「襟裳岬」は思いつきの企画で100万枚超のセールを記録
襟裳岬(1974年)
私のディレクター人生最大のヒット曲が森進一の「襟裳岬」。レコード売り上げは100万枚を超え、その年のレコード大賞と歌謡大賞をダブル受賞。紅白歌合戦でも初の大トリを飾るなど、森さんにとっても代表作と言えるでしょう。
実はこの曲、ディレクターになって2年目の“ぺーぺー”の頃に手がけたもの。きっかけは、所属していたレコード会社の親会社からの独立1周年記念に「自分の担当以外のアーティストの企画を出せ」との社長の号令があり、思いつきで“作詞岡本おさみ・作曲吉田拓郎”って書いて出したら、それが通っちゃったからなんです。
岡本おさみと吉田拓郎といえば当時、「旅の宿」などのヒットを飛ばしていた売れっ子コンビ。なぜ2人の名前を書いたかというと、実はソルティー・シュガーをやっていた時に、拓郎さんから「演歌を書くなら都はるみか森進一だな」って聞いていたからなんです。確かにどちらも哀愁があるから合うだろうなと思っていました。拓郎さんはいまだに「そんなことを言った覚えはない」って否定してますけどね。