【イスタンブール=佐野彰洋】東欧バルカン半島、マケドニアの議会は11日夜、国名を「北マケドニア共和国」に変更する憲法改正を承認した。隣国ギリシャとの対立を解く歴史的な合意の実現に向けた難関を突破した。ギリシャが反対してきた北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)への加盟に向け、一歩前進した。AP通信などが報じた。
マケドニアのザエフ政権は承認に必要な議会定数120議席の3分の2をわずかに上回る81議席を確保した。一部の野党議員が賛成に回った。
ギリシャのチプラス首相は11日、ザエフ首相への祝意を表明した。最終的に合意を有効にするには、ギリシャ議会の承認が必要となる。ただ、チプラス氏は連立与党内部や世論の反対に直面、予断を許さない情勢だ。
マケドニアは1991年に旧ユーゴスラビアから独立した。だが、国内に同名の地方を持ち、古代マケドニアを自国の歴史の重要な構成要素と考えるギリシャが反発し、対立が続いてきた。
両国の左派政権は2018年6月、国名変更を条件にギリシャがNATOなどへの加盟反対を取り下げる合意を交わしていた。背景にはバルカン半島でのロシアや中国の影響拡大を懸念する欧米の圧力があった。EUの盟主であるドイツのメルケル首相は10~11日、合意実現を後押しするためギリシャを訪問していた。
マケドニアでは18年9月末に国名変更の是非を問う国民投票が行われた。投票率が30%台にとどまり不成立となったが、ザエフ政権は賛成票が9割超となったことなどから、改憲手続きを推進していた。
日経電子版が2月末まで無料!いつでもキャンセルOK!
お申し込みは1/31まで