2019年1月、イケハヤ氏が炎上している。
経緯を簡潔に説明する。

イケハヤ氏が主催しているサロン「脱社畜サロン」の
共同運営者である正田氏の経歴に嘘があるのではないか、
との意見がえらいてんちょう氏から提議された。

正田氏は数十億〜数百億単位のM&Aをしてきた経歴があると
自身のプロフに記載していた。

えらいてんちょう氏がその界隈に詳しい知人複数に聞いてみたところ、
誰も正田氏を知らなかった。
数十〜百億円規模の案件を取り扱うほどの人間なら、
その界隈では有名人になるのは間違いない、
とのことから今回の炎上は始まる。

この指摘に対し、正田氏は
「実際の案件は秘密保持のため言えない。
このような言いがかりをつけてきたあなたを名誉毀損で訴える」
とツイッターで宣戦布告。

これに対し田端氏が仲裁に入る。
「ちょっと盛ってました、すみません。で済むうちに謝っとけや」と
事態を収拾させる方向に誘導するも、
これに対しイケハヤ氏が激怒。

「悪くないのにとりあえず謝っておけという
昭和的・社畜的思想に我々は屈しない」
という内容のツイートを行い、イケハヤ氏にも飛び火。

複数方面からイケハヤ氏を諌める意見が寄せられるも
イケハヤ氏はそれらをアンチとしてブロック。
この対応に対して炎上が飛び火し、イケハヤ氏も炎上した。

以上が僕が把握している現状だ(2019/1/13時点)。


この騒動を見ていて僕は「ついに始まってしまったか」と思った。

僕は昨年から、イケハヤ氏がおかしくなってきている、と感じていた。
どのようにおかしくなったのか。
それは自分の守備範囲から出ていると感じていたのだ。

まず、良かった頃の話からいこう。

僕はまず、堀江さんの本を読み、イケハヤ氏の存在を知った。

「特別な能力がなくても、誰もやっていない方法をすれば
生きていけるだけの収入を得ることはできるよ。
やるか、やらないかだけなんだ。
たとえば地方移住をしてブログ収入で生活しているイケダハヤト君は〜」

という文脈で登場した。
ここで僕はイケハヤ氏を知り、検索してブログを読むようになった。
この頃(2017年ごろ)は、高知に移住し、
自作の小屋を建てたり農業や地域の活性化を目指して活動していた。

僕はこの頃のイケハヤ氏が好きだった。
同時に、彼の代表作である『まだ東京で消耗してるの?』を読み
地方移住を検討するようになった。
僕も、サラリーマン以外の経済基盤を構築したら、
東京にこだわる必要性もないので
生活コストが低く、自然や美味しい食材のあるところへ
移住したいと考えている。

イケハヤ氏ツイッターによりサウザーラジオの存在も知ることができ、
彼のキュレーターとしての功績も、僕個人としては感謝だ。

僕が思うに、イケハヤ氏はこの路線でいけばよかった。

地方活性化と情報発信のブログを地道に続ける。
表現方法としてYoutubeにも進出、さらなるファンを増やし
最終的に地方に移住する人が増えるムーブメントの火付け役になる。
狭く深く進んでいってほしかった。

だが彼は拡大の方向に進んだ。

規模の面でいうと書生の募集、法人化、コミュニティビジネスへの参入。
それに伴い資金面で仮想通貨や有料note販売、サロン収入。

僕はこれらのビジネスや動き、それ自体が悪いとは言わない。
ただ、イケハヤ氏にはマッチしていないと思う。

イケハヤ氏は、人の上に立つ人間ではないと思う。
多くの人を率い、育てる、大将という器ではないし、そういう思想でもない。
これ自体は悪いことではない。適正の問題だ。
彼は良い意味で個人プレーに特化した人間だ。

だからこそ彼は大企業を退職し、
組織に属さない生き方を選んで
実際に成功できたのだ。

そういう人なのだから、組織のリーダーはできないのだから、
事業を大きく、組織を大きくしてはいけなかった。

組織が大きくなり、そのリーダーになってしまったら、
個人としての思想は貫き通せなくなる。
その組織のになってしまうからだ。

今回の件で、その組織の顔としての役割を
イケハヤ氏は拒否した。
正確には、首を突っ込まないという選択肢もあったんだけど、
我慢できず突っ込んでしまって、自滅した。

自分の考え方を述べるところまではいい。
それは自由だ。
だが建設的な対立意見を述べてくる人を
感情に任せてブロックしてしまった姿勢。
さらにその後、意見を述べてきた人を批判する行為。
これがいけなかった。

これは組織のリーダーたる人の行動ではない。

イケハヤ氏が組織(サロン)のリーダーでなかったら、
全然問題ない行動だ。
個人の自由だから。
でも彼はリーダーになってしまっていたから、
ここまで問題が大きくなった。

そして問題が大きくなって、なぜいけないのか。

それはファンが離れるということだ。

イケハヤ氏は、良くも悪くも、ファンを教育していた。
会社員という生き方は〜社畜は〜昭和は〜とブログを始め、
ツイッターや最近はyoutubeでも発信するようになった。

リーチ出来る層を拡大しまくっていた。

そして、無知な人々に教育を施した。
ちょっと知識を入れた人々は、今回の騒動を見て、
田端さんやその他、さらに優秀な人たちの意見も目にする。

その意見を聞いて、
「アレ?イケハヤさんたちの方がおかしくね?」と
人々が気づくレベルにまで教育してしまっていたことは
皮肉という他ないだろう。

(「信者」は感情的になって「イケハヤさんを批判する奴はおかしい!」
となっているので問題ない)

こうして、イケハヤ氏からファンが離れ、本質的な人たちにファンが移行する。

そうしたら、イケハヤ氏の収入は減ってしまう。
サロン会費、有料note、
収入源が激減することが予想される。

イケハヤ氏が見落としていたのは、
蒙昧な人々も、時間を経れば成長し
さらなるリテラシーを身につける点だ。
その教育をイケハヤ氏自身が行っていた。

リテラシーを身につけた人は、イケハヤ氏から巣立ってしまう。
なぜなら、イケハヤ氏はホンモノではないからだ。

ホンモノとは、表立って活躍し、人々の耳目を集める存在。
大勢の人々のリーダーとなり、成果を出し社会に還元する存在。
大企業の顔となる人、政治家、大御所芸能人のような人々だ。
いわゆる公人という人で、一昔前でいうならば英雄のような存在。

残念ながらイケハヤ氏はこれに該当しない。

イケハヤ氏はこういう俗世的な英雄的な人たちとは逆方向で、
目立たないけど実は稼いでいて、悠々自適な暮らしをしている
隠れ仙人ような存在。

こういう守備範囲なのに、その範囲から出て、
仙人が英雄になろうとした。

器がないのに、手を出してしまった。
それが露呈したのが今回の一件なんだ。

みんな薄々、感じていたと思う。
なんか最近のイケハヤおかしくねーか?と。
でも別に悪いこともしてないし(仮想通貨で多くの人を自己責任で地獄へ誘導したが)
社畜煽りもちょっとエスカレートしてきちゃったか?と思われる程度だった。
うまく言葉にできない違和感、それが2018年のイケハヤ氏だった。

でも今回の一件ではっきりと露呈してしまったんだ。
イケハヤ氏は英雄ではないと。
ホンモノではないと。

そして自らが教育した人々にホンモノを見せてしまったので、
ファンはホンモノへ流れていく。
この流れはもう止められないだろう。

イケハヤ氏は、また新たに蒙昧な人々を集め直さなくてはならなくなった。

だが僕は思うに、こういう蒙昧な人も、有限な資源なんだ。
無限にいるわけじゃない。
彼は先駆者だったので基盤を作れた。
少子化で供給は細っているし、
今では有力な教育者が増えているので
ファンの取り合いをしているような状況だ。
そして今回の事件。

一度離れたファンは戻ってこないだろう。
特に本件のような、「巣立ち」の形では復帰はまずない。
上位互換へ流れてしまったら、逆はないのだ。

このことを僕は昨日1日考えながら、イケハヤ氏の軌跡を思い返していた。
だからこそ思う。

巨星堕つ と。

彼がネット社会に及ぼしてきた影響そして実績は特筆に値するものだ。
多くの可能性を示し、多くの示唆を人々に与えた。
その功績は疑いようがない。

そしてその巨星がどんどん膨張し、弾けた。
堕ちていく様を、今僕たちはリアルタイムに眺めている。
僕らは当事者ではない。
だからこそ、これは天体ショーみたいなものなんだ。

ネットの寵児が堕ちていく。
一時代を築いた人が散っていく。

このことは自分自身にも大きな示唆となったし、
自分が信じている方針が間違っていないと確信することもできた。
それは自分の適正と器を考えること。
マッチしていないことをしても、いずれ崩壊してしまう。

僕はこういうのを見るのが初めてではない。

永井先生や、メグウィンも膨張して散っていった。
歴史的にも、似たような話は多い。

個人的には、
先に述べた路線でイケハヤ氏が自分にマッチした方法で
再起をしてほしいと願う。

欲張らなければ、良いものをたくさん持っているんだから。