(cache)かつて携帯音楽プレイヤー「ウォークマン」で世界中を沸かしたソニーグループが、現在、携帯ガジェットで足を引っ張られているという皮肉 | ビジネスジャーナル
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なぜソニー「PS Vita」は爆死したのか?“必然だった”ニンテンドー3DSへの惨敗


 とはいえ、メーカーであるカプコンはモンハンシリーズを、そこまで潔く切るかというほど、すっぱりPS Vitaと決別させました。その理由はPS Vitaで出すよりも、販売台数で圧倒していたニンテンドー3DSで出すほうがより売れると判断したからで、ビジネスとして考えれば至極当然の選択です」(多根氏)

 実は、一時代を築いた前身機PSPでミリオンセラー以上のヒット作となったのは、モンハンシリーズの4作品のみ。カプコンの公式サイトによると、『モンスターハンター ポータブル』(2005年発売)が約130万本、『モンスターハンターポータブル 2nd』(2007年発売)が約240万本、『モンスターハンターポータブル 2nd G』(2008年発売)が約380万本、『モンスターハンターポータブル 3rd』(2010年発売)が約490万本となっている(以上、本数はダウンロード販売を含む)。一方、PS Vitaのタイトルで100万本突破のヒット作となっているのは、『Minecraft: PlayStation Vita Edition』(2014年発売)の1本のみなのである(以上、本数はダウンロード販売を含む)。

 PS Vita は、モンハンシリーズという“エースで4番”がライバルチームに移籍した状態からの勝負を、強いられていたというわけだ。

「モンハンシリーズというキラータイトルを失ったのももちろんですが、振り返ってみても、PS Vitaの代表作という代表作が思い当たらないのです。PlayStation 4(以下、PS4)と同時発売されるマルチタイトルが多かったため、“PS Vita専用”のゲームがあまりないのも玉に瑕(きず)。PS Vitaを持っていなければプレイできないヒット作が、ほとんどなかったのが実情です」(多根氏)

 任天堂の場合、「スーパーマリオ」シリーズ、「マリオカート」シリーズ、「どうぶつの森」シリーズ、「ポケットモンスター」シリーズ(任天堂のグループ会社から発売)といった、出せばミリオンヒットが約束されているようなタイトルを複数抱えている。それに対し、SIEはそういったミリオンヒットを飛ばせる自社タイトルを持てなかったことが、敗因のひとつなのだろう。

「かくいう私はPS Vitaをこれまでに2台購入し、今でもPS Vitaでよく遊んでいます。ただし、それはPS4とPS Vitaをリンクさせ、PS4のゲームをPS Vitaでリモートプレイして使っていることがほとんどです。PS4のゲームを寝転がりながらプレイできたり、屋外でもプレイできたりという部分に魅力はありますが、それは言ってしまえばPS Vitaのメインハードとしての魅力ではなく、“PS4の周辺機器”としての魅力にすぎません。ですからPS Vita出荷停止、後継機なしというのは当然の結果のように感じています。

 ソニーグループは携帯ゲーム機市場から撤退し、Xperiaシリーズが大赤字を垂れ流しているため、携帯電話市場でも苦戦しています。今のソニーグループにとって、“携帯”は鬼門なのかもしれませんね」(多根氏)

 かつて携帯音楽プレイヤー「ウォークマン」で世界中を沸かしたソニーグループが、現在、携帯ガジェットで足を引っ張られているというのは、なんとも皮肉な話である。
(文=A4studio)

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