これはルパン、マモー、そしてアメリカということだろう。
ルパンの「夢」とは一体何か?
ここから先はネタバレです。38年前の映画ですが、一応言っておきます。
『ルパンVS複製人間』屈指の名場面といえば、不二子をさらわれたルパンがマモーに最終決戦を挑もうとするが、相棒の次元がそれを止めようとするシーンだろう。1人で歩き出すルパンの足元をマグナムで撃って次元が叫ぶ。
「行くな、ルパン!」
「俺は、夢、盗まれたからな。取り返しに行かにゃ」
「夢ってのは女のことか?」
「実際クラシックだよ、お前ってやつぁ」
このシーンでルパンが語っている「夢」とは何なのか、何がルパンの動機になっていたのか、一見ではわかりにくいかもしれない。「夢=不二子」のように考えてしまいがちなのだが、ここで語られている「夢」がルパンという存在そのものを読み解く鍵になっている。
ヒントは、マモーがルパンを捕まえて、ルパンの頭の中を調べるシーンにある。ルパンの意識の中にあったのは不二子をはじめとする女性の裸体と銭形警部ばかりで、さらに意識の真相にはまったく何もない“虚無”だった。驚愕したマモーはこう叫ぶ。
「なんということだ! ルパンは夢を見ない! 空間! 虚無! それは白痴の、あるいは神の意識に他ならない!」...続きを読む