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ゲームの世界ならもっと幸せに暮らしたい 作者:光好
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導入のようなもの

諸君は、ヴァーチャルリアリティ、VRをご存知だろうか。

眼鏡型のゲーム機を頭部に装着して遊ぶハイテクメカなおもちゃだ。


あれの進化は目覚しいと巷では話題になっていた。たしかに、自分がそのゲームの中に入っているような視覚体験が出来るのはすごいと、テレビを見る度思っていた。

だが俺は、今思い返せば完全に、間違いなく、確かにかなり、侮っていた。

ただのおもちゃだとしか思っていなかったのだから。


まさかこんなにリアルに近いなんて微塵も思っていなかった。


ある朝目覚めると、別世界が広がっていた。

寝ぼけた頭で部屋を見回し、放心状態と言うか、夢心地で現状の把握を試みた。目を開ける前に何をしていただろうかと思考を巡らせた。


ダメだった。


一週間前の昼食が何だったかを考えることくらい無意味に終わった。

じゃあ何なんだ。

俺は何だ。

ココはどこ私は誰?


自分の部屋で寝ていた筈なのに、と宙を睨み、ぽん、と手を打った。

あれか。VRとやらだ。

二次元に入れると話題のあれだ。


俺は確かめる為に手を握ったり開いたりした。

感覚は鈍い。分厚い手袋をした上から布を被せて、さあ布の感触は?と聞かれたみたいに何も感じない。

それじゃあ、と頬をつねってみた。

痛みは皆無だった。


間違いない。

ここはゲームの世界だ。

俺ってばいつの間にゲーム買ってたんだろう!


目元に触れても何も無い。

イヤホンやヘッドホンがあるかと思えばそれもない。

小さな体をぺたぺた触りゲームってばやべぇなと感心しきりだった。


そこから、俺の退屈すぎる日常系ゲームが始まった。

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