米中は北の非核化では協力を

社説
2019/1/11付
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北朝鮮の金正恩委員長が中国の習近平国家主席と北京で会談した。習氏の訪朝が実現しないまま9カ月強の間に4回も訪中したのは外交儀礼上、極めて異例だ。トランプ米大統領との2回目の会談を控え、中国の支援を得るには背に腹は代えられないのだろう。

金正恩氏は会談で非核化の立場を堅持するとし、トランプ氏との再会談への意欲を表明。習氏も米朝対話を支持すると応じた。過去3回の中朝首脳会談は米朝の重要な協議の前後に開かれた。米朝の再会談開催に向けて米朝交渉が加速する可能性がある。

朝鮮半島の緊張が和らいでも北朝鮮の核の脅威は去っていない。金正恩氏は米朝の再会談について「国際社会に歓迎される成果を得られるよう努力する」と語った。国際社会が求めるのは完全な核放棄だ。まずは非核化への道筋を明確に示すことが欠かせない。

金正恩氏は経済建設に総力を結集する新路線の環境整備を優先する考えを伝えた。北京市内の経済技術開発区を視察したのも、「経済重視」を印象づけ、国際制裁網を崩す意図が読みとれる。

中国は北朝鮮との結束を貿易戦争を巡る対米交渉のカードにする狙いがあるのではないか。北朝鮮に影響力のある米中は安全保障と経済を取引すべきでない。北朝鮮の非核化が望ましいとの立場で利害は重なっており、半島の安定のため協力する責務がある。

金正恩氏が習氏に協力を求めた「朝鮮半島問題の全面的な解決」は、制裁解除や朝鮮戦争に関する終戦宣言、平和協定などとみられる。北朝鮮が非核化に着実に取り組まなければ、いずれもあり得ないと国際社会がしっかり足並みをそろえなければならない。

日本の役割も大事だ。北朝鮮政策で日米韓連携の一角を担った韓国が南北融和を鮮明にするなか、米朝が核問題で曖昧な取引を進めないようトランプ氏をつなぎ留める必要がある。非核化で存在感を示すことは朝鮮半島の新秩序づくりや日朝交渉にもつながる。

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