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【首都スポ】

[高校野球]石岡一、収穫の春へ センバツ21世紀枠候補 25日吉報を待つ

2019年1月17日 紙面から

育てたカブを手に笑顔を見せる園芸科と造園科の石岡一野球部員=茨城県石岡市の県立石岡一高校で(武藤健一撮影)

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 第91回センバツ高校野球(3月23日開幕、甲子園)の21世紀枠の関東地区候補は、農学校を母体に創立110年の石岡一(茨城)。昨秋の県大会は準決勝に進出、延長13回タイブレークで藤代に負けて関東大会に届かなかったが、強豪を追い詰めた。園芸科、造園科があり、昨夏甲子園準優勝の金足農(秋田)に続く農業旋風へ。25日に行われる選考委員会で、21世紀枠は地区候補9校から3校が選ばれ、一般選考と合わせて出場32校が決まる。 (小原栄二)

 外野の向こうに筑波山を仰ぐ石岡一野球部グラウンド。バックネットにあるスローガン「走姿顕心」は、就任10年目の川井政平監督(44)が掲げた。走る姿に心が表れる。部員は、練習のインターバルも全力疾走を怠らない。竜ケ崎一で内野手として甲子園に出場し、国学院大でもプレーした指揮官が、地区大会突破も難しかったチームを鍛え上げ、一昨年春は初の関東大会出場、昨年秋は、センバツ8強の明秀学園日立、夏代表校の土浦日大を破って4強入りで、関東大会切符へもう少しで、手が届きそうだった。

 1年春からベンチ入りでプロ注目の147キロ右腕の岩本を中心に勝ってきた。「一番はエース岩本のピッチングに尽きるが、メンバーには1年生も多い。細かいことより長所を伸ばそうとやった。主体的な選手が多く私学にも物おじしなかった」と川井監督も手応え。先輩の岩本に遠慮なくものを言う捕手の中山、4番の飯岡ら1年生が上級生に負けない働きをしてきた。

 女子マネジャー3人を含む部員49人のうち、22人が農業系の園芸科、造園科。学校から4キロほど離れた農場で、野菜や果実の栽培などの実習があって、放課後の明るいうちに部員全員がなかなかそろわない。特に夏休みは、どこかのクラスで必ず朝から実習があり「夏は全員がそろうことはめったにない」と川井監督も悩みどころ。短時間で密度の濃い全体練習をすることでカバーしてきた。

 園芸科が作った野菜や果実は、学校玄関わきで教職員向けや近隣住民にも安価で販売。秋には学校行事として収穫祭があり、野球部員は、ランニングで駆けつけ、チームメートが作った野菜などを使った豚汁やカレーをみんなで食べて結束を強めている。

 農業高校として、金足農が昨夏の甲子園で準優勝したのは、いい刺激になった。酒井淳志主将(2年)は「金足農には吉田輝星という大エースがいた。同じ農学校で、うちにも岩本という頼れるエースがいて重なるところがあるので、頑張ってほしいと思って見ていました。今度は僕たちが頑張りたい」と意気込んだ。2014年の小山台(東京)以来5年ぶりの関東からの21世紀枠出場で収穫の春を迎えたい。 (小原栄二)

<21世紀枠> 21世紀最初の大会だった2001年の第73回大会から導入。部員不足、グラウンドがないなどの困難克服、ボランティアなどの地域貢献、文武両道など模範となる学校を選出する。各都道府県が1校ずつの推薦校から9地区の代表推薦校を決めて、東西に偏りなく3校を選ぶ。関東地区からは過去、真岡工(栃木)、都留(山梨)、安房(千葉)、小山台(東京)の4校が選ばれた。

「センバツ21世紀枠」候補・石岡一の野球部員

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