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(福子)まだまだです 萬平さん。
どんなことが起こったかて最後は うまくいくんです。
萬平さんは 大器晩成。
私は信じてますから。
(萬平)ありがとう… 福子。
(真一)理事長 大変です!とにかく下に… 下に来て下さい!
預金を下ろして下さい!うちの方が先やで!
何だ これは…。
(騒ぐ声)
理事長…。
♪「丸まってる背中に もらい泣き」
♪「恥じだって一緒に」
♪「あなたとならトゥラッタッタ♪」
♪「飛行機雲ぼんやり眺む」
♪「心ここに在らず」
♪「年間トータル もししたら」
♪「付き合うあたしすごい?」
♪「とぼけてる眉毛に もらい笑い」
♪「照れだってなんだって」
♪「あなたとならトゥラッタッタ♪」
♪「もらい泣き もらい笑い もらい怒り」
♪「もらいっ恥じ どんと来い!」
♪「晴天も曇天も霹靂も」
♪「さあ あなたとトゥラッタッタ♪」
それは 池田信用組合で取り付け騒ぎが起こった2日後のことでした。
(幸)お父さんは?せやから言うたでしょう。
もうお仕事に行ったんよ。(源)僕らが起きる前に?
お父さんは お仕事が忙しいの。
(皿が割れる音)(鈴)あっ… ああ…。
お母さん私がやる。
落ち着いて。取り付け騒ぎが起こったのよ。
落ち着いてなんか…。・(真一)ごめんください。
誰か来た。真一おじちゃんの声や。
真一さんが…。
(源)真一おじちゃん。おはよう 源 さっちゃん。
源 幸 ちょっと いらっしゃい。
何ですか。福ちゃん。
おはようございます お義母さん。
こちらは 梅田銀行の矢野さんです。
矢野と申します。 これより担保に取った家財道具を確認して売却の準備にかかります。決して 持ち出したり傷つけたりしないよう お願いします。
さ… 差し押さえ?小野塚さん あなた方の仕事です。
進めて下さい。はい。 申し訳ない 福ちゃん。
真一さん…。
(鈴)ちょっと… ちょっと待って!
♪~
どうして いきなり… 真一さん!
しかたがないんです。
♪~
真一さん… 萬平さんはこのこと知ってるんですか。
もちろん分かってる。
(綾)理事長。
おはようございます。
矢野さん。
どうぞ。
本日 これから担保の売却準備のために立花さんのご自宅に伺わせて頂くことになりました。
担保にしていた物件を金に換えてうちへの返済金に充ててもらわなければなりません。
あなたのご自宅の家財道具は池田信用組合に入れた担保ですから売却の準備はこちらの方にやって頂きます。
あと 家屋と土地の競売も裁判所が準備を進めています。
でも うちの金庫がカラになったわけじゃ…。
今後の見通しは立たないんでしょう。
池田信用組合さんに 先はないんです。
ご家族には連絡なさらぬよう。
換金できるものを隠されると困りますから。

はい。℡(綾)小野塚専務から お電話です。
つないでくれ。
℡(真一)理事長。
確認票の貼付作業が終わりました。
福子に代わってもらえますか。
福ちゃん。
福子です。
申し訳ない。
萬平さんも知らなかったんでしょ。
でも こうなることは覚悟してましたから。
子どもたちは?
学校に行かせました。
2人ともよう分かってないと思います。
お義母さんは?
寝込んでます。
布団まで 取られて たまるもんですか!
ああ…。
今夜は遅くなりそうなんですか?
まだ分からない。
早く帰ってこられるなら 家族みんなで一緒にごはんを食べましょう。
ごちそうは 作れないかもしれないけど。
分かった。
行きましょう。はい。
まだ終わったわけじゃありませんよ。
えっ…。
はあ…。
♪~
理事長の家財道具を現金化しあと 家屋と土地を競売しても貸付金に足りない場合こちらの組合員さんからこれまでの融資金を回収して下さい。
回収!?そうしないと 池田信用組合さんはうちに借金を返せないでしょう。いや ちょっと待って下さい。
池田には 将来性のある企業がたくさんあるんです。
いきなり融資金の回収なんて そんな…。みんな潰れてしまう!
感情的になられても困ります。現実は厳しいんです。
今日 確認した家財は1週間後に業者を呼んで売却します。
見送りは結構。ちょっ…。
♪~
ライスカレー お待たせしました。
(アキラ)働いとってええんか。(しのぶ)そんなこと言うたかていつもどおり働くって言うから。
僕 福ちゃんの顔まともに見られへんで。
いらっしゃいませ。いらっしゃいま…。
敏ちゃん。(敏子)福ちゃん。 大丈夫なん?
聞いたよ 差し押さえのこと。
大丈夫 大丈夫。落ち込んでたって しょうがないでしょ。
(克子)頭がフラフラするの?
体に 力が入らないのよ。
(忠彦)無理もないよ。 いきなり こんな…。
♪~
真一さんが貼ったのよ。
真一さんが!?
悪の手先みたいになって…。
ああ…。
差し押さえって 借金のカタに取られるということやろ お母さん。
何で そんなこと。学校の先生に教えてもろうたんや。
借金のカタって何?
知らなくていい。 あなたたちは何にも心配しなくていいから。
ねっ。・(ドアが開く音)
・ただいま。お父さんや。
ま… 萬平さんや。 あっ ああ…。
ちょっ… ああっ お母さん。
(源)お父さん。(幸)お帰りなさい。
家の中 変な紙がペタペタ貼られてるよ。
もう うちのものやないんやて。
お帰りなさい 萬平さん。
ああ ただいま。
見て。
(ため息)
真一さん つらそうでした。
私の方が申し訳なくて。
萬平さん!私たちは どうなるの!
お義母さん。どうなるのよ!
今 そんなこと聞いたかて。子どもたちが怖がってる。
買い手がつくまでここに住めますから。
そのあとは? 追い出されるの?
うちに来たらええから。そうですよ。
いや 僕たちが行ったら克子義姉さんたちに迷惑がかかります。
どこかに借家でも借りて。
借家…。
お母さんは克子姉ちゃんのところに行って。
私 お父さんと一緒にいる。
僕もや。
そうか。
もう こうなったからにはしかたがないわ。
こういう時のために私は働いてたんです。
実は へそくりもあるし。福子…。
へそくりって そんな大したお金やないでしょ。
ほんまに うちに来てええんよ。遠慮なんかせんといてくれよ。
ありがとうございます。 でも…。いいの いいの。
私たち家族みんなで力を合わせて頑張ります。
ねっ 源。うん。
私も頑張る。
何があっても 私たちは平気ですから。
ありがとう 福子。
・ごめんください。
ん? 誰やろ。
・は~い。
ああ…。お母さん。大丈夫ですか。
お義母さん 申し訳ありませんでした。
敏ちゃん。
ずっと気になってたの。
今の福ちゃんが平気でいられるはずがないって。
女学校の時もそうやったやない。
つらいことがあっても全然顔に出さんと私とハナちゃんを励ましてくれたりして。
いつやったか 福ちゃんが一人でわんわん泣いてるのを見て私ら びっくりして初めて福ちゃんが悩んでること知って。
敏ちゃん…。
ほんまは 怖いの。
どこまで萬平さんを支えていけるか…子どもたちを守っていけるか…もう不安で たまらないの。
福ちゃん…。
萬平さんには 言わんといてね。
誰にも言わんといて…。
♪~


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