どうやったらこの駄女神に知性を与えられるかについて   作:コヘヘ
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彼は、致命的に運が悪かった。
『想定外』過ぎる接触が、彼に最悪の可能性を思いついてしまった。
彼はアクアの言うことを聞き過ぎた。
下手に頭が良いから、その話の整合性が取れてしまった。

それが、『女神』エリスの逆鱗に触れた。

...彼の想定内の反応だが、そこに含まれている意味は全然違う。


彼はストレスで反転して馬鹿になっていた。

その瞬間だけは、アクア以上に。致命的に馬鹿だった。


だが、それが『奇跡』を生んだ。神器は関係ない。

それは、純粋な奇跡だった。


第六話 闇黒神エリスへの恐怖

あの密談の二日後の昼下がり、冒険者ギルドに併設された食堂で、

 

彼とアクアはカエルの唐揚げを食べていた。

 

 

「ねえ、あなたって、馬鹿なの?」

 

駄女神に、馬鹿呼ばわりされたのは、別に良い。

 

 

彼にとって想定内だ。段々アクアの制御が上手くなってきたと彼は自画自賛した。

 

 

「上級職のみ募集とか、

 

 熟女趣味のマゾヒスト、粘液プレイが大好きで、ぼっちの変態が、

 

 相手にされるわけないじゃない」

 

彼はアクアが珍しく正論だと思った。

 

 

ここまで正しいことを言うアクアは、女神エリスのことを教えてくれた時以来か。

 

確かにアクアの言うような『過激思想』の女神だった。

 

まさか、アクアの言う通りだとは思わなかった。

 

 

だが、彼の現状は、ぼっち以外はアクアのせいだが。

 

 

「ああ、それに引っかかるのは、初心者か変態しかいないはず」

 

彼は、もう受け流すのは慣れた。

 

 

それに、その張り紙はブラフだ。

 

…少しの間、二人だけのメンバーを演じ、女神エリスを釣る布石。

 

 

「女神アクア様のパーティにこれ以上、変態が増えるとか困るんですけど」

 

椅子に座り、足をバタバタと動かし彼に、抗議するアクア。

 

 

彼だって、もう嫌だ。

 

 

だが、変態が来るのはやや可能性としてある。

 

それは彼に取って想定外の想定内だった。

 

 

あの張り紙を見て、ダスティネス家のドMが釣れたら、

 

彼は、即座に女神エリスに抗議しに行く。

 

 

そんな幸運は彼にはない。

 

女神エリスもその可能性を、友人を利用するつもりはないと彼はこの時は思っていた。

 

実際正しいのだが、彼はもうすぐ致命的な奇跡のすれ違いを引き起こした。

 

 

…だから、ブラフを仕込みまくる。

 

最短の接触は、キャベツ収穫と想定している。

 

 

 

流石に、計画に入れたくない。あのお嬢様は彼に取って理解不能過ぎた。

 

能力は、非常に有用なのに非常に惜しい人材だったと彼は過去形で表現した。

 

...それはフラグだった。

 

 

ふと、彼は気が付く、小さな子がこちらに歩いてくる。

 

 

赤い目、紅魔族だ。魔法使いですと言わんばかりのファッション。

 

片目には眼帯をつけている。

 

 

その眼帯には何か封印されていないだろうか。

 

 

彼はようやく話に聞いていた、『勇者』の可能性を見つけて、支離滅裂な思考に陥っていた。

 

 

彼は、ゆんゆんの友人であると確信した。

 

アクセルには、二人しか紅魔族がいないという。

 

つまり、彼女が勇者候補筆頭だった。

 

彼の勇者基準はとんでもないものなのだが、今は誰も知る由もない。

 

 

…あの馬鹿しか引っかからない募集の張り紙を見たのだろうか。

 

彼は、今の段階で、引っかかる馬鹿がいると思っていなかった。

 

 

女神エリスが彼の罠にかかるまで、あれは飾りのつもりだった。

 

 

ゆんゆんの言うことが正しければ、彼女は、紅魔族随一の天才。

 

彼の想定した勇者象に最も近い、一撃必殺の持ち主だった。

 

 

変態が勇者とか嫌だなと彼は思った。自分で募集しておきながら。

 

 

「我が名はめぐみん!アークウィザードを生業とし、最強の攻撃魔法、爆裂魔法を操る者……!」

 

バサッとマントを翻して、目の前の少女はそう名乗った。

 

 

だから、彼もノってみた。勇者が名乗ったから。

 

 

「我こそは、真なる魔王!最弱の冒険者から地の底を這い、計略を練り、数多の怪物を打ち滅ぼす者……!」

 

彼は、何となく、合わせて見た。

 

彼には、『魔王』しかピンとこなかった。

 

めぐみんにあわせられるのが。

 

 

「魔王ですって!ついに、覚醒しちゃったの!!」

 

アクアが彼の戯言を本気にした。

 

彼は確信した、アクアの表情でわかった。

 

 

嘘に決まっているのに何故、信じるのか、

 

彼は頭の医者にアクアを連れて行きたくなった。

 

 

「なるほど…あなたが予言に現れし、狂人なのですね!」

 

めぐみんは初対面の彼に失礼なことを言い出した。

 

 

どうもゆんゆんが言っていた、紅魔族の占い師の『予言』の狂人を彼と思っているらしい。

 

 

大変失礼極まりないと思ったが、彼はそれを利用することにした。

 

 

めぐみんは、目をチカチカ点灯させている。

 

あれは紅魔族が興奮しているときのサインだ。

 

 

ゆんゆんと話しているとよくそうなっていたので、彼は知っていた。

 

 

彼が捲し立てて、仲間に引き込もうとしたら、めぐみんの様子が急変した。

 

 

「そうではなくて、あなた、ゆんゆんに極悪非道の限りを尽くしたそうですね!!」

 

めぐみんは突然、彼に食ってかかった。

 

 

彼は少し驚いた。変化が、突然過ぎたから。

 

 

…まぁ、変態が美少女であるゆんゆんに近づけばそう評判になるかもしれない。

 

 

「まぁ、落ち着きなさい。どう見ても欠食児童の貧乏そうな少女よ」

 

彼はめぐみんの望む、狂人を演じることにした。

 

 

その方が面倒臭くなさそうだから。面倒臭い相手には、面倒臭い手順が有効だ。

 

 

そっと、めぐみんの目の前にカエルの唐揚げを目の前に置いてみた。

 

 

「…けっしぉくこおじとわひふへいな」

 

めぐみんは即座に食らいついた。...駄犬だ。

 

アクアを彷彿とさせる。

 

 

何てわかりやすい。

 

だが、思考を誘導するのには、めぐみんは、頭が良すぎるようだ。

 

 

カエルの唐揚げを食いつつも、

 

いざとなれば彼から逃げたり、襲ったりできるように準備している。

 

 

彼は、それを察した。

 

中々、侮れない『勇者』だと彼は思った。

 

 

「さて、いつの日か、我が身に爆裂魔法をぶち込む運命にある少女よ」

 

彼はさらっと計画の一部をバラしつつ、狂人を演じた。

 

 

これは確かに真実となった。

 

彼の計画とはまるで違う形でだが、確実な運命であった。

 

 

もう、めぐみんへの対処法は思いついた。

 

すぐに取り込むべく行動をしようとした。

 

 

だが、

 

「ちょっと!私を構いなさいよ!!」

 

アクアが騒ぎだした。

 

 

彼は今良いところだからアクアに黙って欲しかった。

 

彼は、アクアの口に唐揚げの油がついているのを見つけ、アクアに布巾を手渡した。

 

 

アクアは彼から、素直にそれを受け取ったが、何に使うのかわかっていないようだ。

 

だが、時間稼ぎにはなった。

 

 

「さて、極悪非道は結構、結構。

 

 君の爆裂魔法が見たい。というか、毎日打ち続けて欲しい。

 

 魔王幹部や魔王を爆裂魔法で打ち滅ぼし、『世界』を救う将来の勇者よ!

 

 …その可能性を私に見せてくれ!!」

 

彼は、完璧な狂人を演じて見せた。

 

 

彼の演技力は本当にあらゆるものを騙せた。

 

これは、後に地獄の公爵ですら認めた。

 

そして、公爵自身の手により否定されることになる。

 

 

これで、めぐみんは釣れる。

 

彼は確信した。

 

 

「おお!わかっているではありませんか!?狂人の癖に!!」

 

本当に面倒臭いな、この娘。

 

 

簡単なようで、面倒臭い『狂人』を演じないといけなくなった彼はそう思った。

 

 

めぐみんは、爆裂魔法に愛着があり過ぎて、そこが弱点になっている。

 

それ以外は、きっと非情な決断も辞さない勇者の鑑だろうに。

 

彼は、めぐみんを教育し、立派な勇者に育てることを自分自身に誓った。

 

 

「ねぇ?これ何に使うの?」

 

アクアが布巾を折り紙のように弄繰り回し、女神エリスそっくりな造形を整えていた。

 

 

「口を拭け」

 

彼は、丁度良いので、敢えて、

 

アクアの作ったエリス神象を握りつぶしてからアクアの口を拭った。

 

 

こっそり、こちらを伺っているであろうクリスの目に映るように、握りつぶした。

 

 

「あああ!せっかく作ったのに!!」

 

アクアが駄々こね始めるが、それは申し訳ない。

 

 

女神エリスを挑発するためには仕方がない犠牲なのだ。

 

彼は、恐らく、クリスの潜んでいそうな方角を敢えて見た。

 

潜伏スキル等のせいでわからないが、ギルドの構造は理解している。

 

 

いる可能性のある、クリスの位置特定は容易だ。

 

 

「では、始めよう!勇者めぐみんよ!この世界を救う旅の始まりだ!!」

 

大振りに宣言する。

 

 

キャベツまで時間がいらないかもしれない。

 

ある意味、めぐみんのお陰で。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

彼は、三人でジャイアントトード五匹討伐依頼を受注した。

 

 

彼は、ジャイアントトードを爆裂魔法倒しつつも、その一発で倒れためぐみんを彼は担いだ。

 

 

アクアと共に、計五匹退治した。あまりに簡単に行われた。

 

アクアも素直に指示を今回は聞いてくれたから。

 

 

だが、何も想定外が起こらなかった。幸運値最低が二人いるのに。

 

 

女神エリスの方から、『取引』を持ちかけていることを彼は悟った。

 

 

彼は、カエル輸送の手続きを終えて、めぐみんとアクアを自由時間として解散した。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

裏路地に彼は入る。

 

 

危険だが、今回は安全と確信している。

 

幸運の女神の化身がいるから。

 

 

「さて、クリスさん。一昨日ぶりですね。

 

 …早すぎませんか?」

 

彼の幸運は最低だ。

 

 

『想定外』過ぎた。この早期での接触は。

 

 

彼が感じた、簡単に『思考』が誘導できる常識ある女神だというのは偽りの姿だった。

 

 

女神エリスは、アクアの言う通りの存在だった。

 

 

彼は、アクアに内心謝罪した。ここまで、悪辣な女神だとは考えていなかった。

 

 

彼は恐怖した。自分の確信が勘違いだった。

 

 

これが、神だとでもいうのか。

 

 

…アクアもこれくらいなら連れて行く必要がなかったのだが。

 

 

彼はエリス神への恐怖を一時忘れた。…ある意味アクアのお陰だ。

 

 

彼は、覚悟を決めた。

 

彼は、もはや女神エリスに策が通じないのなら、

 

ある程度、正直に打ち明けることを決意した。

 

 

彼はエリス神がアレを持ち込んでいると看破した。

 

そして、それが合っていたために、碌でもない奇跡を引き起こした。

 

 

「…初めまして。エリス様から聞いているよ。

 

 流石に見逃せないよ。君は」

 

女神エリスはクリスとして振る舞うようだ。

 

 

彼は、エリスをクリスともう既に確信しているのにこの行為を行う理由。

 

 

…ここまで悪辣な手を打って来た女神が、

 

まだ自分の正体を、完全にバレていない等と思っている、ポンコツではあるまい。

 

 

彼はこれまで備えてきたほぼ全ての対策が、意味のない行為だったと悟っていた。

 

 

「私が、転生してから、たった二週間と少ししか経っていない。

 

 しかも、女神エリス様と会った、

 

 その二日後に、私の求めている物を見つけるとは。

 

 天下を賑わす義賊様は、暇ではないと思いましたが」

 

彼の本音だ。『計画』が完全にズレた。

 

 

…女神というのは直球過ぎる気がある。

 

 

彼は、おそらく、女神エリスが持ちうる権能全てを使って、彼自身を見たと確信した。

 

 

あれだけ思念を撒き散らせば、行動で、全力で表していれば、

 

不幸を嘆くような振りをしていれば、全能ではなくても気が付くだろう。

 

 

しかし、この接触の速さは異常だった。彼女は化け物だ。彼は確信した。

 

 

「ええ、君の求める物、幸運に関する神器は、確かにあたしは持っているよ」

 

素晴らしい。

 

彼は、キャベツ収穫までの挑発プランが水泡に帰したが、それ以上の展開に胸を躍らせた。

 

 

同時に気を引き締めた。

 

アクアから聞いたエリス像がまさかそのまま、本当だとは彼の想定外だったから。

 

 

神器は、彼が背負う、アクアの不幸を取り除き、想定内に収まる効果だと確信した。

 

今日は、まだ不幸や想定外が起こっていない。

 

 

…頭がパーは普段通りだが。

 

 

「だから、これを上げる代わりに…」

 

流石に女神エリスにそんなことを言わせるのはまずい。

 

だから、彼は先に言ってあげた。

 

 

…そうせざる負えなかった。

 

 

彼はエリス神の、脅しに屈した。

 

 

「ええ、勿論です。対価として、魔王討伐した後、必ず私は消滅することを約束します」

 

女神エリスは過激主義者だ。

 

 

アクア曰く、

 

『超、超過激よ!エリスは、アクシズ教はエリス教に、迫害されているの!!』

 

アクシズ教の扱いは自業自得だが、アクアの言うように、『悪』に容赦がない。

 

 

彼は、このままでは、女神エリスが自分に死ねと命じにくると確信していた。

 

 

故に、この結論は避けられなかった。

 

幸運の女神エリスの、過激思想がなければ、彼は生存を前提に入れた計画も練れた。

 

故に、容赦しない。覚悟した。

 

 

この『狂信者』に目にもの見せて見せる。

 

 

全力でその神器を奪い取って見せる。

 

 

「…え?」

 

クリスは、とぼけるのが上手い。上手すぎる。

 

 

知っていなければ、彼は騙されるところだった。

 

 

アクアが言うように、

 

『残忍で狡猾だから気をつけなさい。エリスはあざといわ。だから国教になれたのよ』

 

ということなのだろう。

 

 

流石に『国教』の神だけある。

 

彼の目には、本当に、きょとんとしている少女にしか見えない。

 

 

だが、騙されない。アクアからたっぷり聞いている。

 

 

さらに、彼はこの早すぎる遭遇から確信した。

 

女神エリスの、その悪辣さをとぼけた顔をした狂信者を彼は見た。

 

 

それは、本当に偶然、女神エリスが完全に彼の計画を破壊したから起こった。

 

第三者視点では、間違いなく幸運の女神とは偽りの名と思う程の規模で、

 

彼を想定外のレールに女神エリスは乗せてしまった。

 

 

「あなたは、悪人には容赦しない。

 

 生前財産を奪い悪人を絶望させる行為も含めていた。

 

 神器回収はそういうあなたの趣味もあった。

 

 ...死後の世界では、天国という牢獄で、言葉で魂を甚振るサディストだと聞きました。

 

 私は、それでも構いませんが。変態と現世で罵られているこの身にはその程度は些事。

 

 …だが、あなたの望みは私の消滅でしょう?

 

 最も、私が苦しむ結末を見たいがために、そうするとたった今、確信しました」

 

彼は捲し立てる。絶対ここで素を引き出すと決意した。

 

恐怖や絶望に彼は屈しなかった。

 

 

キャベツ収穫までとことん挑発してやるつもりだったが、女神エリスは来てしまった。

 

 

彼は、仕方がなく、こうする他なかった。

 

 

クリスは震える手で懐から何かを取り出した。

 

彼はそれを知っていた。間違いない。あれは…

 

 

「何で鳴らないの!!」

 

クリスは叫んだ。

 

 

彼は全てを見破られたから、ようやく、

 

『女神』エリスの化けの皮が剝がれたと確信した。

 

 

クリスは魔法道具のうそ発見器を持ってきていた。

 

…やはり、そうだったか。

 

 

彼は、完全な邪神を見た。アクアの言う『邪神』エリスを。

 

 

彼の脳内の論理は、地獄の公爵すらそうだと確信せざる負えない程まともだった。

 

彼目線では、邪神としか評価できないほど悪辣な手口だった。

 

 

「無論、義賊稼業でも何でも、私のできる範囲で協力します!

 

 どうか、まだ見逃してください!

 

 まだ、アクアのためにも死ぬわけにはいかないのです!!」

 

アクアの言う邪神には、この全身全霊の頼みは通じないだろう。

 

 

だが、彼は可能性に懸けた。

 

彼女の慈悲の心を。ダクティネス家の問題児のフォローをするという善人の姿を。

 

 

「ちょっと、待って、ねぇ、あなた、私を何だと思っているんですか!?」

 

彼は、何でそんなことを聞くのかわからなかった。わかりきっていることを。

 

 

だが、聞かれたから答える。

 

「私の魔王討伐計画を知り、私の『悪』の才能を知り、私の可能性を摘みに来た。

 

 完全なる、純粋な悪意の行使ができる神。…私すら完全に騙して、今日ここに現れた。

 

 ここまで悪辣な手段に出ることができる。

 

 私を追い詰め、苦痛を味合わせる為に、

 

 

 あの一度目の死後の世界で、純粋な世界を思う女神様を演じきった。

 

 

 …まさに国教の女神に相応しい女神だと確信しました。

 

 清濁併せ吞む恐ろしい神だ」

 

彼にとって、賛辞の言葉だ。

 

 

彼をここまで絶望させたのは、彼女が初めてだ。

 

だが、決して、屈しない。この怪物すら利用してみせる。

 

 

「何で鳴らないの!!!」

 

クリスは、彼に全てを見破られて、完全に道具に八つ当たりをし始めた。

 

 

彼は、ここまで荒れている存在ならば、容易に『思考』を誘導できた。

 

例え、女神エリスでも。

 

 

 

これは後に地獄で女神エリスの脅威を検討されることになる重大案件にまで発展してしまった。

 

女神エリスは幸運過ぎた。ある意味で酷い誤解を悪魔上層部に認識させた。

 

...過激主義者の女神エリスの被害者が幸運にも沢山いたせいで、余計に酷いことになった。

 

女神エリスはある意味自業自得だった。そしてそれに、誰も気が付くことはない。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

彼の取引は成功した。

 

 

だが、女神エリスは彼を脅迫した。

 

「いいですか!私をそんな風に言いふらしたら、本当に、天罰を下しますからね!」

 

女神エリスは、まだ自分を利用する気だった。

 

 

今後、自身の認識への矯正という名の義賊稼業の手伝いをさせるという。

 

 

…クリスになる気はもはやないようだった。

 

 

 

彼は、魔王や、地獄の公爵以上の脅威をその日知った。

 

完全に彼を騙せる邪神の存在を。女神エリス。

 

 

彼は、その名を魂に刻み込んだ。

 

 






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