close

第79回 創志学園の登場で、関西と倉敷商らと新たな勢力構図2018年06月03日

印刷する    

【目次】
[1]古豪の倉敷工を中心岡山のレベルがup!
[2]名だたる選手を輩出する倉敷商
[3]新勢力としておかやま山陽が台頭

古豪の倉敷工を中心に岡山のレベルがUP!



古豪の倉敷工

 隣県の広島県が中等野球時代から実績を挙げていたのに対して、岡山県勢は戦前に甲子園出場したのは僅かに岡山一中(現岡山朝日)の1回だけである。しかも、戦後になってもしばらくの間は関西倉敷工岡山東商がポツンとある程度だ。

 当時の夏の地区割は、岡山、広島、山口の中から山陽代表1校という時代だったのである。だから、県で勝ち上がっても広島県と山口県の壁を破ることができなかったのである。
 岡山県は広島と兵庫に挟まれて、県そのものとしてももう一つ強くアピールする部分が少ないという面も確かにある。気候もある程度安定していて温暖で雨が少ない。人口も多くもなく少なくもない。歴史的には、第二次世界大戦でも広島の原爆や神戸大空襲というのを身近に見たり聞いたりはしているものの、自分たちは現実には辛うじて逃れられている。戦前から戦後の野球実績が、温暖な気候の割に目立たないのは、野球のような勝負事に対しても、決死の思いで必勝を期すというイメージもそれほどはないのかもしれない。それが、結果として野球では広島県、山口県を越せないことになったのではないだろうか。

 そんな岡山県で次第に全国に知られる存在となったのは倉敷工だった。その倉敷工は1961(昭和36)年の夏、延長戦で報徳学園を相手に11回表に6点取りながら、その裏6点を取り返されて、さらに12回に1点を失ってサヨナラ負けを喫することによって知られることとなった。甲子園の歴史に残る大逆転を食らった当事者として、全国的に有名になってしまったのである。

 それでも倉敷工を中心に岡山のレベルは上がっていったことは確かだ。倉敷工のライバルとして出てきたのは岡山東商だった。全国的な実績としてはむしろ倉敷工よりも強烈に印象づけた。それは、3度目の出場となった65年春に、その後に大洋ホエールズのエースとして18年間のプロ通算210勝196敗、最多勝2回、防御率1位・沢村賞それぞれ各1回獲得する平松政次投手を擁して出場した時だった。1回戦のコザ(沖縄)との試合を除くと、いずれも投手戦を制して全試合シャットアウトで決勝進出。この年、対照的に強打のチームで進出してきた、藤田平(阪神)のいる市和歌山商(現市立和歌山)と対戦。4回に失点し、連続無失点は39回でストップしてしまったが、試合は投手戦となり延長13回、岡山東商がサヨナラ勝ちした。

 もちろん、岡山県としても初めての優勝となった。平松投手はその後、社会人野球に進んで都市対抗野球でも日本石油(横浜市)の優勝投手にもなる。プロ入りして多くの打者をのけ反らせたカミソリシュートは当時からの武器だった。

【次のページ】  名だたる選手を輩出する倉敷商

この記事についてTwitterでつぶやく この記事についてFacebbokに投稿する
今、あなたにオススメ
【関連記事】
第869回 叩き上げの習志野っ子・飯塚脩人(習志野)!習志野のエースに相応しい実力を身に付ける! 【2019年インタビュー】
第533回 「目線は常に日本一へ」兵庫の公立の雄・社が固めた強い決意【後編】【野球部訪問】
第531回 『目標』ではなく『決意』の域へ!兵庫県の公立の雄・社が痛感した勝負への姿勢【前編】【野球部訪問】
第830回 キューバで見つけた逸材たち【前編】 偉大な父の血筋を引き継いだ長身速球派右腕・ノルヘ・ベラ【大会展望・総括コラム】
第828回 キューバ遠征から見えた国際大会での戦い方【大会展望・総括コラム】
第828回 リードする星稜を追うのは?平成最後の選抜、新元号最初の夏に期待の注目校【2019年展望】【大会展望・総括コラム】
第862回 東海地区屈指のスラッガー・石川昂弥(東邦)が目指すのは「甲子園」と「世界」での活躍! 【2019年インタビュー】
第856回 打撃急成長の小松涼馬(帝京)は誰よりも肝が据わっている! 【2018年インタビュー】
第853回 「強い人間性」で150キロ・高卒プロをつかみ取る 加茂 優太(藤井学園寒川2年・投手) 【2018年インタビュー】
報徳学園vs藤井学園寒川【2018年 練習試合(交流試合)・秋】
報徳学園vs英明【2018年 練習試合(交流試合)・秋】
報徳学園vs高松商【2018年 練習試合(交流試合)・秋】
立正大vs関西国際大【2018年 第49回明治神宮野球大会 大学の部】
関西国際大vs創価大【2018年 第49回明治神宮野球大会 大学の部】
第819回 エースとしての自覚を胸に勝てる投手を目指す!報徳学園エース林直人 【2018年インタビュー】
岡山学芸館 【高校別データ】
おかやま山陽 【高校別データ】
岡山操山・岡山大安寺 【高校別データ】
岡山理大附 【高校別データ】
岡山朝日 【高校別データ】
岡山城東 【高校別データ】
岡山操山 【高校別データ】
岡山東商 【高校別データ】
岡山南 【高校別データ】
関西学院 【高校別データ】
関西 【高校別データ】
関大一 【高校別データ】
関大北陽 【高校別データ】
桐生第一 【高校別データ】
倉敷工 【高校別データ】
コザ 【高校別データ】
創志学園 【高校別データ】
玉島商 【高校別データ】
玉野光南 【高校別データ】
智辯和歌山 【高校別データ】
帝京 【高校別データ】
帝京可児 【高校別データ】
帝京第五 【高校別データ】
帝京三 【高校別データ】
報徳学園 【高校別データ】
市立和歌山 【高校別データ】
市立和歌山商 【高校別データ】

コメントを投稿する


コラムトップに戻る サイトトップに戻る

コラム

ExelateDataExelateData