北朝鮮の核問題を巡る中朝首脳会談が終わり、米朝首脳会談が近く開かれる見通しとなった。北朝鮮が望む制裁解除には、非核化の実現が欠かせない。言葉だけでなく、具体的な行動を望みたい。
北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の中国訪問が十日終わった。
正恩氏が、自分の誕生日である一月八日をはさんで、友好国・中国を年明け早々に訪れた理由は、トランプ米大統領との首脳会談が念頭にあったからだろう。
過去三回の訪中も、米朝間の重要な会談を前に実現している。既に米国は、会談の候補地を探しているとも報じられている。
正恩氏は習近平国家主席に、次回の米朝首脳会談で「国際社会が歓迎する成果が得られるよう努力する」と約束し、経済建設に集中する姿勢を強調したという。
中国の理解を取り付け、米朝首脳会談を有利に進める狙いがあったのは間違いない。中国側に経済援助を求めた可能性もある。
しかし、いくら中国が後方から援護しても、関係国は、北朝鮮が本気で非核化を進めるつもりなのか、確信を持てないでいる。
非核化については、昨年六月に史上初の米朝首脳会談が開かれ、世界の期待を集めた。ところがあいまいな合意で終わってしまい、むしろ失望が広がった。
その後も、完全な非核化を求める米国に対して、北朝鮮は制裁緩和を先行させるよう求め、議論がかみ合わなかった。
このため、「北朝鮮の狙いは、米国から核保有国として認められることではないか」という、懐疑的な見方も強くなっている。
北朝鮮は、昨年五月に北東部豊渓里(プンゲリ)の核実験場を廃棄したが、情報を十分公開しなかった。
次は米国が制裁緩和を行う番だと考えているとしたら、自己中心的な考え方ではないか。
韓国は昨年、北朝鮮との間で軍事的な緊張緩和に向け、数々の合意を結んだ。その一方で、「非核化が進まない中、先走りしている」との批判も浴びた。
韓国としても、今のままでは北朝鮮の要望に応じていくのは難しいだろう。年頭会見で文在寅(ムンジェイン)大統領は、北朝鮮が望む南北共同事業の再開に前向きな姿勢を示しつつも、「非核化実現と平和定着」の重要性を挙げたのは当然だろう。
非核化を小出しにしたり、言葉で約束するだけでは不十分だ。核施設の広範囲な公開、廃棄に取り組むよう、北朝鮮に促したい。
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