…絶界…
それは神々でも入る事が許されない禁断の地、その地に足を踏み入れた神は二度と戻ってこれないと言われている。
この世界には神々や転生者と呼ばれる者達を好物にしている怪物達がうじゃうじゃいる。
「ぎゃあァァァーー!!!!!」
悲鳴と共に森の中で巨大な黒い獣の腕に掴まれた転生者、彼はラノベの世界でハーレムを築こうとしていた屑転生者、その者は今怪物達の餌となる。
『グルルルルルル!』
唸り声を上げながら転生者を見つめる凶悪な瞳が恐怖を与えてしまう。赤黒いドラゴンは大きく口をゆっくりと上げ転生者を喰らった。
この地に迷い込んだら逃げられはしない。何故なら環境や自然そのものが怪物だらけなのだから
──絶界にある荒れ果てた噴水広場──
ベンチにて座っている青年がいた、年齢から見ても17くらいだろうか?白銀に輝く銀髪に夜空のような瞳で空を見つめていた。
「やっぱり、家から見る眺めは最高だな。そう思うだろ?ボウル?」
『クェッ!クェッ!』
彼の隣にいる巨大なジャイアントモアぐらいの大きさを誇るインコのような鳥、紫色と黒が混じった体色をしている。頭には2本の角が生えており、瞳は顔左右に3つずつある。
「それで、ここに降りてきた転生者だけど……あれどうなった?」
『クェッ!クェッ!』
ボウルと言われる巨大な怪鳥は嘴に挟んである紙を青年に渡した。それを受け取り内容を見つめる青年
「へぇー、なるほど…この転生者も屑だな。最終的にはモノにしたヒロインを無理やり犯し殺す……ソドムに取ってはいいご飯だったね。」
紙をベンチに置くと再び空を眺める。絶界の空に浮かぶ赤い月はルビーのように輝いていてその光が絶界の全てを照らす。
「今日もブラッドムーンはいい輝きをしているね。これで森のあいつらもさらに元気になると思うよ!」
『クェッ!!! 』
青年の笑顔が巨大な怪物インコを明るくしている。この世界の怪物達は全て青年に懐いている。
──実は彼こそがこの絶界を統べる主なのだ。
──彼の名は荒崎龍二
──神々は恐れながらも彼をこう呼んでいた。
──
場所は変わって噴水広場から離れ、龍二は崩壊後の神殿を訪れていた。金属音が鳴り響いてくる。青年はその音を気にせず神殿の中へ入って行った。
中に入ると、壁には怪物達の絵が書かれている。どれもこれもこの絶界に存在する魔獣ばかりであるが、獣だけではない。金属で造られている機械のような絵も描かれているのだ。
その間を通り過ぎるとある場所へ辿り着いた。そこは加工屋…ハンマーで溶岩で熱した物を叩く音が彼の耳に入ってくる。
「やぁ、ディンドン。武器の創造はどんな感じ?」
「ん?おぉ!キラ様じゃないですかッ!」
ディンドンと呼ばれる人は60歳位の男性で、右手には巨大なハンマーを握り締めて武器の加工をしている。彼は…神を滅する器【神滅器】を創造する鍛冶屋なのだ。
「キラ様って……俺は荒崎龍二、キラは殺しの時に使うコードネームだよ」
「いやいやぁ!キラ様はキラ様ですよ!何せ駄目な神々に成敗してやってるんですからね!」
笑いの笑みを見せて白い歯を見せている。
「それで、"頼んだモノ"は用意してある?」
「えぇ!それもバッチリ!ちゃんと仕上げておきました!」
ディンドンは掌に少し大きい球体を浮かせると、中から出てきたのは小刀がついているドライバーと銀色のベルトに銀色の龍の模様が描かれているパスだった。
「何せ特殊な金属使ってますんで!それとこの錠前どうぞ!」
渡されたのは赤と黒が混ざっている錠前と赤い六角形の錠前が渡された。
「これって……」
「えぇ!ブラッドムーンから落ちてきた欠片を元に作ったものです!」
「じゃあこの赤黒いのは?」
「キラ様もご存知のはずですが、この絶界に住み着く強大なドラゴン、【ディザスター】の鱗から造られたものです。……この力は神や転生者でも使いこなせないものですから、使えるのは貴方だけですよ。」
「そっか、ありがとう。わざわざこんなの作ってもらって……」
ディンドンは気にせず笑顔でとんでもないと言ってくれた。龍二は鍛冶屋を後にし噴水広場に再び戻る。
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「さて、そろそろ行こうかな?アニメの異世界へ」
神殺しは今日も行く。転生者と神々を殺すために
ブラッドムーン
絶界の空に浮かぶ血色の月、この光を浴びた怪物達は活発になったり、凶暴化していく
ボウル
ジャイアントモア位の大きさを誇る巨大なインコ、知能が高い。残忍な性格で転生者や神々の頭を喰いちぎって食べていく