「たわむれに作った君のコピーはどうしたのかね? 処刑されたのはあるいはオリジナルのほうだったかもしれない」
「バッキャロー、俺は俺だ、ルパン三世だぞ!」
「よく考えてみることだ。ハハハハ…」
さらに不二子を連れ去り、巨大地震を起こして街を一つ壊滅させてしまうマモー。マモーの脅威に次元は心が折れてしまうが、ルパンはマモーに反撃を誓う。それが「夢、盗まれたからな」のシーンにつながっていく。
ルパンは神の存在を否定し、永遠の命も欲しがらない男である。なぜそんなことができるのというと、彼は現実世界ですでに「スーパーヒーロー」(劇中にスーパーマンやバットマンと肩を組んでいる新聞紙面が登場する。また、「Super Hero」という挿入歌も存在する)であり、欲しいものはすべて自分で手に入れることができるからだ。ルパンはきわめて現実的な男であり、だからこそ彼の頭の中には「現実的な欲望」と「虚無」しかない。しかし、その現実が「自分はクローンではないか」という疑いのせいで揺らいでしまった。
小黒は「自分自身の存在が、彼の“夢”を実現したものだったのだ」「自分がルパン三世である事を証明するために、マモーと対決する」と指摘している。ルパンがマモーに奪われた“夢”とは、自分自身の存在であり、現実であり、プライドであり、自信だった。それこそが『ルパン三世』の物語と、ルパン三世というキャラクターの本質だということなのである。
ルパンの本質を描ききった『ルパンVS複製人間』、今夜21時から。お見逃しなく。
(大山くまお)