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戦国小町苦労譚 作者:夾竹桃

天正二年 東国征伐

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千五百七十五年 十月中旬

尾張に残った足満は、技術街に存在する兵器廠(へいきしょう)に詰めていた。

前線から早馬で齎された迫撃砲(はくげきほう)の運用データと、破損個所のスケッチを眺めて足満は唸っていた。


「火砲自体が未成熟な今ならば、野砲(やほう)と迫撃砲の良いとこどりをした兵器が通用するかと開発したが、先人の踏み固めた道をなぞらぬ独自の兵器は、そうそうものにはならぬか……」


破損した現物は重量があるため早馬では運べず、紙に墨で描かれた部品の図だけであったが、それでも何が原因で故障が発生したかは理解出来た。

そもそも足満が開発した迫撃砲は、厳密には迫撃砲とは呼べない。迫撃砲とは高い射角を取ることで、発射の衝撃を地面に逃がす構造になっており、射程や精度を犠牲にする代わりに極めてシンプルで軽量な砲である。

対して射程距離や命中精度を高めた火砲が、野砲(やほう)やカノン砲と呼ばれる砲となる。長大な砲身と堅牢な支持架(しじか)を必要とする複雑かつ重量級の砲だ。

迫撃砲がより簡素に、より軽量で可搬性に優れる方向性を持つのに対し、野砲やカノン砲はより遠くへ、より正確に砲弾を届かせると言う方向性を持っている。

前述の通り迫撃砲は射程と精度を犠牲にしてシンプルな発射構造を実現したため、お互いに相反する設計思想を持つようになった。

足満は静子の生まれた時代に迷い込んだ際、図書館通いをしていて火砲の存在を知った。自分の生まれ育った時代には存在しなかった長射程、大威力の兵器に魅せられ、それぞれの砲の構造と利点や欠点、進化の足跡を頭に叩き込んだ。

その上で、火砲自体が一般的ではない過渡期の今ならば、野砲やカノン砲よりも構造がシンプルかつ、純粋な迫撃砲よりも長射程高精度の砲が万能兵器として通用すると考えた。


「やはり隔螺式(かくらしき)閉鎖機(へいさき)は工作精度的に難しいか」


隔螺式閉鎖機とは、砲身の後部より砲弾を込めた後、螺旋型の溝を掘ったネジをはめ込むことで砲を閉鎖する。こうすることで、砲弾の発射される際の爆発による推進力を砲弾に余すところなく伝えることができる。

閉鎖機上部に存在するハンドルを回すことで、蓋の開閉及びネジの締め込みと緩めを実現するため、どうしても構造が複雑となり、可動部が多いため故障が生じ易くなった。

案の定今回もそこに問題が生じ、ハンドルを取り外した上でネジを嵌めたり外したりして運用したとのことだった。ネジの開け閉めに時間を要するため、発射間隔が伸びるが運用自体には問題がないためそのまま運用した。

そして次の問題が明らかになる。それは砲を構成する素材強度不足だった。繰り返される砲撃による熱と衝撃のため、徐々に砲身に歪みが生じ、ついには迫撃砲二門のうち片方の砲身に亀裂が生じてしまった。

こうなってしまっては爆圧がそこから漏れ、最悪の場合は砲身が爆発して大惨事を引き起こす。このため砲弾は未だ残っていたが、砲撃を中止せざるを得なくなったのだ。


「いくさに於ける、数の原理を覆す兵器は未だ完成には遠いか。静子が窮地に追い込まれ、例の砲弾を使わずに済んだだけでも良しとしようか」


そう独り()ちて、足満は報告書を片手に技術者たちの許へと歩んでいった。彼が最後に一瞥した場所には静子に渡したのと同型の砲弾が木箱に入った状態で安置されていた。

木箱の置かれた棚に付けられた名札には『白燐(はくりん)弾』と記されている。白燐弾とは現代でも存在する煙幕弾の一種であり、封入された白燐が大気中で燃焼すると吸湿して視認性を阻害する極めて透過性の悪い煙幕を発生する。

しかし、足満が静子の身を護る最終手段として託した武器がただの煙幕だけであるはずがない。足満が準備した白燐弾には焼夷(しょうい)効果が持たせてあった。

燃焼中の白燐が炎の粒子となって降り注ぎ、煙幕を無視して静子を追撃しようとした者には極めて重篤な火傷を生じさせる。付着した白燐自体が化学的に燃焼するため、容易には消火できず、露出した肌などに触れようものなら身を焦がされる地獄の苦痛を味わう羽目になる。

視界を遮りつつ追撃をも阻むため、逃げた方向すら掴ませない撤退時には極めて有効な兵器だが、風向き次第では自軍をも破滅に追い込むため、逃走時にしか使えない運用の難しい武器でもあった。







武田領へと攻め込んだ信忠は、季節外れの台風に直撃され壊滅的な損害を出していた。戦功を求めて(はや)る配下を抑えきれず、視界を遮るものすらない平野部に陣を張っていたため、被害が拡大した。

激しい風雨に晒され、雑兵は元より彼らを率いる将兵すらも散り散りになってしまい、信忠の周囲には馬廻衆など最低限の側近しか残されていなかった。

先日の血気盛んに進撃を訴えた軍議が嘘であったかのように、惨めな様相を呈していた。荒ぶる大自然の驚異に打ちのめされた信忠は、かつて静子が語った「勝ちいくさの時ほど、僅かな失策が軍全体の崩壊に繋がる」という言葉を噛みしめていた。


一方、武田側では勝頼が葛藤していた。物見より報告を受け、信忠の本陣が台風により大きな損害を出した事を知ったが、これを好機と見て追撃を出すか迷っていた。

豪雨によって大地は泥濘(でいねい)化しており、武田が誇る騎馬隊の機動力は()がれてしまう。更には無敵と呼ばれた信玄すらをも討ち取った静子軍の存在があった。

何が飛び出してくるか判らないビックリ箱のような存在であり、高天神城での合戦では空から死の礫を降らせるという妖術めいた手段で、友軍の北条軍を壊滅へと導いた。

信忠を討ち取る絶好の機会でありながら、致命的な逆激を受ける可能性を捨てきれず、追撃の命令を下せずにいた。

元より勝頼は織田を倒せるとは思っていなかった。武田家の態勢を立て直す時間稼ぎが目的であり、織田に対して武田は侮り(がた)しと思わせることさえできれば良かった。

そこへ折よく北条から共闘の申し出があった。仮に信玄が存命中であれば、援軍を頼ることもなく、北条の申し出の裏に存在する狙いをも見抜いて応じなかったであろう。

しかし武田家内で孤立し窮地に陥っていた勝頼は、国人としての教育を受けておらず政治的な視野に欠けることもあり、北条の甘言に飛びついてしまった。

いざ蓋を開けてみれば、高天神城での壊滅的な損害を出した上での大敗。北条の狙いが何処にあったにせよ、到底割の合うものではないだろう。

それでも信忠の首を取れば帳尻は合う。降って湧いた絶好の機会だと言うのに、勝頼は嫌な予感を拭い去れず二の足を踏んでいた。


勝頼は自領にある高遠城へと引き上げたが、北条軍は違っていた。勝頼を唆して戦端を開いたものの、織田・徳川連合軍に良いように打ち負かされ、看過できない損害を出していた。

何一つ戦果を上げることなく壊滅的な損害を(こうむ)った。ここはたとえ末席であっても、織田家に連なる武将の首級が欲しいと思っていたところへ台風が押し寄せた。

幸い撤退の途上に存在した寺に身を寄せ、台風をやり過ごすことが出来た。そこへ信忠軍の本陣が台風により壊滅したとの一報が入った。

目の前に大将首と言う金星をぶら下げられ、北条軍は急遽軍を編成し直し、信忠軍の本陣跡へと襲撃を企てた。どれ程の失態を演じようとも、次期織田家当主の首を挙げれば補って余りある。

しかし、元々敗走中であり士気も低く、速力優先で負傷者を運搬する荷車を牽く馬すら騎馬に仕立てて無茶な編成をしたため、寄せ集めでちぐはぐな部隊が出来上がった。


一方、信忠軍の本陣跡には、既に長可と慶次が到着して本陣の立て直しをしていた。地元住民の協力もあって、土砂崩れで通行不能となった道を避けて裏道を通り、早期の合流を果たしていた。

静子の許可を得ずに出陣したため、多くの物資は持ち出せず、手勢も少数に限られている。しかし寡兵とはいえ、普段から長可の無茶な行軍に付き従う一騎当千の猛者が揃っていた。

そして僅かとは言え、彼らが持参した糧食や医薬品によって信忠軍の本陣も多少の落ち着きを取り戻しつつあった。そこへ北条軍の残党が泥濘を掻き分けるようにして、隊列を伸び伸びにした状態でやってくるのが見えた。

静子軍制式採用の遠眼鏡でいち早くそれを発見した長可軍は、入念に準備を整えて待ち伏せを仕掛けた。新式銃は数が限られているため、鹵獲(ろかく)(戦場で敵より奪取すること)した火縄銃をも用いて一斉射撃で奇襲した。

射程も命中精度も違う武器を用いた射撃など、出合い頭の一度しか通用しないと割り切っている長可軍は、新式銃を装備した銃兵を残すと、火縄銃を放り捨てて突撃した。


「だっしゃぁぁ!!」


長可愛用のモーニングスターが騎馬の脚を粉砕した。泥濘に脚を取られて速度が落ちていたとは言え、甲冑を着た状態で落馬した武将の運命は潰えるしかない。

運悪く頭から落ちた武将は首を奇妙な方向へと捻じ曲げた無残な死体へと変じた。銃撃を受けて脚が止まったところへ、横合いから攻撃され北条軍は軍としての機能を失っていた。

準備万端待ち構え、長物を掲げて小部隊で攻撃してくる長可軍に、連携を失った個でしかない北条軍に勝ち目はなかった。


「ひゅー! 相変わらず凄まじい勢いだな。さて、こっちも負けちゃいられない」


長可軍の突破力に口笛を吹いた慶次は、北条軍が立て直しつつあった槍部隊の後方から奇襲をかけた。たとえ連携が取れない雑兵であっても、槍を持たせて数を揃えれば敵の突撃を防ぐ盾となり得る。

予期しない襲撃を受けた混乱の最中(さなか)、それでも槍部隊を立て直した北条軍の指揮官は優秀だったが、慶次の策略は更にその上を行った。

騎馬だけでなく歩兵を随伴していたことから、混乱が収まれば態勢を立て直されると読んだ慶次は、茂みに身を隠して背後に回り込み、今まさに長可軍へと反撃しようとしていたところへ襲い掛かった。


奇襲に次ぐ奇襲を受け、状況を把握しようと馬上で周囲を見渡していた武将が唐突に落馬した。遅れて響いた乾いた銃声が、彼が銃撃を受けた事を知らせた。

脚が止まり棒立ちとなった騎兵など、新式銃を装備した銃兵の敵ではなかった。歩兵の守りを越えて、馬上の武将を次々に撃ち落としていく。

北条軍の隊列が伸びていたことも災いし、戦力の漸次投入という失態を招いた。抵抗らしい抵抗も出来ず討ち取られる武将を哀れに思ったが、慶次が手を緩めることは無かった。


「こっちは出番がなくて暇を持て余してたんだ、ここは一花咲かせて見せようか!」


言葉と共に慶次が繰り出したハルバードが一閃した。足場が悪い為、大きく踏み込まず足を踏ん張った状態での横薙ぎだったが、雑兵の首が三つ宙を舞った。


「ほいきた! もう一丁!」


軽快な掛け声と共に、勢いを殺さずその場でくるりと回転した慶次が今度は一歩踏み込んで得物を大きく振るった。今度は首ではなく、ハルバードの回転半径上に存在した雑兵が十人ほども薙ぎ倒された。

長柄武器の遠心力と重量のある斧が繰り出す斬撃は、雑兵の鎧を打ち砕いて絶命させていた。その惨状を目にした雑兵は武器を放り捨てて、蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。


「逃げるんじゃねえ! 俺と戦え!!」


敵が逃げ出したからと言ってむざむざ見逃す長可軍では無かった。彼らは逃げる敵の背に追い縋り、刀で切り伏せ、拾った槍で突き刺し、槍が届かない位置まで逃げられれば投石をして追い打ちをかけた。

そこらじゅうで悲鳴が上がり、断末魔の叫びが響く阿鼻叫喚の地獄絵図が繰り広げられた。


「東国の連中は鉄砲を持ってないのか? これじゃ相手にならないだろ!!」


いかに長可が強いと言っても、鉄砲を前にすれば等しく命の危険に直面する。しかし、信長が東国に鉄砲や火薬が流れないよう締め付けているため、東国の鉄砲保有数そのものが少ないのだ。

当然北条軍も鉄砲は保有しているのだが、騎兵を主体とした奇襲をかけるつもりであったため殆ど持って来ておらず、更に混乱の最中に火縄が濡れてしまい発砲できなくなっていた。


「ひいっ! 鬼じゃ! 地獄の蓋が開いたんじゃー!!」


北条軍の足軽が悲痛な叫びをあげた。彼の目には返り血で真っ赤に染まり、見た事もない武器を振り回し、次々に味方を撲殺して回る長可が地獄の極卒にしか見えなかった。


「ふう。スッキリしたが、酷い臭いだ」


周囲から悲鳴が聞こえなくなった頃、長可は懐から手拭いを取り出して血塗れの顔を拭いた。溜まっていたストレスが発散出来た事もあり、血化粧が拭い去られると爽やかな笑みを浮かべてさえいた。

そもそもが数に劣るため、長可軍はこれ以上の追撃を中断し、慶次達と合流して信忠の許へと戻っていった。


「た、大儀であった。その……怪我をしてはおらぬのか?」


全身に返り血や肉片、臓物を貼り付けたままの長可は、むっとするような血臭を漂わせており、到底無事には見えなかった。一方で戦闘をしたとは思えぬような身綺麗な慶次は、長可が手傷を負ったなどとは考えていなかった。


「問題ございませぬ。散々に追い散らしたゆえ、すぐには戻って来ぬでしょうが、ここは敵地の真っただ中。長話をする猶予はございませぬ。我々が通ってきた裏道をご案内しますゆえ、静子の待つ中継地までご同行願います」


「む、そうじゃな。判った、皆の者かさばる荷物は捨てて構わぬ、引き上げるぞ!」


勝ちいくさから一転しての敗走に信忠が難色を示すかと思ったが、予想外に素直に撤退を受け入れたことに慶次はほっと胸を撫で下ろした。

長可と慶次の独断専行も信忠の命を守り抜いてこそ赦されるものであり、本来ならば懲罰を受けて然るべき行動であり、悪くすれば謀反と断じられる可能性すらあった。

一体何を察知したのか判らないが、今動かねば信忠が命を落とすと訴え、慶次を説き伏せて無理矢理出陣した長可も安堵した表情を浮かべていた。


慶次を先頭に据え、中ほどに信忠を配し、殿(しんがり)は長可が引き受けると言う隊列で物資集積拠点を目指した。信忠は長可に協力した村人は勿論、途中に通りかかった村々で北条軍から奪った金品を分け与えた。

こうすることで織田軍に(くみ)すれば利益があり、次に訪れた際の協力を得やすくなる。更には仮に武田軍や北条軍が追撃を放ったとして、途中の村々が潤っていれば、彼らはそちらに目を奪われて手が緩むかもしれない。

自分達に協力しなかったと言いがかりをつけて、彼らの財産を奪おうものなら、更なる国力の弱体化を招くことになる。一石二鳥の策略だが、成功する目算は高くない。

それでも種を撒かねば、芽は出ない。少しでも次に繋がる投資とすべく、信忠は身銭を切ってでも武田領の領民へと施しをしながら撤退していった。


幸いにして両軍の追撃を受けることなく、信忠は静子の待つ中継基地へと辿り着いた。信忠は撤退を決めた際に、友軍である徳川軍へも知らせを遣わせており、静子軍、滝川軍と共に徳川軍も合流してきていた。


「此の度は無様を晒し申した。一人の脱落者をも出されぬ徳川殿との差を思い知り、恥じ入っており申す」


「年若い貴方が年経た私と同じことをされたのでは、年長者として立つ瀬がござらん。それにそのような窮地にあって尚、命を拾われた。それは天の配剤(はいざい)というもの、武田を追い返し痛手を与えたことで良しといたしましょう」


「格別のご配慮痛み入り申す。我らは一度尾張へと戻ります。細かい戦後の処理については後ほど」


家康としては自領へと攻め入った武田・北条連合軍を追い払った上、逆に幾ばくかの武田領をも切り取ることが出来た。信忠軍には大きな損害が出たようだが、自軍には損害らしい痛手は皆無。上々の出来と言えた。

家康の見立てでは、今回の失敗をばねに信忠は更なる成長をするだろう。次に東国征伐が持ち上がった際には、今回の反省も踏まえて万全の状態で臨み、必ずや武田を打倒して見せると思われた。

味方でいる間は頼もしいが、己が天下を狙うならば必ずや眼前に立ちはだかるであろう強敵となる片鱗を感じていた。


信忠と静子は家康と別れると尾張へと戻った。静子は尾張で戦後処理をし、信忠は一足先に信長へ報告するため安土へと旅立っていった。

静子自身も信長へと報告の義務を負っているのだが、信忠が先に報告して次に静子が報告をするという形を取らねば、信忠の面目を潰してしまう。

迅速な情報伝達が求められるべきところにまで政治が関わってきており、面子を大事にするのって面倒だなと思いつつ、静子は自軍を解散させた。


(台風の到来は予想外だったけど、上様の課題は果たせたかな)


信忠は自身が出来る人事を尽くし、及第点以上の運用をしてみせた。しかし、天は身内の手綱を握り切れなかった彼に味方しなかった。

天が彼に微笑む時機を待てなかったのが敗因と言った処だろう。


(神ならぬ人の身では、どうする事も出来ない理不尽な失敗も起こり得る。己が手痛い失敗をしない限り学べない経験を積めた……ある意味、天は私に微笑んだのかな?)


信長が信忠に負け方を教える為、許容できる敗北を演出しようとした理由はそこにある。

敗北を知らない大将は、優勢な時は頼もしいが、一度劣勢に陥れば踏みとどまれない。敗北が忍び寄ってくる気配を己の肌で感じ取り、負けの気配に敏感にならねばいつか足元を掬われる。

こればかりは誰であろうと教えることが出来ず、己が敗北の中で学び取るしかないため、危険を承知で我が子を千尋(せんじん)の谷へと突き落とすような真似をして見せたのだ。


この敗北は多くの事を信忠に与えるだろう。それは自分達の手勢を失った身内からの糾弾であったり、対外的にもいくさ下手との評がたったりするかもしれない。

それでも信長は、その苦境の中から信忠が再び立ち上がると信じていた。彼一人では難しくとも、傍に寄り添う頼もしい先導役もいるのだ。


「しかし、あの奇妙様が恋文とはねえ」


静子は少し前のことを思い返して頬を緩めた。信忠が東国征伐に意欲的に取り組んでいるのは周知の事実だが、静子には普段以上に入れ込んでいるように思えた。

はじめは譜代の家臣に舐められないよう、己こそが次代の織田家を担う存在だとアピールしようとしているのだと思った。しかし、よくよく観察しているとそれだけではなさそうに思えてきた。

下世話な話だが男がやる気を振り絞る時、その陰には女の存在が付き纏う。そして静子は歴女の教養として信忠に関する予備知識を持っていた。

予想はついていたが、女の為に張り切るのも男の甲斐性と見守っていた。敗戦を経て尾張への帰還中、聞くのならば今しかないと思い、信忠に訊ねてみた。


「妙に張り切っていたけれど、そこまでして武田に固執した理由って、もしかして松姫かな?」


その瞬間、信忠の顔が真っ赤に染まった。周囲を固める護衛とは距離があり、彼の異変に気付けたのは(くつわ)を並べた静子だけであっただろう。

松姫とは、今は亡き武田信玄の六女であり、永禄12年(1569年)に信忠11歳、松姫7歳にして婚約していた。

しかし、信玄の西上作戦によりこの婚約は破棄されることとなる。戦国時代の婚約は現代のそれとは異なり結婚とほぼ同義であり、婚約した時点で妻は夫に対して全てを捧げるのが一般的であった。

婚約が破棄された後も、松姫は信忠に対して心を捧げ続け、密かに文のやり取りを通じて愛を育んでいた。松姫には婚約破棄後に何度か縁談が持ち上がったのだが、彼女は決して首を縦には振らなかった。

当時の女性は政治の道具であり、敵となった信忠に操を立てて縁談を断り続ける松姫の待遇は決して良いものではなかった。文を通じてその状況を知っていた信忠は、彼女を救い出すべく奮起していたのだ。


「静子、その話を誰から聞いた?」


「誰からって、文を届ける間者たちの元締めは私だよ? 文は上様が検閲されてるし、私は中身こそ見ないけれど、何処に届けるかは知っています」


信忠は馬上で顔を覆って悶絶した。普段から()も女には興味ありませんよと言う態度を見せてきた姉に、己の直筆ラブレターを見られた心境と言えば彼の苦悩が理解できるだろう。

信忠は一心に自分を慕ってくれる松姫に(ほだ)され、何時しか彼も彼女に恋愛感情を抱くようになっていた。それは婚約が破棄され、互いが敵味方の陣営に分かれても変わりがなかった。

松姫の置かれた境遇を知り、己の手で彼女を救い出す機会が巡ってきたのだ、それで張り切らない男はいまい。


「ち、違うぞ静子。お前は思い違いをしている。次期織田家当主のこの俺が、たかが女一人の為にそんな公私混同な真似をするはずないだろう?」


「別に私は松姫のこともあったのかなって聞いただけで、それが主要因だとは言ってないんだけど?」


語るに落ちるとはこのことであり、再び信忠は顔を覆って馬上に突っ伏した。


「良いじゃない? 好きな女の子の為に頑張れる男の子って恰好良いと思うよ?」


「ちが……違わない。もう良い、その代わり誰にも言うなよ?」


「良いよ。でも、割と知っている人は多いと思うけどね」


「ちょ!! ちょっと待て静子! そ、それは誰なんだ? 言えー!!」


信忠が取り乱して叫ぶが、静子は含み笑いを浮かべたまま聞き流す。周囲を固める馬廻衆も、いつもの事だと微笑ましく見守っており、二人を制止する者はいなかった。


因みに信忠を窮地から救い出すと言う大金星を上げた長可と慶次の沙汰についてだが、結果だけ見れば大手柄となる反面、軍隊と言う綱紀粛正(こうきしゅくせい)を旨とする組織に於いて重大な違反をも犯していた。

彼らは直属の上司である静子に無断で軍を動かし、更に極秘扱いの新式銃や銃弾をも持ち出して使用している。これは日本でたとえるなら自衛隊が最高指揮監督者である内閣総理大臣の許可を得ずに勝手に出撃し、他国と一戦交えたに等しい暴挙となる。

しかし、彼らの行動が無ければ信忠が命を落としていた可能性は高く、対外的には長可と慶次は出陣しておらず、信忠は独力で敵を退け、逃げ延びたという事になった。

無論彼らの命懸けの行動に対する報酬等存在しない。因みに彼らに従った配下については、特に罰されることもなく、正当な軍務に就いたとして報酬が支払われる。

一方彼らを率いた二人に対しては、内部的に懲罰が課せられることとなった。流石にこれだけの事をしでかしてしまうと、如何に静子であっても彼らをかばい切れない。

長可と慶次の二人には名誉も報酬もなく、信忠個人の覚えが目出度くなったと言うのが唯一の報酬だろう。彼らに課せられた懲罰は、譴責(けんせき)処分(失敗や不正を厳しく咎めること)となり軍規違反者として記録される。

彼らに与えられる俸給も減額され、休暇や自由裁量権についても一定期間制限されることとなった。


「今回は私の軍単独で行動していたから内々に処理できたけど、たとえ同じ織田軍であっても他の組織と合同で作戦行動をしている最中に独断専行をやらかしたら最悪謀反(むほん)と判断されて死罪を申し付けられるから気を付けてね。行動の発端が勝蔵君個人の勘であったとしても、相談されれば無下にはしないと約束するから二度とやらないこと。対外的には無かったこと(・・・・・・)になっているから、この件に関しては関係者全員に箝口令(かんこうれい)(他者に話す事を禁ずる命令)を敷きます」


静子は関係者全員を集めた上で、部下の面前にて二人に処分を言い渡した。配下の眼前で譴責されることは、二人にとって不名誉だが二人とも静子が出来る最大の譲歩と判っているため甘んじて処分を受け入れた。

長可の勘という根拠が薄い理由で軍を動かせば、静子が全責任を負う事になる。静子の迷惑にならないように、と考えた末での行動だったが、かえって静子に迷惑をかける事となってしまった。

それゆえ、尾張への帰途についても、二人については騎乗が許されず、営倉代わりの荷車に押し込められての謹慎処分に対しても文句一つ言わなかった。


「お帰りなさいませ」


静子が軍を解散させて屋敷へと戻ると、彩を筆頭に蕭、四六、器と静子に近しい面々が揃って静子を出迎えた。早馬によって負けいくさとなったことは伝えられており、静子の無事も伝えられていた筈だが、傷を負った可能性を考慮して医者と医薬品までが準備されていた。

少し過保護だと思いつつも、静子は彼らの心遣いに感謝し、やっと自分の家に帰ってきたのだと言う気持ちになった。


「ただいま、皆出迎えありがとう。いやー、負けた負けた。ここまでの大敗は宇佐山城以来かな? 後で上様からお叱りを受けるだろうけど、まずはお風呂に入りたいな。準備をお願い出来る?」


「既に用意してあります、すぐにでもお入り頂けます」


いくさの後も、畑仕事の後も一仕事終えた後はまず風呂と言っていたからか、入浴の準備は整っていた。彩を筆頭に侍女たちの手によって静子はいくさ装束を解かれ、慌ただしく風呂場へと向かった。

手早く体を洗い流し終えると、やや熱めの湯船に肩まで沈み込んだ。


「っああ……ふぅ……天然温泉を自由に使える……この役得だけは手放せないなあ」


じわじわと込み上げてくる熱に押されるように、口から奇妙な声を上げつつ静子は温泉を満喫した。広い湯船で手足を思いっきり伸ばし、大きく伸びをすると全身に凝り固まっていた疲れがお湯に溶けていくようにすら感じた。

余りの極楽気分に思わず寝そうになったが、何とか耐えていつもより長風呂を味わった。程よく茹で上がった肌を外気に晒して涼を取り、着替えて己の自室へと戻ると静子の自室を根城にしていたヴィットマンや、ユキヒョウのゆっきーやしろちょことともに、久々の自由を満喫していた。


「アニマルセラピーって本当に効果的だよね、この時代だと誰にでも出来ることじゃないんだけども」


主人の帰還に対する喜びを、体全体を用いて表現してくれるヴィットマン達の歓迎を受け、武田・北条連合軍とのいくさも過去のものへとなっていく。


「結局、上杉家に巣くう親北条派は蜂起しなかったんだね。高天神城での圧勝を耳にして、時期を見合わせただけかな?」


武田・北条連合軍の決起と呼応して何らかの行動を起こすと思われた親北条派は、不気味な沈黙を守っていた。

本来は織田・徳川連合軍と武田・北条連合軍のいくさが長引き、上杉謙信が信長からの援軍要請に応えて出陣して留守になったところで行動するつもりだったのだろう。

彼らの見込みでは高天神城は武田・北条連合軍の手に落ち、少なくとも籠城戦でいくさが長期化すると睨んでいたのだろう。しかし、蓋を開けてみれば電撃戦で決着が着いてしまい援軍要請すらなかった。

流石に謙信が睨みを利かせている状況で下手な動きなど出来ず、面従腹背を継続しているのかも知れない。


「今回で馬脚を(あらわ)してくれれば楽だったのに……いずれにせよ、今回の件で北条は苦境に立たされることになるね」


北条が堂々と敵対し、真正面から戦ったのであれば信長にも一考の余地があっただろう。たとえ敗北して織田の軍門に降ることになったとしても、北条家の存続が許された可能性すらあった。

しかし、今回のように姑息な搦め手を用い、中立を装っていながら奇襲するような真似は信長の心証を悪くする。以降、北条家の態度には信が置けないとして、お家断絶すらもあり得るのだ。

如何なる思惑で北条は挙兵したのか? 失敗した際のリスクを考えれば、到底割に合うとは思えない暴挙に静子の思考は出口のない迷路へと迷い込んだ。


「情報が足りないね。考えるのを止めよう」


いくら考えても答えは出ないと割り切り、静子は思考を放棄した。







「素晴らしい」


静子は届けられた刀を手にし、光に(かざ)してうっとりと呟いた。上気した頬と恍惚とした表情を浮かべ、余人が見れば恋でもしているかのようだが、手にしているのは人斬り包丁こと日本刀。

明らかにお近づきになりたくない類の人に見えるが、静子の刀剣蒐集癖は周知の事実となっており、それを口に出して指摘するものはいなかった。

静子が手にしているのは古刀ではなく、前々から依頼を出してついに打ち上がった刀剣であった。しかも、製造方法が戦国時代のものではなく、敢えて鎌倉時代の手法で鍛えられた一(ふり)であった。

現代に於いては失伝してしまった技術だが、刀剣蒐集の過程で技術を伝える一族が見つかったため、静子が一族の保護と引き換えに依頼したものであった。

待ちに待ったその刀がようやく自分の手に入ったのだ。静子が興奮するのも無理はない、しかし余人には到底理解し得ない話でもあった。


「さて、留守中に届けられた文を片付けるかな」


ひとしきり眺めて満足すると、静子は刀を鞘に納めて鹿の角で造らせた刀掛けにそっと置いた。興奮の余韻を振り払い、帰宅して以来決裁を保留し(サボって)ていた書類に手を付ける。

優先順位の高い方から上になるよう重ねられた書類をペラペラと捲り、その分量を見てゲンナリとした。なお、積み上がった書類を気合で片付け、信長に報告するため安土へと赴き、再び尾張へと戻ってきた際に、同分量が積み上がっているという未来を彼女はまだ知らない。


「秋は収穫絡みがあって、色々と判断することが多いなあ」


書類の大半は報告であり、決裁をするものはそれほど多くない。報告書は流し読みをする程度だったのだが、その中の一枚に静子の興味を引くものがあった。


「ほう! 隕石と隕鉄、両方手に入ったんだ」


静子が言う隕鉄とは現代に於ける『白萩隕鉄1号』の事である。1890年に富山県上市川上流で漬物石を探していた者が偶然発見したものだ(鉄隕石は大きさの割に非常に重いため、漬物石として適している)。なお、その発見から二年後に同じ地域から『白萩隕鉄2号』が発見されている。

静子が隕鉄の場所を知っていた理由は、この隕鉄を使って作られた長刀二口に短刀二口の流星刀(りゅうせいとう)の逸話を知っていたからである。

そして史実に於いて明治時代に榎本(えのもと)武揚(たけあき)がそうしたように、自分も隕鉄で造られた刀が欲しいと考えた。更に時勢も静子に味方した、謙信が信長に臣従したことを機に、謙信に許可を得た上で隕石探しを開始した。それがようやく発見されたとのことだ。


対する隕石とは1885年に田上山で百姓が偶然発見した日本最大の隕石である。田上隕石とも呼ばれ、こちらも鉄隕石でありその重量はなんと173.9kgもある。

静子の居た時代では東京の国立科学博物館の入り口正面に展示されていた代物だが、静子が欲した理由は単純だ。天からの飛来物であり、縁起を担ぐことの多い武家が好みそうだと考えたからだ。

静子自身の蒐集心も少なからずあるが、信長自身は縁起を担がずとも、配下に褒美として与える事もできるのではと考えたのだ。

当然無償で献上するつもりなどさらさらなく、彼秘蔵の刀剣などと引き換えにすることを目論んでいる。

そんな当人の内心を他にすると、余人の目にはただの石ころにしか見えないため、誰の共感も得られなかった。


「……さっぱり分かりません」


「安心しろ、俺にも分からん」


静子の養子である四六は得意満面の笑みでこの隕石を見せられ、困惑して上記の言葉を漏らした。四六の隣で静子の講釈を聞いていた慶次も、爽やかな笑みを浮かべて同意した。

大金を払って一抱え以上もある岩塊を買い付けたと聞いた時は静子の正気を疑った。確かに同じ大きさの石と比べると重いが、それが即ち天から飛来した証左になるとは到底思えず、粋を理解する慶次をして眉唾物であった。


「前田様もそう思われますか?」


「まあ、静っちが言うように漬物石には良さそうだが、それ以外は判らん。まあ、理解できずとも良いじゃねえか。静っちが嬉しそうなら、金を払った価値はあったってものさ」


「そんなものですか……」


以前とは異なり、妙に静子を意識しているなと慶次は思った。親が大人物だと子は萎縮するか、反発するものだが四六の様子はどうもそのような感じではなさそうに思える。


「どうした? 何か気掛かりな事でもあるのか?」


「静子様が私たちに愛情を向けて下さっているというのは、周囲の方々の言葉から理解できるのです。頭では理解できるのですが、今一つ腑に落ちないと申しますか、心で感じ取ることが出来ないのです。器は感じ取ることが出来たのか、すっかり静子様に打ち解けて、静子様に懐いています。私は未だ静子様を理解できずにいるから、その境地に至らないのかと思い、理解しようと努めているのですが……」


「わっはっはっはっ!」


四六が静子を気にかけている理由を知って慶次は呵々(かか)と大笑した。四六を馬鹿にしている訳ではなく、嬉しくなってつい破顔してしまったのだ。


「そのように笑われるのは、あんまりです!」


「悪い悪い、お前さんが可笑しかった訳じゃないんだ。ちと予想外の出来事に、嬉しくなっちまってね。まあ、方向性が間違っちゃいるんだがな」


四六の抗議に慶次は素直に謝った。煙管を煙草盆に打ち付け、灰を落とすと慶次は再び煙草を詰めながら言葉を紡いだ。


「愛情なんてもんは理解するもんじゃないんだ。腹を痛めて産んだから子供を愛するのか? 食い詰めて我が子を捨てる親なんぞ、履いて捨てるほどいる。お前さんはなまじ知恵が回るから余計な事を考えるんだ、静っちを信じて本音でぶつかれば良いんだよ」


もしも自分に弟が居たのなら、こんな会話を交わしたかも知れない。そんな事を想いつつ慶次は言葉を重ねた。


「恥も外聞も取り払い、拒絶されたらどうしようとか思わず、静っちに抱き着いてきな。人の体温ってのは、百の言葉を重ねるよりも愛情を伝えてくれるぜ?」


「はい……」


一応返事はするものの、顔を赤らめて俯くのみで一向に行動しようとしない四六に慶次は発破をかけた。


「おいおい、母に甘えるのは子供の特権だぞ? 何を躊躇う必要がある、今にしたくとも出来なくなるんだ。やらずに後悔するよりも、やって後悔した方が良い。静っちが拒絶するとは思わんが、上手くいかなかったら俺が良い場所に連れていってやるよ」


慶次の言葉に四六は言葉を詰まらせる。四六の態度に気をよくした慶次はニヤリと笑う。


「そうと決まれば善は急げだ。早速行ってこい。今なら静っちも暇していると思うぜ」


そう言うと慶次は四六を無理やり立たせて、背中を押して送り出す。それでも尚振り返ると、慶次は和やかな笑みを浮かべて頷いていた。

こうなっては腹を括るしかないと理解すると、四六はおずおずと歩き出した。


「ありがとうございます。それでは行ってきます」


何とかそれだけ口にして、悩みが晴れて爽やかな気持ちになった四六は、意気込んで静子の部屋へ向かった。


その後、静子の部屋まで行ったまでは良いが、肝心なところで言葉が出ずにすごすごと帰ってきた四六を、慶次が慰めて色街へと連れ出そうとしたのを彩が見(とが)め、雷を落としたのは言うまでもない。



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