「生産年齢人口に対する高齢人口の割合が、2005年からの30年間でどれだけ大きくなるかを図の横軸で示しました。この図の中で左にいくほど、高齢化によって財政収支が悪くなるスピードが速いと考えてください。真ん中が全国平均です。
一方、高齢者の絶対数が増えれば、高齢者施設を造らなければならなくなる。高齢者の増加率が全国平均よりどれくらい大きいかを示すのが縦軸です。下にいけばいくほど、高齢者対策に大きな出費が必要だということです」(政策研究大学院大学名誉教授・松谷明彦氏)
これを見ると、現在、人口減少と高齢化率が高く過疎が問題とされている島根県が右上にきている。将来的には、高齢化による財政支出が働く世代に与える影響が最も少なくて済むということになる。
「島根県はすでに高齢化率が高く、この先、高齢者の増加はほとんどない。つまり、高齢者施設はあまり増やす必要がないわけです。
しかし東京圏は、これから増える高齢者の数に対して施設数が圧倒的に少ない。今後、2030年にかけて東京の高齢者はおよそ460万人ぐらい増えます。そのうち4割が家を持っていないとすると、約184万人。一方、今ある高齢者施設はせいぜい十数万人分です。170万人分の高齢者施設なんてそう簡単に造れない。東京は大変な状況になると思います」(松谷氏)
右上のほうにある自治体に引っ越すことも検討すべきかもしれない。
(取材・文/頓所直人 興山英雄)