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オシドリの餌、イノシシ横取り 設楽・越冬地に出現

のんびりと川面でくつろぐオシドリたち。イノシシに慣れ、現れても逃げることはないという=設楽町田峯の「おしどりの里」で

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 日本有数のオシドリ越冬地として知られる設楽町田峯の寒狭川(かんさがわ)(豊川)河畔に連日、イノシシの群れが出没し、鳥たちの餌のドングリや古米を横取りしている。「各地の愛鳥家から寄せられた善意の餌。いくらイノシシ年とはいえ、あんまりです」。管理人の伊藤徹(てつ)さん(68)は怒り心頭だ。

 「おしどりの里」と名付けられた越冬地は、寒狭川流域の約三百メートルの区間。十月初めから翌年三月末まで滞在し、ピークの厳冬期には六百羽前後が川面を埋める。伊藤さんは毎日早朝、ドングリと古米各三十キロを河原にまき、鳥たちがついばんでいる。

 この河原にイノシシが出没するようになったのは、二〇一二年の暮れのこと。「見学のお客さんが帰り、人の気配が消える夕方に現れるんです」(伊藤さん)。侵入よけの電気柵を設けてみたが、水に入って迂回(うかい)することを覚えられ、無用の長物と化した。

鳥たちの餌を求め、河原をのし歩くイノシシ(5日夕、伊藤徹さん撮影、提供)=設楽町田峯の「おしどりの里」で

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 昨季まで一日一、二頭だった出没数が、今季は急増している。「昨年秋の二度にわたった台風で、山のドングリが壊滅状態になったせいかも」と、設楽町猟友会員の金田治久さん(50)は推測する。特に今年に入ってから増え、四日は四頭、五日が三頭、六日には九頭の親子連れが現れた。

 伊藤さんが鳥たちに与えるドングリと古米は、八十を超える県内外の個人、団体が届けてくれる。「イノシシに食べられた分は、あらためてまかねばならない。ストックが三月までもつかどうか、気が気じゃないんです」

 「おしどりの里」では昨年秋以降、二匹の野良猫が毎日のようにオシドリを襲っている。「イノシシに野良猫。暮れも正月も心が休まりませんでしたねえ」。川面を見ながら、伊藤さんは話した。

 (鈴木泰彦)

 

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