漆黒の英雄譚   作:焼きプリンにキャラメル水
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墓地騒動④--夜明け前--

「・・・・」

 

「・・・・」

 

モモンは黙ってクレマンティーヌを見下ろす。モモンは足元で悶絶しているクレマンティーヌの首に剣先を向けていた。クレマンティーヌが先程持っていたスティレットは既に彼女の手から離れていた。

 

勝負は一瞬だった。

 

クレマンティーヌがあらゆる武技を使ってモモンと接近しようとしたが、モモンはそれを上回る斬撃の速度のままクレマンティーヌの腰に大剣を叩きつけた。ただそれだけだった。

 

「手加減したつもりだったが・・・」

 

クレマンティーヌは腰の骨が折れたのか下半身はほとんど動いていなかった。何とか上半身だけで立ち上がろうとしているも立てずにいる。それがより一層痛々しく感じた。

 

「お前ぇ・・何者なんだ?まさか『神人』か?」

 

「『神人』?何だそれは」

 

モモンが気になったのも無理はなかった。かつて奴隷にされそうになっていた所で聞いた単語だったからだ。忘れもしない記憶の断片。

 

「知らない?じゃあ『流星の子』か?」

 

「『流星の子』・・・それも知らない」

 

「じゃあ・・・」

 

「クワイエッセはどこだ?」

 

「・・アンタあの男に何でそこまで拘る?復讐か?」

 

「いいから!答えろ!」

 

「・・あいつは今、スレイン法国の特殊部隊・六色聖典の一つ。『漆黒聖典』に所属している。居場所は分からない」

 

「そうか・・・ンフィーレアはどこだ?」

 

「あの霊廟・・・そこの地下室にいるわよ」

 

「無事なのか?」

 

それを聞いてクレマンティーヌが高笑いする。

 

「何がおかしい?」

 

モモンは嫌な予感がした。

 

「無事よ。命はね」

 

「どういう意味だ?」

 

「叡者の額冠を装備したンフィーレアはもう元には戻れない」

 

「教えろ!彼に何をした?」

 

「あのアイテムを装備した者は自我を失う。無理に外そうとすれば発狂する。お前の負けだよ」

 

「もう黙っていろ」

 

モモンは大剣でクレマンティーヌの首を叩く。クレマンティーヌは意識を失い制御を失った身体が倒れこんだ。

 

(これ以上は理性が持ちそうになかった。)

 

手が震えている。怒りからだろうか・・・

両手が震えていた。

 

「スレイン法国・・・・」

 

何の罪もない少年から強引に自我を奪う。そしてアンデッドを使って街を襲わせるなんて・・・

 

「そんな国なんて・・・」

 

モモンは倒れたクレマンティーヌを通してスレイン法国を睨む。

 

血が出そうになるほど睨む。視界が歪んで・・・

 

 

 

 

「モモンさん!」

 

 

 

 

ナーベの呼びかけられてモモンはハッとする。視界の広さが元に戻る。

 

「どうした?」

 

「ンフィーレアさんを助けましょう」

 

「あぁ」

 

モモンは無限の背負い袋から縄を取り出した。アダマンタイトが編み込まれた縄だ。それでクレマンティーヌを蓑虫の形になる程グルグル巻きにした。これで逃げられる心配はないだろう。

 

モモンとナーベは霊廟に向かって歩き出した。

 

 

 

___________________________

 

 

エ・ランテル墓地 霊廟 地下室

 

 

 

「分かってはいたが・・・」

 

モモンは拳を強く握る。食い込んだ爪によって血が流れ出る。

 

「モモンさん・・・これって・・」

 

先程赤いポーションを飲ませてみたが目の出血は止まらなかった。それが意味するところは・・

 

「間違いない。彼の目はもう・・」

 

ンフィーレアは両目から血が流れていた。裸の上に透明な衣を纏い、頭には先程クレマンティーヌが言っていた叡者の額冠だろうアイテムが乗っていた。

 

「彼を助けることは無理なのか・・」

 

モモンは拳を強く握り・・

 

「ふざけるな!!」

 

床に叩きつけた。床の一部が砕ける。

 

ナーベはそんなモモンを見兼ねて口を開いた。

 

「モモンさん。彼が助かる可能性が一つだけあります」

 

「それは・・・あっ」

 

モモンは唯一の可能性に思い当たる。

 

「まさか・・」

 

「えぇ。アインズ・ウール・ゴウン殿を頼りましょう」

 

 

 

 





ついに『墓地騒動』編がついに終わります。

次回、後日談へ




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