朝鮮日報

【社説】韓国司法史に汚点を残す前最高裁長官への取り調べ

 梁承泰(ヤン・スンテ)前大法院長(最高裁長官)が司法行政権乱用の容疑で被疑者として検察の取り調べを受けた。大法院長経験者が検察の取り調べを受けるのはこれが憲政史上はじめてのことで、韓国司法の歴史に大きな汚点として残るだろう。しかし現状に至るまでのプロセスはどこかすっきりしない。問題のきっかけとなったのはいわゆる「判事ブラックリスト」だが、いくら調べてもブラックリストそのものは出てこなかった。すると今度は上告法院を立ち上げることで前の大統領府などと考えが一致し、裁判に影響を及ぼしたとする「裁判取引き」が問題となった。しかし現職の大法院長が立ち上げた調査チームは「裁判取引きが認められる何らかの資料や状況証拠は見つからなかった」「それ以外の司法行政権乱用問題も刑事処罰を行うようなものではない」などと発表した。大法官13人全員も「裁判取引きなどあり得ないことだ」との考えを示した。

 すると今度は文在寅(ムン・ジェイン)大統領自ら動き出し、検察に対して事実上の捜査指示を行った。大法院長も自分がとりまとめた調査結果を覆し、大統領の指示に従った。影響で前職と現職の判事100人以上が検察に出頭させられ取り調べを受けた。梁氏が大法院長だった当時、裁判取引きが疑われるような文書を作成したのは不適切だったが、確定判決が先に出たことで裁判への介入は最初から成り立たなくなった。

 検察は事実の解明よりも、大統領の意向を重視する動きを示している。梁氏に先立って起訴され現在裁判が行われている林鍾憲(イム・ジョンホン)元法院行政処次長に対する検察の訴状は、判事が指摘した部分だけで38カ所もの間違いがあった。時系列など基本的な事実関係にさえ問題があった。これではこの問題によって司法への信頼回復どころか、司法の分裂を増幅させるだけだ。

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