漆黒の英雄譚   作:焼きプリンにキャラメル水
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現代3
ある国のある少年たち


コナー=ホープは目を覚ます。

 

「あれ・・寝てたのか?」

 

『漆黒の英雄譚』を第3章まで読んだのは覚えている。

どうやら読み終えた後に寝落ちしてしまったらしい。

 

「うわぁ・・」

 

コナーがそう言ったのも無理は無かった。

 

 

その状態で寝てしまったからだろう。幸いなことに本は閉じて寝たのだろう。表紙が少し涎で汚れてしまっただけで済んだ。寝ている間に口から零れてしまったのだろう。

 

「ヤバい」

 

コナーは懐から白いハンカチを取り出して拭き取ろうとする。

 

「却って汚れたか・・」

 

涎をかえって広げてしまった様だ。表紙に書かれた作者の名前が滲んでしまっていた。

 

ハァ〇〇ゥ

 

「そう言えばこの人誰なんだろう?魔導王陛下の配下の人でこういう名前の人はいないし・・」

 

「もしかしてアレか・・『ぺんねーむ』って奴か」

 

コナーがそんなことを考えていると一階から母親の声が聞こえた。

 

「コナー!朝ご飯よ!」

 

「はぁーい!今行く」

 

 

________________________________

 

 

 

コナーは母親との食事を終えると外に出た。

今日は良い天気だ。

 

「さて何をしようかな・・」

 

 

 

『本屋』に行くか?

 

いや駄目だ。漆黒の英雄譚はまだ最後まで見ていない。

買うなら読み終えてからだ。

 

 

 

 

『魔具屋』に行くか?

 

いや駄目だ。単純にお金が足りない。

 

 

 

 

『闘技場』に行くか?

 

いや今は大会はやってない。

あまり面白いものは見れないような気がする。

 

 

 

「さて・・・・どうしたものか・・」

 

「おーい。コナー!」

 

「クリストフか。どうしたんだ?」

 

こいつはクリストフ。俺の幼馴染の男。中性的な顔立ちに綺麗な金髪であることから結構モテるやつだ。どこか猫っぽい。

 

「いやぁ・・実はどこへ行くか悩んでてな」

 

「お前もか・・」

 

「なら一緒に映画でも見に行かないか?」

 

「今何か良いのやってるのか?」

 

「今なら『十三英雄物語』が二割引きで見れるらしいぞ」

 

「おっ!いいな・・見るか」

 

_________________________________

 

 

「いやぁ・・良かったなぁ」

 

「あぁ。やっぱ本物の冒険者を起用しているだけあって映像に迫力があるな」

 

金髪の女戦士。演じることにとても慣れているようでまるで素人だとは思えない演技だったな。こう・・命が輝いているような迫力があったな。

 

「魔法って凄いな・・」

 

「凄いな。アレ半分以上魔法らしいぞ。いちいち痺れるな。リーダーが『神竜』を倒す場面とか魔法が凄すぎる」

 

(実は俺はあの場面は好きじゃない。あのシーンはとても悲しいシーンだから)

 

そうコナーは思った。

 

「俺は蟲の魔神のシーンの所好きだったけどな」

 

・・・・

 

・・・・

 

・・・・

 

・・・・

 

「あっ、そろそろ時間だな」

 

クリストフは首からぶら下げた懐中時計を見る。どうやら既に夕方になっていたようだ。

 

「本当、この時計正確だよな」

 

「シズ・ラボ製の時計は高性能・高品質で有名だもんな」

 

魔導国には色々なものがあるがその中にこれがある。

 

 

シズ・ラボ

ギミックを使用したものの大半はシズ・ラボ製のアイテムだ。

魔化製品(冷蔵庫や洗濯機など)だけでなく懐中時計などもそうだ。

時計が最たる例だが、他社の懐中時計とは異なり誤差など存在しない。

また視認性などにも優れており非常に高性能で高品質である。

大きく分けて三種類がある。

 

スタンダート(一般向け)なデザイン(値段も)の『シー』『ビー』『エス』。

可愛いデザインで女性に人気の『エクレア』。

トップ自らしか制作できない『2128』。

 

 

特に『2128』はトップ自ら作成したアイテムであり最高・・・いや至高品質を誇る。販売は不可で魔導王陛下などを始めとした数人しか持てないほど。

パーツ一つ一つにルーンが刻まれており『ほぼ壊れない』らしい。

シズ・ラボのトップは『シズ=デルタ』さんだ。

 

「そろそろ帰るわ」

 

「おう。じゃあな」

 

コナーはクリストフと別れた。

 

 

__________________________

 

 

コナーはベッドで横になる。

 

「・・・・」

 

「・・・・」

 

壁に掛けた時計を見る。

 

シズ・ラボの時計は動作音がしない。そのため枕元に置いても全く気にならないだろう。

 

「・・・・」

 

「やっぱり起きるか・・」

 

そう言ってベッドから起き上がると椅子に座る。

 

コナーは再び『漆黒の英雄譚』を読み始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





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