「襟裳岬」は思いつきの企画で100万枚超のセールを記録
さて、企画が通ったのはいいけど、本人の了承なんてとっていない。慌てて、岡本おさみさんの元へ向かいました。津田沼駅前の喫茶店で、「これこれこうなんで、ぜひお願いします」と頭を下げ、じゃあどんな歌にしようかと練っていた時、ちょうど出版予定だったご自身の詩集のゲラ刷りを岡本さんが持ってきていたんです。ちょっと見せてもらったら「焚き火」っていう詩があって、北海道の襟裳を旅行した時に、昆布採りの女性たちがたき火をしている姿を見て書いたものだという。「これをうまく歌詞にまとめられませんか」とお願いしたのが、後の「襟裳岬」です。
そしてもう1曲――当時はA面・B面と2曲必要だった――書き下ろしてもらったのが「世捨人唄」。この2つの歌詞を拓郎さんに送って、曲をつけてもらったわけです。
で、出来上がってきたデモテープを聴いてみると、「世捨人唄」の方は森進一用に歌詞を書き下ろしてもらっているから、いかにも演歌っぽい仕上がりで、ある意味、納得。