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【政治】売春防止法「新法を」 DVやストーカー被害に対応 疑問ドメスティックバイオレンス(DV)や性被害、貧困などで居場所を失った女性を保護する婦人保護事業に携わる関係者らが、事業の根拠法「売春防止法」について「六十年以上前に制定された、女性へのさげすみに満ちた法律」として問題視している。女性の自立や社会復帰への支援を柱とした新法への衣替えを訴えるが、政府の腰は重い。 (大野暢子) 売春防止法は、売春を助長する行為の処罰と、売春する恐れのある女性の補導・保護更生を目的に、一九五六年に制定。戦後の混乱期に売春が横行し、風紀をただすという発想が根底にあった。同法に基づき、相談や一時保護をする「婦人相談所」、中長期的に保護する「婦人保護施設」が全国に設けられている。 その後、婦人保護事業の対象はDVやストーカー被害に遭った女性にまで拡大。「JKビジネス」や「アダルトビデオ(AV)出演強要」の被害者への対応も求められるようになった。しかし、法律が抜本的に改正されたことはなく、条文には「収容」「更生」など、女性の側に問題があることを前提にしたような文言が残ったままだ。 現実的な問題点も指摘される。婦人相談所、婦人保護施設とも定員五十人以下なら指導員は二人と定めた国の基準について、東京都内の施設長は、現場の負担が重いと指摘。「集団生活を送る利用者を管理するだけなら二人で足りると言わんばかり。まるで看守の発想だ」と憤る。別の施設長は「専門性のある人員を十分に配置しないのは、売春防止法に自立支援の発想がないからだ」と指摘する。 保護施設を利用するには、まず婦人相談所内の一時保護所に入所する慣例があり、携帯電話の没収や外出禁止などの制約があるため入所をためらう人も。婦人相談所の半数近くが、心のケアをしていない実態も二〇一七年度の厚生労働省調査で判明している。 全国婦人保護施設等連絡協議会は一六年、女性の尊厳回復や自立支援の視点を明記した「女性自立支援法案(仮称)」の骨子を作成。東京都社会福祉協議会・婦人保護部会は今月二十八日、同法案への理解を呼び掛けるシンポジウムを都内で開催する予定だ。 与党のプロジェクトチームも一六年度、保護事業の抜本的な見直しを政府に提言。厚労省は一八年度に有識者会議を設け、法改正も視野に検討を進めている。
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