横綱、すまん…。引退を発表した稀勢の里と親交がある柔道男子代表・井上康生監督(40)=写真=が16日、合宿を公開した東京都多摩市の国士舘大で取材に応じ、沈痛な表情を浮かべた。
現役時に稀勢の里と同じく大胸筋の負傷。手術、リハビリした経験のある井上監督は「もっと、何か伝えてあげる言葉があれば…。後悔、申し訳なさ、悔しさがある」と声を絞り出した。
井上監督は数年前から横綱と親交があり、稀勢の里が大胸筋を負傷した後は、ケガに関する相談にも乗っていた。「大胸筋断裂の先輩として、ケガを治すこと、休養すること、手術含めて強く説明しきれなかった。横綱に対して遠慮し、気をつかって発言が弱くなってしまった」。胸に去来するのは後悔の2文字。完治を最優先するよう進言すべきだったと嘆いた。
16日には、稀勢の里からメールで直接引退を報告された。「言い訳一つせずに最後まで戦い抜いた。心からお疲れさまという言葉しかない」
また、練習の冒頭では箱根駅伝で連覇が途絶えた青学大などの記事を選手に配布。「慢心や気の緩みが命取りになる」と言い聞かせていた。 (木村尚公)