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上記トレードマークの背景地図は、1991年当時の特許登録件数を陸地の大きさと形状に擬態化して、地図状に表現したものです。

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「小僧寿し」事件(損害不発生の抗弁等に関する判例)

【判示事項】
 1.フランチャイズチェーンの名称は、商標法26条1項1号にいう自己の名称に該当するとされた事例。
 2.「小僧寿し」が著名なフランチャイズチェーンの略称として需要者の間で広く認識されている状況の下では、登録商標「小僧」と標章「小僧寿し」「KOZO ZUSHI」は類似しないとされた事例。
 3.商標権者に損害が生じていないことが明らかな場合には、使用料相当額も請求することができないとされた事例。

【判決要旨】
 1.フランチャイズ契約により結合した企業グループは共通の目的の下に一体として経済活動を行うものであるから、当該企業グループに属することの表示は、主体の同一性を認識させる機能を有するというべきで、企業グループの名称も商標法26条1項1号にいう自己の名称に該当すると解するのが相当であり、本件において、「小僧寿し」は、フランチャイズ契約により結合した企業グループの名称である小僧寿しチェーンの著名な略称であり、被上告人による被上告人標章の使用は、上記略称を普通に用いられる方法で表示するものということができるから、被上告人の各標章の使用には、「小僧」の文字よりなる本件商標権の禁止的効力が及ばないというべきである。
 2.「小僧寿し」は小僧寿し本部又は右チェーンの略称として一般需要者の間で広く認識されていたというのであるから、被上告人標章については、一般需要者が「小僧寿し」なる文字を見、あるいは「コゾウズシ」又は「コゾウスシ」なる称呼を聞いたときには、本件商品の製造販売業者としての小僧寿司本部又は同チェーンを直ちに想起するというべきで、「小僧寿し」は、一般需要者によって一連のものとして称呼されるのが通常である。よって、被上告人標章は、全体が不可分一体のものとして、「コゾウズシ」又は「コゾウスシ」の称呼を生じ、企業グループとしての小僧寿しチェーン又はその製造販売に係る本件商品を観念させるものとなっていたと解するのが相当であって、「小僧」又は「KOZO」の部分から出所の識別標識としての称呼、観念が生ずるとはいえない。そこで、「小僧」の文字からなる本件商標と被上告人標章とを対比すると、外観及び称呼において一部共通する部分があるものの、被上告人標章中の上記部分は独立して出所の識別標識たり得ず、需要者において商品の出所を誤認混同するおそれがあるとは認められず、したがって被上告人は本件商標に類似するとはいえない。
 3.商標法38条2項の規定によれば、商標権者は、損害の発生について主張立証する必要はなく、権利侵害の事実と通常受けるべき金銭の額を主張立証すれば足りるが、侵害者は、損害の発生がありえないことを抗弁として主張立証して、損害賠償の責めを免れることができると解するのが相当で、損害の発生していないことが明らかな場合にまで侵害者に損害賠償義務があるとすることは、不法行為法の基本的枠組みを超えるもので、同条2項の解釈としては採りえない。
 商標権は、商標の出所識別機能を通じて商標権者の業務上の信用を保護するとともに、商品の流通秩序を維持することにより一般需要者の保護を図ることにその本質があり、特許権や実用新案権等のようにそれ自体が財産的価値を有するものではない。したがって、登録商標に類似する標章を第三者がその製造販売する商品につき商標として使用した場合であっても、当該登録商標に顧客吸引力が全く認められず、登録商標に類似する標章を使用することが第三者の商品の売上げに全く寄与していないことが明らかなときは、得べかりし利益としての実施料相当額の損害も生じていないというべきである。

【判決日】平成9年3月11日
【裁判所】最高裁判所第三小法廷
【事件番号】平成6年(オ)第1102号
【判決要約担当者】弁理士 八谷 晃典
【判決全文URL】
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0010?action_id=first&hanreiSrchKbn=01

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