どうやったらこの駄女神に知性を与えられるかについて   作:コヘヘ
<< 前の話 次の話 >>

4 / 18
彼はさらさら正攻法で魔王討伐等する気がなかった。
裏から『世界』を支配して、勇者を手配する。
彼の『計画』は魔王の手口だった。客観的に見て。


第四話 勝てば官軍世は情け

ジャイアントトードを六匹初日で討伐という、結果。

 

報酬は、外壁工事の日雇いよりも儲かることが判明した。

 

 

彼はアクアなら喜んで、毎日討伐クエストを受けるだろうと思っていた。

 

 

だが、

 

「私をカエルの粘液でグチョグチョにしたいなんて…

 

 あなたやっぱり変態なのね!

 

 私も嫌だけど、あなた、アクシズ教に改宗しなさい。

 

 その業、いや性癖すらアクシズ教は受け入れるわ…」

 

彼は、アクアから謂れのない非難を受けた。

 

彼はアクシズ教など死んでもごめんだった。

 

 

何より、エリス教の『過激思想』よりはマシだが、

 

アクシズ教の教えというか教義という名のダメ人間製造機でも、

 

致命的なものが含まれている以上、彼のこれからの計画の妨げになるからだ。

 

 

 

彼は、『地獄の公爵』と取引する計画を立てていた。

 

 

アルダープ領主を安全に排除するために。

 

…悪魔なら取引を遵守する。彼も取引を遵守している。

 

正直、神より悪魔の方が彼にとっては理解できた。

 

どう考えても割に合わない対価で、

 

こき使われている同胞の悪魔を救ってくれるかもしれない。

 

 

最も、基本的に無害、心が読めるという情報だけで彼は地獄の公爵の情報を得るのをストップした。

 

 

地獄の公爵は偶発的遭遇でしか勝てないと彼は確信していた。

 

 

ある意味、今回の女神エリスとの不本意な接触は、幸運かもしれなかった。

 

 

彼は自分を女神エリスが、危険視して接触を試みると最初から気づいていた。

 

 

故に、クリスを騙し、取引に誘導するのは彼の計画どおりだった。

 

彼にとって、心を読まれようが、記憶を読まれようが、全て対策済みであった。

 

 

このようなことができる彼は、神や悪魔の『天敵』だった。…まだ誰も気が付いていないが。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

そんな、彼にとって弱点は、想定外の馬鹿の存在だった。

 

彼の想定を上回るほど無邪気な馬鹿は把握できなかった。

 

悪意があればまだ彼には対処できた。

 

悪意はあることはあるが、彼にとって小物過ぎる悪意だった。

 

 

それは、アクアだった。

 

子どもをそのまま大人にしたというだけでは、無理がある程彼には理解不能だった。

 

 

彼はアクアから早速、粘液プレイを好む変態という汚名を着せられた。また、アクアにやられた。

 

さらに言えば、アクアは冒険者ギルドでその発言をしたので、

 

周囲からガチで引かれた。

 

 

彼が本気になれば、ギルド長を使えば、彼の言葉を使えば、容易にその汚名を濯げる。

 

 

だが、頭がパーになるのと計画のために彼はその汚名を濯げなかった。

 

現にこうしている間にもパーになる自分を押さえつけるために、

 

彼は自分を何度も殴っていた。

 

 

完全に冒険者ギルド全員にドン引きされているが、

 

アクアや周囲への、罵詈雑言が飛び出しそうになるのを抑えるためにはしなくてはならなかった。

 

 

…計画の範囲内なのだが、流石に彼は辛くなってきた。

 

何故、ここまでしなければならないのか。

 

 

彼は思わずアクアを見た。

 

 

「うわ、やだこの男。本気だわ。ねえ、皆!

 

 この男、本気でさっきのこと考えているわよ!」

 

もうヤダ、この駄女神。彼は、本気で落ち込んだ。

 

 

だが、同時にこの後にある冒険者ギルド長との密談のおおよその内容を彼は必死に考えた。

 

 

女神エリスとの接触は、想定内だが、どう考えても早すぎた。

 

モンスター討伐初日で死亡は彼にとって完全に想定外過ぎた。どう考えても幸先が悪すぎた。

 

 

ギルド長にアクアのことを勘付かれないように必死で頭を回転させた。

 

白紙の封書の件も上手く誤魔化さなければならなくなったのもあった。

 

 

女神エリスとの接触は、まだ先と思っていたので、

 

ギルド長に、ブラフを取り除く説明をしていなかった。

 

 

…このままだと、アクアが『女神』だと冒険者ギルド長にバレてしまう。

 

彼はその件に関しては、ほぼ詰んだことを悟った。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

アクアが騒いだ、その隙をついて、受付のルナ女史にギルド長への接触の合図、

 

数種の内の一つのカードを渡せた。

 

 

今夜、午前二時の密談の知らせだ。女神エリス案件での知らせ。

 

 

女神エリスとの接触、その合図を彼は冒険者ギルド長に知らせた。

 

 

彼は、自らへ完全なる忠誠を誓うギルド長との接触は避けたかった。

 

 

その光景はまるで彼が魔王だからだ。

 

彼は完全にギルド長を心の底から、屈服というか、従属させてしまった。

 

 

ギルド長が求めているアクセルの安全及びギルド長の全ての悩みについて、

 

彼が、解決策を出してしまったのが不味かった。

 

 

…彼からすれば容易く解答ができてしまった。

 

 

もはや、ギルド長は彼を、神とほぼ同等に扱っていた。

 

 

皮肉にもギルド長はこう言った。

 

「信じても救いの考えがない中に来たあなたの方が、私にとっては神だ」

 

彼は本当に嫌になった。流石に前世でもこんな経験はなかった。

 

 

彼が悪意を行使していたら、前世は変わったのだろうか。

 

無意味なことを考え逃避してしまうくらいには、目の前の光景を信じたくなかった。

 

 

だから、精神安定の観点から、彼は、あまりギルド長とは接触したくはなかった。

 

 

だが、女神エリスとの接触は、計画どおり。

 

しかしながら、彼にとってエリス神との接触は、完全に早すぎた。

 

 

故に、これから女神エリスがこちらに接触するであろうことを前提とした対策を用意しないといけなかった。

 

 

それも急いで。

 

 

ギルド長との、今までの言葉遊び、女神エリス対策は不要になった。

 

 

もう、アクセル内に隠れ住む、喫茶店で働くサキュバスの件は、ギルド長と彼の間で話がついていた。

 

 

…『女神』エリスは気が付かないだろう。

 

ギルド長との世間話が悪魔を見逃す密約だったとは。

 

 

彼のその時の内心を読めても無駄だ。

 

ギルド長との会話では、思考すら偽装している。

 

そこまで、女神エリスの権能が無敵じゃないとアクアから聞いていたが、

 

念には、念を入れた対策だった。

 

彼は毎回ギルド長との密約ではかなり疲れていた。

 

 

 

…『女神』アクアとサキュバスの接触も想定に入れた対策は完了した。

 

彼は後一つ、誰か第三者が欲しかった。

 

アクセル中に、顔が利きそうで欲望に忠実で簡単に恩を着せられる誰かを必要としていた。

 

悪魔を見逃せなどとは、流石に女神であるアクアには言えなかった。

 

 

だが、アクセルの性犯罪防止には、彼女らが必要不可欠。

 

人口減よりも治安維持を優先したいという冒険者ギルド長の取引は理に叶っていた。

 

 

彼が、サキュバス達と接触しなければ、

 

さらに今後想定される『地獄の公爵』との取引が成功すれば想定外の馬鹿…アクアだろうが、

 

彼なら対処可能だった。

 

 

…ようは、女神エリスが気が付かなければ勝ちなのだ。

 

彼女はどうも抜けている。死後の世界での会話で確信した。

 

簡単に思考が誘導できる常識ある『女神』だった。

 

 

悪魔やアンデッドを問答無用で滅ぼす狂信者でなければ、

 

女神エリスに、祈りをささげたかも知れない程度には彼はエリス神を高く評価していた。

 

彼は有り得ない仮定としつつも、神の実在がそれだけインパクトがあったと悟った。

 

 

…比較対象の女神アクアが酷すぎるだけだとも思ったが。

 

酒飲んで寝て、宴会芸で物を消し、彼の財布から金を抜き取り、

 

あらゆる彼の未知の変態性をアクセルの住民に悪意なく吹き込む女神など彼は想定外だった。

 

悪意がない分性質が悪すぎた。彼に取って相性最悪の読めない女神だった。

 

 

サキュバス対策の件は、

 

本当は、『地獄の公爵』の願いが知れれば一番楽だった。

 

魔王軍幹部になどなっている以上何か願いがあるかもしれないと彼は考えていた。

 

地獄の公爵は、恐らく魔王軍幹部に拘っていない。彼はそう推測していた。

 

基本的に無害という情報が何よりの証明だった。

 

魔王城の結界維持要員とかだと彼は思った。

 

 

だが、倒して残機を減らさないと『取引』不可能。

 

 

地獄の公爵は、魔王軍幹部の内は信用できない。

 

 

故に彼は、地獄の公爵に対して、情報と思考を制限するしかなかった。

 

彼は心を読めるのは、チート過ぎると思った。

 

 

だが、対策はできると確信した。

 

彼の才能と頭脳とこの世界の逸脱した魔法道具を駆使すれば可能だった。

 

悪魔の公爵からアクアを守れると彼は考えた。

 

他人の頭脳をのぞき込み可能な公爵は、対国家レベルの情報工作員との闘いに等しい。

 

だが、個人だ。地獄の公爵の隙を彼は理解した。

 

異世界人の彼にだからこそ突ける隙だ。

 

成功すれば予測可能回避不可能な計画は彼の最大の作戦だ。

 

 

彼は前世にもいなかった同等以上の戦略家との闘いを予想した。

 

彼は無自覚に興奮していた。自分の才能を活かしきれる相手に歓喜した。

 

これは不味い傾向だった。彼はそれに気が付かない。

 

 

 

しかし、知り過ぎれば負ける相手とは、本当にセオリー通りにいかない者達ばかりだ。

 

彼は魔王軍幹部連中のチートさにほとほと疲れていた。

 

だが、恐らくアクセルに偵察にくるであろうデュラハンへの対処は容易だった。

 

 

これは、彼が、ゆんゆんとの会話とギルド長の『魔王軍幹部』の情報から類推したものだ。

 

 

大変、重大な情報だった。

 

 

『女神』光臨の気配はこの世界に伝播していた。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

転生初期。

 

まだ転生して二週間経過したばかりだが、それよりも前。一週間も経っていない頃。

 

 

彼は、『友』になったと思われるゆんゆんから色んな話を聞いていた。

 

 

…彼の知らぬ間に、二度も悪魔騒動があったそうだ。

 

当事者の緊迫感溢れる話は彼の興味を引くには十分過ぎた。

 

だが、彼はゆんゆんが何かを隠していることに気が付いた。

 

まるで、彼を心の奥底で有り得ない何かだと疑っているように感じた。

 

 

彼は自分の変態の噂が原因かもしれないと思いつつ、友の話を心の底から喜んで聞いていた。

 

ゆんゆんも喜んで話してくれていたと彼は確信できた。

 

 

それは、前世にはなかった感覚で彼にとっては喜びであり救いだった。

 

 

一度目は、時期的に彼と女神が転移したときだった。

 

 

追い詰められていたゆんゆんとその友人は、凄まじい神聖な気配を感じたという。

 

 

その神聖な気配の隙をついて、

 

ゆんゆんの友人が悪魔に爆裂魔法を打ち込んだという。

 

 

 

爆裂魔法はチート魔法だ。

 

この世界の住民が爆裂魔法をネタ魔法にしていると彼が知った時、この世界の住民はアホか何かかと思った。

 

彼からすれば、個人で戦略兵器と化すこの魔法は全アークウィザードが取得すべきだと思っていた。

 

 

魔王軍との戦いであれば、雨天以外無双可能な魔法だ。

 

この世界のチェスでもエクスプロージョンは盤面破壊の一手だった。

 

彼はそれはそうだろうと思った。

 

そして、この世界のチェスは戦前日本の軍人将棋みたいだと確信した。

 

彼に取っては、隙だらけの番外工作ありなこのチェスは無敵だった。

 

十分でルールを理解し、ゆんゆんと勝負してみた。

 

…ゆんゆんを泣かせる程度には彼の手は酷いらしい。

 

なお、ゆんゆんの友人はどうも彼と同じ手を使うらしい。

 

寧ろ彼の方が酷いと言われた。

 

彼はゆんゆんくらいの年の子だろうが勝負では容赦しなかった。

 

彼は自らの悪意を最大限フル活用してこの異世界チェスをやっていたので当然の評価だと思った。

 

 

最も、彼は異世界人なので、爆裂魔法についてどうこう言うつもりはなかった。

 

 

彼は、魔王もろとも『自爆』するために爆裂魔法を欲していた。

 

凄まじいスキルポイントさえあれば、彼の職業の冒険者なら取得可能だった。

 

 

正直、テレポートと爆裂魔法さえあれば、ほぼ無敵だと彼は確信した。

 

 

若しくは、その友人に彼もろとも、爆裂魔法を打ち込んでもらえると大変嬉しかった。

 

 

現に、ゆんゆんの友人は、悪魔に連れ去られた自分のペットごと、爆裂魔法を素で打ち込むつもりだったという。

 

 

彼は、その精神性を見事な『勇者』だと絶賛した。

 

 

…彼女なら、きっと悪の自分など躊躇せずに魔王もろとも消し飛ばしてくれるだろう。

 

情に流されない、素晴らしい勇者だ。是非、仲間に加えたかった。

 

 

…だが、彼は、ゆんゆんから全力で友人の紹介を拒絶されてしまった。

 

 

彼は困った。せっかく『勇者』を見つけたのに仲間にできない。

 

彼の計画の逸材なのにと悔やんだ。

 

この時はまだ自分では友であると思っていたゆんゆんを利用するのは気が引けたのもあった。

 

 

 

二度目は、もの凄く強い悪魔が攻め込んできたらしい。

 

 

どうもアクセル中の冒険者たちは、

 

 

噂の新人、美人アークプリーストで対抗しようとしたらしい。

 

 

恐らく、美人を自称するあれではない。彼は確信した。

 

アクシズ教関係者かと思ったが、普通に私服だった。

 

アクシズ教徒のプリーストなら絶対身につけているであろう正装ではなかった。

 

単純な破壊僧だろうあれは。彼はそう推測した。

 

彼に一定の解をくれたのには感謝しているが、彼とアクアの夜食を強奪しようとしたあの破壊僧は酷かった。

 

アクアがいないときに関わったせいか対処はできた。

 

だが、デートしてやるから有り金寄越せとか抜かす非常識な存在だった。

 

正直、あの破壊僧は、彼のステータスで対処できる程度の強さでしかなかった。

 

 

その後は、その破戒僧とも一度も会っていない。

 

恐らくアクセルから去ったのだろうと彼は思った。

 

あそこまで目立つ存在がいればいくら彼でも気が付くからだ。

 

旅の破戒僧とか迷惑以外の何者でもないと彼は思った。

 

 

あの破戒僧はどこかアクアに似ていたが、アクアはあそこまで非常識じゃないと彼は信じた。

 

 

故に、普通に、アークプリーストとは、本物の女神の方だと彼は思った。

 

 

その際、彼は転移初期で、アクアを土木工事で引っ張りまわしていた。

 

…故に気が付けなかった。

 

 

さらに言えば、彼はその時は、時代と世界の観察に費やしていた。

 

アクセルの防衛上の隙と、この周辺で取引できそうな相手を探していた。

 

アクセルを俯瞰しようと試行錯誤していた。

 

 

…アクアの世話と同時並行で。かなり大変だった。

 

現地人との交流がまだできないと確信し、アクアの世話にほぼ全部回していた。

 

 

 

アクセルの皆は、アクアが残念過ぎて、

 

その噂のアークプリーストだと誰も気が付かなかった。

 

 

彼に悪評が集中しているにも関わらず、

 

誰も気が付かないとはこの街の連中はアホなのかと疑った。

 

 

同時にその騒動に完全に気が付いていなかった、自分の馬鹿さを悟った。

 

彼自身も同程度のアホだと思った。

 

 

その際も、友人が止めに爆裂魔法を打ち込んだらしい。

 

やはり、ゆんゆんの友人は素晴らしい『勇者』だと彼が褒めたたえたら、

 

ゆんゆんからドン引きされた。

 

 

「ど、どこにそんな褒める要素がありましたか!?

 

 めぐみんは絶対、勇者じゃないです!寧ろ、魔王候補生です!!」

 

彼はゆんゆんの友人に対するその偏見をどうにか是正しようと試みた。

 

 

異世界に来て初めてできた友のゆんゆんが、その友人に偏見を持っている等、

 

酷いと思ったからだ。

 

 

「ゆんゆん。それはとんでもない偏見だ。

 

 いざとなれば、葛藤せずに非情な決断をできる精神力。

 

 さらには爆裂魔法という一撃必殺技。

 

 そのためには、フォローしてくれる仲間達が必要不可欠だ」

 

彼は珍しく興奮していた。待ち望んだ勇者だったから。

 

 

「話を聞く限り、その友人は、必要であれば仲間もろとも消し炭にするだろう。

 

 俺のパーティに欲しい、逸材だ!

 

 勝てない相手が入れば、躊躇せずに、俺もろとも爆裂魔法を打ち込んでくれる。

 

 どう考えても、まさに、理想の勇者じゃないか!本当に素晴らしい友人だと思うぞ」

 

彼は、ゆんゆんとの会話中、頭がパーになりながらも、その友人を全力で褒めたたえた。

 

 

…その友人の偏見を是正して欲しくて、勇者の逸材を知って欲しくて彼は本音で語った。

 

彼の友のゆんゆんに本音でぶちまけた。

 

 

思えば、この辺当たりから、ゆんゆんは彼を避け始めた。

 

彼はゆんゆんが自分のことを友と思っていなかったことを察した。

 

彼は、かなりショックだった。

 

 

彼は、本当は、ゆんゆんからはもっと聞きたい話があった。

 

 

紅魔族の里で占い師が言っていたという

 

「完全なる狂人にして、化け物がゆんゆんとめぐみんの前に現れる。

 

 だけど、『世界』を救う者がアクセルに出現する。

 

 …ゆんゆんは絶対関わってはダメよ。それは完全に、魔王以上に、危険だから。

 

 …私の占いで使わせてもらっている『公爵』の能力すら、

 

 これ以上、占うのは危険と出ているの」

 

彼は、その『予言』について大変、詳しく知りたかった。

 

 

そんな魔王以上に危険な狂人など絶対に排除しなければならなかった。

 

 

そんな奴がいたら、彼の計画が狂う。

 

だが、彼は、その狂人と取引できないかと非常に興味があった。

 

 

きっと話せばわかりあえると何故か、確信できた。その存在と。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

この一連の悪魔騒動から魔王側にも女神光臨の気配は察知されたと彼は考えている。

 

 

彼が、魔王ならば、一番偵察任務に向いている『デュラハン』をアクセルに送り込む。

 

 

アクセルの強者氷の魔女ウィズと敵対しない範囲で、彼が、知り得る魔王軍幹部を選ぶなら。

 

そのデュラハンはどうも紳士的な騎士としての心構えがあるらしい。

 

戦いを挑んだ者だけ殺すらしい。弱者は見逃すこともあるという。

 

 

故に、アクセルの住民を皆殺しにする暴挙にはでない。

 

彼が、魔王ならデュラハンしか使えない。

 

 

だが、流水が弱点という魔王軍幹部のデュラハンの討伐等、アクアが入れば容易だった。

 

 

拠点ごと洪水にして、剣士或いは騎士が切り付け、爆裂魔法でもぶち込めば詰みだ。

 

彼はデュラハンと真正面から戦う気などさらさらなかった。

 

何をしようが、最終的に勝てば良いと考えていた。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

…後に『デュラハン』はこう叫んだという。

 

「ふざけんな!馬鹿じゃないのか!この頭のおかしい変態!策士気どりの大馬鹿者が!!」

 

彼はそんなデュラハンの戯言を一切無視した。

 

 






※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。