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ゲームの世界ならもっと幸せに暮らしたい 作者:光好
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井戸でのイベント

どうやら井戸へは、顔を洗う為の水を汲みに来るだけでなく、生活用水の為の水も汲みに来なければならないらしい。

ひとつのバケツをいっぱいにした姉キャラはこちらへ戻ってくると目をぱちくりさせて、


「あら、レイヴン、バケツ忘れちゃったの?玄関のところにふたつ置いてあるやつよ。」


さすが、周りのキャラは主人公に対しての色々な情報を会話に組み込んできてくれる。

でもあれって、現実で考えるとかなり不自然な話し方だ。わかっていて当然のことをいちいち口に出して言っていたら鬱陶しいことこの上ない奴だ。


なるほど、玄関のふたつのバケツ、と。


俺はまた姉キャラと手を繋いで元来た道を辿って家へと戻った。


家で顔を洗って、姉キャラに頼まれたので、台所の水瓶がいっぱいになる程度の水を汲みに、再び井戸広場へと戻ってきた。


置いてある木のバケツを落として、ロープを引っ張り汲み上げる。

なんてことはない。ただの井戸だ。


もう一杯汲もうとバケツを下ろしたとき、突如頭から水が滴り落ちてきて、何事かと目を瞬いた。


「へーっ!!やっぱり気づかねぇのな!!この人形っ子!!」

「気持ち悪ーっ」

「お前さっき姉ちゃんと手繋いでたねぇ。一人じゃこれないのかなー?赤ちゃんレイヴンの世話は大変だー」


子どもの声がみっつ。

どれも少年の声だ。

振り返ると、何ともまあ、「ボクらはやんちゃです!」と顔に書いてあるような、絵に書いた悪ガキが俺を馬鹿にして、腹を抱えて笑っている。


ん?

これは何かのイベントか?


何か起こるのかとじっとしていると、こちらを笑っていた子どもはだんだんその勢いを失い、俺と目が合うと口元を引き攣らせて後ずさった。


え、何もないの?


俺が黙っていることに耐えられなくなったらしい。子どもは悲鳴を上げながら走り去った。


げ、俺と同じ方向かよ。


近所にいじめっ子が住んでいるとわかりちょっとげんなりしたが、あれくらいじゃいじめにもなってないなと思い直して、水を持参のバケツに移し、よたよたと家へ帰った。

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