テレビ朝日系2時間ドラマ「家政婦は見た!」などで知られる演技派女優の市原悦子(いちはら・えつこ)さん(本名・塩見悦子)が12日午後1時31分に心不全のため死去したことが13日、分かった。82歳だった。
通夜は17日午後6時から、告別式は18日午前11時から、いずれも東京都青山葬儀所で行われる。塩見家と所属事務所のワンダー・プロダクションが合同葬儀を行う。葬儀委員長は所属事務所の代表取締役社長、熊野勝弘氏。
市原さんは16年11月に自己免疫性脊髄炎のため都内の病院に入院し、以降、芸能活動を休業し、病気療養中だった。
17年2月にはリハビリ専門病院に転院し、退院した後は都内の自宅でリハビリに励んでいたが、思うように回復せず、同11月には出演予定だったNHK大河ドラマ「西郷どん」のナレーションを降板した。
しかし、昨年3月、NHK「おやすみ日本 眠いいね!」内で担当するコーナー「日本眠いい昔ばなし」の朗読を自宅で収録。亀が人里へ助けを求めに行く「亀の使い」の話で、動物たちの声を6種類の声色で演じた。以降、月1回のペースで同番組の声だけの収録を自宅で行ってきた。最後まで女優として仕事を貫き通した。
市原さんは、早大を経て、俳優座養成所に入所。同期には大山のぶ代さん、ジェームス三木さん、冨士真奈美がいた。57年に俳優座に入団し、新人時代から度胸のいい演技で、舞台、ドラマ、映画で活躍。71年に退団後は、75年から約20年にわたって声を担当したTBS系アニメ「まんが日本昔ばなし」、高視聴率を記録した2時間ドラマ「家政婦は見た!」(83年~08年)、NHK大河ドラマ「秀吉」の秀吉の母なか役など、演技派の女優として人気を得た。90年には映画「黒い雨」で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞した。
私生活では、俳優座で同期だった演出家の塩見哲さんと61年に結婚した。子宝に恵まれなかったが、おしどり夫婦として知られた。12年に市原さんがS状結腸腫瘍の手術を受けた時も、塩見さんは病床の妻を支えていたが、14年に肺炎で亡くなった。直後から市原も心身ともに衰えを隠せなかった。
◆市原悦子(いちはら・えつこ)本名塩見悦子。1936年(昭11)1月24日、千葉県生まれ。俳優座養成所に入り、57年に俳優座入団。71年に退団した。75年に始まったアニメ「まんが日本昔ばなし」の声優として活躍。83年に始まったテレビ朝日系ドラマ「家政婦は見た!」は四半世紀以上も主演を務める代表作。90年に映画「黒い雨」の演技で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞。舞台「トロイアの女」「近松心中物語」「雪やこんこん」、大河ドラマ「秀吉」などにも出演。夫は演出家の故・塩見哲さん。著書にエッセー集「ひとりごと」など。160センチ。