それでも安倍は衆参同日選を狙ってくる――【草の根保守の蠢動 特別編】
2016.04.19
菅野完
改憲のためには衆議院を解散する必要はない??
「衆参両院で改憲に必要な3分の2を確保するために衆参同日選に踏み切るはずだ」という予測は、「衆院では既に改憲勢力が3分の2を占めている」という重大な事実を一つ見落としている。確かに、自民党単体では3分の2に届かない。だが、連立相手である公明党をカウントすると極めて3分の2に近くなる。さらに言えば、「おおさか維新」の議席をカウントすれば3分の2ラインは盤石だ。現在、「おおさか維新」は野党ではある。個別の政策や立法議論においては与党側と対立することもある。だが、こと改憲運動については「おおさか維新」は安倍自民党よりも濃厚に「日本会議べったり路線」を採用している。今年2月、明治神宮で行われた「建国記念の日奉祝中央式典」に出席した、おおさか維新国会議員団顧問・江口克彦は、
「そして、国会による憲法改正案の発議後に、国民投票で過半数を取れるよう、先般、『美しい日本の憲法をつくる国民の会』よりお預かりした署名用紙を、党所属の国会議員に配布し、国民的議論を巻き起こすべく、全員で署名集めを行っております」と発言している(連載番外編7回参照)。所属国会議員全員が「美しい憲法をつくる国民の会」の署名運動に協力するなど、自民党ですら考えられない。江口が「まずは、参議院選挙後の新たな参議院で、改憲勢力として改正の発議に必要な3分の2の議席を確保することを目指しております」と発言していることも見逃せない。つまり「おおさか維新」は、自分たちを「改憲勢力」と自己認識しているのだ。 こうしてみると、衆院では既に「改憲勢力」が3分の2を保有しているのが理解できよう。政権側としても、負ける可能性が(若干ながら)存在する衆院の解散総選挙に打って出て、この議席を減らすギャンブルを打つ必要はない。むしろ、憲法の規定から日程変更のできない参院選に全力を注ぎ、参院での3分の2に集中する方が得策だ。したがって、「今夏の衆参同日選」の目的を「衆参両院で3分の2をとるため」だけに根拠を求めるのは少々無理がある。 だが、安倍首相の前には、改憲にこだわるならば衆参同日選挙に踏み込まざるをえない、別の理由があるのだ。
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