。1階と2階の売店沿いなどを、もみくちゃにされながら練り歩いた。愛し続けた土俵の未来を託すように、赤ちゃんの頭をなで、近づいてきた少年ファンの肩を力強く抱き寄せた。 「土俵に上がれないのは寂しいが、これからまた新しいスタート。一歩一歩進んでいきたい」。八角理事長(元横綱北勝海)からは「これから長い人生が始まるんだから」と激励された。 まずは田子ノ浦部屋付き親方として、後進の指導で汗を流すことになる。早くも稽古場に思いをはせた。まわしを締めるのか、と問われて「もちろん」と即答。「大関(高安)もいますし。三番(稽古)をやれる体をつくらないと」と笑顔で話した。 大銀杏(おおいちょう)に別れを告げる9月29日は、敬愛する先代師匠の誕生日。魂を受け継ぎ、力士人生の一番の思い出の場所で「先代も非常に大事にしてきた」という稽古場に、心血を注いでいく。 (志村拓) ◆先代師匠の誕生日9・29に引退相撲<引退相撲> 原則として関取30場所以上を務めた力士が両国国技館で行う。開催は東京場所後(1、5、9月)の土日が多い。十両、幕内、引退力士本人の取組のほか、相撲甚句なども披露される。関係者が次々とはさみを入れる断髪式では師匠が大銀杏を最後に切り落とす。元横綱の場合は、最後の横綱土俵入りを行うのが通例。
|